2021.11.10
GMOペパボが全社員300名で使うNotion活用術|リモートワークでも情報共有をスムーズに!

GMOペパボが全社員300名で使うNotion活用術|リモートワークでも情報共有をスムーズに!

「リモートワーク前に、Notionを導入して本当によかったです」こう語ってくれたのは、GMOペパボの小田知央さん。Notionを全社導入した立役者のひとり。タスク管理・プロジェクト管理もNotionで共有。チームや部署を超えてオープンに情報共有するGMOペパボのNotion活用術に迫った。

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もくじ
・あえてルールは細かく決めない。
・部署を超えてシェアする「みんなの日報」
・最新情報やドキュメントを共有。ポータルとしてのページ構成
・タスク管理は全員が同じボードでシェア。
・API連携でミーティングノートを自動生成
・部活紹介、オススメ本...業務外の情報も共有
・いきなり全社導入を目指さず、まずは自分のチームから。

>>>[関連記事]「Notion」に関する記事一覧はこちら

あえてルールは細かく決めない。

最初に全体像からお話すると、GMOペパボでは事業部ごとのミーティングの議事録、プロジェクト管理、タスク管理まで、あらゆる情報共有をNotion上でしています。

トップのカテゴリは、このようになっています。

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上の3つは、全社に共通するコンテンツです。

4つ目以降は、基本的に「事業部」ごとにワークスペースが分かれています。技術部、デザイン部など、事業部ではないのですが職種別に分かれているページもあります。いずれも、所属している事業部、チームに関わらず、誰でもワークスペースにアクセス可能な状態になっています。

ここからは、実際のページをお見せしつつご紹介していきます。

カテゴリの一番上に置いているのは「はじめに読んでください」というページです。入社してまもない方や、Notionを使い始めたばかりの方に向けて、ツールの説明からGMOペパボでの活用方法についてまとめています。

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約1年前にNotionを導入し、現在はほとんどの社員がNotionを使っています。ただ、Notionの利用を「必須」にしておらず、各々がNotionを使う理由に納得できた上で、自分で選んでNotionを使ってもらうようにしています。

部署ごと、チームごとに、既存で使っているツールや情報共有のやり方があります。Notionの利用を必須にしてしまうと、ハードルが高くなってしまうので、あくまでも任意で利用してもらっています。

利用ハードルを下げるという意味でも、秘匿情報は記載しないということ以外、あえて運用ルールは細かく決めていません。ルールは最低限に留め、各々が使いやすい形で自由に使ってもらっています。

みんなが使いやすい状態を維持するテクニックとしては、装飾などでカスタマイズしすぎないこと。文字のスタイルを変えたり、ページの幅を変えたり。みんなで使うものなので、極力シンプルにするようにしています。

部署を超えてシェアする「みんなの日報」

GMOペパボには日報を書いて共有する文化があります。「みんなの日報」というページに投稿する形にしていて、あえて部署やチームごとにページを分けていません。

直接仕事で関わったことのない人や違う部署の人が、日々どんなことを考えて仕事をしているのか、お互いの理解を深める場所になっています。

気になった日報にはコメントをつけられるようにもなっていて、近しいプロジェクトを進めていたら情報共有のきっかけにもなりますし、ランチで行ったごはん屋さんの話をきっかけに「今度ここ行ってみたいです!」とコメントがついたり。リモートワークで希薄になりがちな、社員同士のコミュニケーションが生まれるきっかけにもつながっています。

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日報のルールは「見出しをつける」だけ。とくに書き方や内容に決まりはありません。きょうやったこと、感じたことを記録して、Slackの分報のような形でつかっている人もいます。noteとかブログを書く感覚で、みんなラフに日報を書いています。

日報を毎日書けているかどうかは、その人の心身状態を知るひとつのバロメーターでもあります。日報を書くことは必須ではないのですが、「書かない」ということは書く時間が捻出できなかったり、余裕がない状態とも捉えられますよね。リモートワークでお互いの状態が見えづらくなったからこそ、より一層日報を重宝しています。

最新情報やドキュメントを共有。ポータルとしてのページ構成

事業部ごとのワークスペースでは、それぞれ自由にページを構成しています。

私の所属しているホスティング事業部では、最新情報やサービス運営に必要なドキュメントなど、知りたい情報にアクセスできるポータルサイトとして情報をシェアしています。

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ページの詳細を詳しくご紹介していきます。

■ 「お知らせ」

一番最初に目に入るのは、「お知らせ」コーナーです。機能のリリース情報など、みんなに周知したい情報を共有しています。Notionを導入する前、告知したいときはSlackで全体にメンションを飛ばしていたのですが、情報がフローになり、あとから見返しづらい。Notionで情報をストックすることで、すぐに見返せるようになりました。

■ 「Service」

ホスティング事業部では、運営しているサービスが複数あります。運用のためのノウハウやマニュアルなどあらゆることをドキュメント化し、データベース形式で管理しています。

もともとはデータベースではなく、階層構造でドキュメントを共有していたのですが、途中から「あるべきはずの場所に、ドキュメントがない」とか、「どのドキュメントをどこに配置するべきか分からない」という状況になってきて。適切に情報共有するのが難しくなったので、ひとつのデータベースにして、「タグ」による紐づけをしています。

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■「Team」

事業部のチームが一覧でまとまっているデータベースです。チームのミッション、メンバー構成、利用しているSlackチャンネル、プロジェクトなどが共有されています。自分が所属しているチームのことなら良く分かりますが、所属していないチームのことって良く分からないですよね。どんなチームがあるのか、なにをしているのか、可視化されていることで理解を深めるきっかけにもなりますし、チームを超えた連携もしやすくなりました。

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■「Chapter」

「Chapter」は、職種ごとの専門性を高めることを目的にした集団です。Notionを導入する前から存在する制度で、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、デザイナー、マーケターなど、職種ごとに定期的に集まり、情報交換をしています。

「最近こんなプロダクトに注目している」とか、「こんな新しい技術が出てきている」とか。チームを超えた情報共有と、課題抽出を前提に、同じ職種同士でコミュニケーションを定期的に取っています。

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■ 「Member」

メンバーごとのページも一覧でまとめています。自己紹介や担当している仕事、自分用のメモ置き場として利用している人が多いです。

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■「注目すべきMTG」

事業部のメンバー全員がウォッチしていると有益だと思うミーティングをピックアップし、議事録を共有しています。マネージャー間で実施している今後の方針について話し合っているミーティングだったり、事業部のブランドについて考えるミーティングだったり。みんなに見てほしいミーティングの議事録だけをまとめています。

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他にも、「ホスティングベット」といって、事業部の注力事項を優先順位をつけて共有しています。とくにリモートワークで、コミュニケーションのコストは大きくなっているので、重要な情報をみんなが認識できるように集約していくことはとても重要だと捉えています。

タスク管理は全員が同じボードでシェア。

ホスティング事業部では、メンバー全員のタスクを統一のデータベースで共有しています。

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ホスティング事業部の組織構造は、マトリックス組織のため、メンバーによっては複数のチームやプロジェクトに入っています。統一のデータベースでタスクを管理することで、わざわざチームやプロジェクトごとのタスク管理をする必要がなく、効率よく管理することができます。

マネジメントの観点でも、事業部全体でいまどんなタスクがあるのか、個々のメンバーがどんなタスクを抱えているのか、キャッチアップしやすくなります。

実際に個々のメンバーがタスク管理をするときは、チームやプロジェクトごとにviewを切り替えて活用しています。

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API連携でミーティングノートを自動生成

最近、Notion上で新たに取り入れた仕組みですごく便利なものがあるのでご紹介します。ミーティングノートを特定の日時に自動生成する仕組みです。Notion上で提供されているAPIと連携し、日時など詳細の設定をするとできます。

前回の議事録の内容から参加者をアサインし、アジェンダを自動でつくって、しかも事前に通知までしてくれるので、めちゃくちゃ便利です。ミーティングノートをつくる手間を省けるので、ぜひ試してみてください。

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部活紹介、オススメ本...業務外の情報も共有

業務に関わるページ以外にも、社員同士のコミュニケーションや関係構築のための活動を紹介しているページがあります。

たとえば、GMOペパボには社員が有志で集まっている部活があります。カレー部、漫画部、自転車部、アニメ部...Notion上でも各々が自由に情報交換しています。

自転車部では、メンバーが愛用している自転車を紹介したり。漫画部だと、オススメの漫画を紹介したり。けっこう自己紹介がマニアックで読むだけでも面白いですよ。

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部活以外にも、職種ごとにおすすめの本をシェアするページもあります。読んで良かった本、おすすめしたい本を見つけたら、随時リストに追加して、シェアしています。

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いきなり全社導入を目指さず、まずは自分のチームから。

最後に、会社やチーム単位でNotionを導入していきたい方に向けて、私たちの経験から教訓をひとつシェアすると、「いきなり全社で導入しようとせず、段階的に進める」ことが大切です。

私自身も、最初は「Notionを全社で使いたい!」と意気込んで提案したのですが、「いきなり全社での導入はコストもリスクもある」と却下されてしまったんです。

なので、まずは自分の所属しているチームでNotionを使いはじめました。そこから徐々に「Notionって便利だね」とクチコミで広がり、事業部で導入し、全社規模で利用が広がっていきました。

一番最初は、「Notionを使うべきだ!」と思っている情熱のある人が少なくとも一人は必要です。その人がみんなのお手本となってリーダーシップを発揮できれば、時間はかかるかもしれないですけど、少しずつNotionの社内認知が広がっていきます。

GMOペパボではNotionを導入したことで、いままで以上に情報共有が進み、コミュニケーションコストが下がりました。ちょうどコロナ禍に入る前からNotionを使いはじめることができていたので、リモートワーク下でNotionがあって本当に助かったなと思いますね。

たとえば、ミーティングでプレゼンする機会があったとき、プレゼン資料の共有だけでなく、Notionに発表内容をまとめてドキュメントにしておく。そうすれば、発表を聞いて分からなかった部分をあとから読み返すこともできますし、その場に参加できなかった人も内容をキャッチアップできます。

あらゆるミーティングやメモをドキュメントで残し、オープンに共有していく。非同期で仕事をしていく上で、Notionはとても有効な情報共有ツールだと感じています。

(おわり)


取材 / 文 = 野村愛


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