2020.04.22
相次ぐ「ネットで売りたい」の声。ネットショップ作成『BASE』が打ち出す新型コロナ支援策

相次ぐ「ネットで売りたい」の声。ネットショップ作成『BASE』が打ち出す新型コロナ支援策

2020年4月、新型コロナウイルスの影響で、首都圏を中心に多くの店舗が営業自粛へ。そういった中、「ネットで売る」に活路を見出す動きが。ネットショップ作成サービス『BASE』の代表、鶴岡裕太さんにさまざまな実店舗が置かれている現状と、同サービスの新型コロナ支援策について伺った。

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BASE(ベイス)
ショップ開設数90万店を誇るネットショップ作成サービス。誰でも簡単、初期費用・月額費用無料でネットショップがつくれる。使い勝手の良さ、スピーディーな売上金引出し(最短翌日)が高く評価されている。(条件を通過しているショップ様のみに自動適用)

新型コロナウイルス支援策 特設サイトはこちら

休業せざるを得ない店舗、相次ぐ「ネットで売りたい」の声

2020年4月現在、飲食店を中心に休業を余儀なくされ、立ち行かなくなるケースが発生しつつあると耳にします。一方で「ネットで売る」という動きは活発に?

そうですね。BASEでいえば、各種お問い合わせ、ショップ開設数、いずれも増加しています。外出自粛に続き緊急事態宣言も出て、平時のようにはリアルなお店に足を運べないですし、感染拡大防止のために営業を自粛されたり、休業を余儀なくされているお店もあります。とはいえ、オーナーさんは経済活動をしないと生きていけない。すぐに自ら動きだせることとして「ネットで売る」ことは重要な手段となっていると感じます。

また、今までネットショップとは縁が遠かった方の開設も多い。これまで以上に人力でのアドバイスも含めて、サポートを強化しています。

いかに「キャッシュ」を早く手元に届けられるか。

BASEの支援策について具体的に伺わせてください。とくに反響が大きいのは?

売上金が翌日に引き出せる「お急ぎ振込」の反響が大きいです。もともと振込申請額の1.5%をお急ぎ振込の手数料としていただいていたのですが、2020年4月1日から、その手数料を無料にさせていただいています。

デフォルトでも「10営業日で売上金が引き出せる」としていて、業界内では比較的早いほうでした。「すごく助かる」とお声をいただいていて、いかに小規模なショップにとってキャッシュフローが大切か痛感していたので、改めて今回対応しています。

もうひとつ、新たな取り組みとして模索しているのが「商品の配送前」でも売上をショップオーナーさんに届けられないか。未来の売上を提供できないか、という部分です。

売れる、配送する、売上が引き出せる、このスピードをさらに短くしたい。今はキャッシュが大切なタイミングだと思うので、キャッシュフローの側面でBASEができることはなんでもやりたいと考えています。

「お急ぎ振込」は現時点だと条件を通過しているショップでしか適用されないのですが、一部、「配送前に売上金を提供する」は動き始めています。

+++新型コロナウイルス支援策 一覧 (詳細はこちら

TwitterのDMで届いたリアルな声

支援策の中身はどのように決めていかれたのでしょうか。

走りながら考えていった感じなのですが、3月上旬頃から自粛ムード、不要不急の外出は避けようといった声があって。少しずつ商売に困っている方がBASEでショップを作ってくださるようになっていきました。

その動きを見ながら、僕自身も何かできないかと個人的にTwitterのDMを開放し「困っているショップさんがいたら連絡ください」とツイートしました。

すると「在庫がいっぱい余っている」「生きていくのが大変」「いつから出品ができるのか」などたくさんの方から声が寄せられて。

とくに「ネットショップをつくる第一歩」へのお問い合わせだったんですよね。どう作るのか。どう配送するか。こういった質問って今までは「ネットショップを作る直前」に寄せられていたもの。それがかなり早いタイミングで寄せられていたので「すぐにでも作らないといけない」と緊迫した状況が伺えました。

2月から新型コロナウイルスの影響を受けるショップさんの支援は行っているのですが、BASEが行っている支援策や、ショップオーナーさんに有益な行政等の情報をよりわかりやすいように発信するため、4月1日に特設サイトを公開しました。

+++※写真は2018年10月に取材時に撮影したものを使用。

飲食店で広がるネットショップ活用

とくに飲食店が厳しい状況にあると聞きます。飲食店でネットショップを使うケースも?

増えていると思います。もともと実店舗自体が人気のあったお店だと、ネットで販売し、商品が数分で完売するといったケースもあります。たとえば、『焼肉ヒロミヤ』さんという焼肉屋さんがすごく人気。普段お店で提供しているお肉を冷凍して販売されています。

どのような業態の飲食店でもやれることはあるのでしょうか?

そうですね。たとえば、食材をまとめて「鍋セット」として販売する、レシピとセットにして販売するなどもできると思います。あとは物産展やイベントが中止になり、販売する予定だったものを、ネットで販売するケースも多いですね。また、実店舗をお持ちの方に限らず卸業者さんもネットショップを開設されています。卸し先のホテルや施設が休業して食品の在庫を抱えている方も在庫の特設販路としてご利用くださっています。

同時に生鮮食品などネット販売だと扱いが難しいものの?

送れるもの、そうでないものもありますので、ご連絡いただければ、私たちがやれる範囲でのアドバイス、適切なパートナーさんを紹介するなどできればと思います。

同時に、ネットショップは開設するだけではなく、買ってもらわないといけないですよね。なかなか売れないケースも。

もちろん、知ってもらえないとなかなか買ってもらえない、ということがあります。ただ、こういう事情で商品が余ってしまった、困っている、といった声がSNSなどで届くことで、多くの人が買ってくださっていて。助け合っている感じがすごくあると思います。

たとえば、常連さんも「お店の商品がほしい」と純粋に購入される方も多い。リアルではお店に行けないが、オンラインでの買い物を楽しめる範囲で楽しみたい方もいる。今だからこそできることを、みなさんがやっている感じもあって。

首都圏における外出自粛期間も、自炊、テイクアウト、デリバリーもだんだんと飽きてくる。少し遠くのお店の味を家で楽しみたい方もいて。需要と供給がマッチしている部分もあります。

ただ、SNSなどのツールの利用に関しては、ショップさんにより得手不得手があります。。似た境遇のショップさんでも、発信した情報がきれいに世の中に広がるケースと、そうでないケースがあって。ここもBASEとしてできることはやっていきたい。そこでちょうど「集客支援」を複数の連携メディアさんとスタートさせたところです。新型コロナウイルスによって直近で困っているショップさんが売っているものを、世の中の多くの方に知ってもらう活動も強化していければと動いています。

こういう時にこそ使ってもらえるサービスでないと意味がない

最後に、とくに厳しい状況に置かれている店舗、ショップのオーナーさんへのメッセージがあれば教えて下さい。

大それたことは言えないのですが…みなさん、置かれている状況によって課題感は異なっていて。ただ、この状況を望んでいる人はいないと思うんです。頑張っていない人はいない。だから、このタイミングで「頑張ってください」とは、とてもじゃないけど言えないです。ネットショップにしても万能ではありません。強引に始めようとしても今までにないオペレーションも発生します。

ただ、それでもやりたいことが、たまたまBASEで実現できるなら、ぜひ使っていただけたらと思っています。もし「ネットでものを売りたい」という方がいらっしゃるのであれば、BASEとしてはとことんご支援します。こういう時にこそ使ってもらえるサービスでないと意味がないと思っています。

経営の意思決定としても、いろんな優先度を差し置いて、新型コロナウイルス関連で困っているショップをとことん支援していく。困ったことがあれば何でも相談してもらいたいです。新しいサポートやサービスも準備中です。

本当にいろんなショップの状況を見ていますので、困っていることは、ざっくりとしていてもいいので課題を投げていただければできることは全部やります。一緒に乗り越えられることは、なんでもやっていきたいです。

>>>後編|今は生産性が落ちてもいいーー『BASE』CEO 鶴岡裕太が、リモートワーク化で社内に伝えたメッセージ


取材 / 文 = 白石勝也


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