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自由主義のチームで、圧倒的な成功を。UZABASE梅田優祐氏に学ぶ、これからの組織論。

2013-07-05

自由主義のチームで、圧倒的な成功を。UZABASE梅田優祐氏に学ぶ、これからの組織論。

仕事とプライベート両方で「幸せ」を追求する―そんな生き方に挑戦している『UZABASE』代表の梅田優祐氏。社員全員が同じように自由に働けて、その上でビジネス的に圧倒的な成功を収める組織を目指しているという。その「自由」をベースにした組織論に迫る。

▼UZABASE代表・梅田優祐氏へのインタビュー第1弾はコチラ
起業、子育て、サーフィン。人生全ての幸せを追求する。UZABASE梅田優祐氏、自由な生き方への挑戦。

「自由」をベースにした組織づくり。

美しい海と山にかこまれた町、神奈川県の葉山で暮らす『UZABASE』代表の梅田さん。

家族との時間を大切にしつつ、東京で働く。その生活のサイクルによって仕事の生産性も向上したいう。

しかもそうした「自由」な働き方は、梅田さんだけが実践しているわけではない。UZABASEの社員全員が実践できる組織にしているのだそうだ。

驚くべきは、その自由な働き方をするチームで、圧倒的な成長性が期待されるサービスを生み出していること。UZABASEが仕掛けるビジネス情報インフラ「SPEEDA」は、各方面から支持を集め、大手企業での導入も相次いでいる。

彼らは「自由」をベースとしたチームで、いかにして成功を目指しているのだろうか?


梅田さん

UZABASE 代表取締役共同経営者 梅田優祐さん


「自由な働き方が良しとされる文化」をつくる。

― 葉山に暮らしながら東京で働く。そんな理想的な働き方に挑戦している梅田さんですが、いちサラリーマンには難しい働き方だとも感じてしまいました。


「どんな組織で働くか?」という部分に拠るところが大きいかもしれません。少なくともUZABASEでは、私だけが特別というわけではなく、社員みんなが自由な働き方を選べるようにしています。

群馬からきているメンバーもいるし、筑波からきているエンジニアもいる。逆に東京に住んで、遅くまで仕事をしてから朝方まで飲む人もいます(笑)それはそれで、昼過ぎから出勤してOKになっていますね。


― 勤務時間は定めていないんですか?


勤務時間も決めていないし、出社義務もないですね。もちろん服装は自由だし、サンダルで仕事をしている人もいます。結果を残していれば、好きにやってくれていい。

外国人エンジニアも働いてくれていますが、「自由にやらせてもらえるところがいい」と言って来てくれる人も多いですね。

ただ、例えば新卒社員など、その自由が重荷になるケースもあります。そういった場合は、きちんとプロセスを管理するようにしていますね。


社員のメッセージボード


― そういった組織を成り立たせるための条件はあるのでしょうか?


二つあって、まずは徹底的に結果にこだわること。それぞれのメンバーがマイルストーンを決めて、必ずコミットしたところまでやる。その結果はシビアに見ていきますね。

加えて、他のメンバーが今どんなことをやっているのか?部署をこえて、オープンにシェアするようにしています。そうすることでフェアネスを担保することができるんです。

たとえば、管理部のメンバーは仕事柄、出社時間が固定化され、在宅勤務が難しいケースも多いです。ともすればフレキシブルに働く技術職の社員に不満を抱きかねません。でも、彼らがどんな仕事をしているか正しく分かっていれば、そうした不公平感は無くなりますよね。

もう一つ、自由な組織を成り立たせる条件としては、性善説に立ってすべての物事を考えることが大事です。

すごく細かいことですが、起業してから今までスタッフが申請してきた経費に関して、詳細を確認したことがないんですよ。ちゃんと自分で考えて申請してきているはずだ、と考えているからです。

「うちの社員は、何をすべきか自ら考え、判断できる」と、性善説にたって信じないと、自由な経営は成り立ちません。というより、性善説にたつ以外の選択肢はあり得ません。


― メンバーを信頼して、判断を委ねていく。経営者として簡単なことではないですよね。


正直、就業規則をキッチリ決めて、管理したほうが経営という側面からすればすごくラクだし、効率がいいんです。

でも、そうはしたくない。そこにイノベーションが生まれる雰囲気はないからです。それに何より、働いていて楽しくないですよね。

イノベーションを起こす。楽しく働く。この大前提の目的を忘れたくないんです。

守るべきは、たった7つの価値観だけ。

― お話を伺っていると、組織的に非常に上手くいっているように感じます。


そうですね、ただもちろん問題がないわけではありません。

UZABASEはベンチャーでありながら誰も辞めていないことが自慢だったんですが、一時期、少しずつ退職者が出たり、何となく会社への陰口が聞こえてきたり、内部から崩壊し始めているんじゃないか?と感じたことがありました。

人数の少ない創業当時だったら、「なぜ会社がこういうことをしているのか?」と、一人ひとりと話せばよかったんですが、社員の数も増えてきて、そうもいかなくなってきた。

自由であることの副作用として、みんながバラバラな方向を向きはじめてしまっていたんです。

それで、会社として大切にする価値観を再定義し、必ず守るべき7つの価値観として明文化しました。


― 具体的には、どのような価値観なのでしょうか?


1. 自由主義でいこう
2. 創造性がなければ意味がない
3. ユーザーの理想から始める
4. スピードで驚かす
5. 迷ったら挑戦する道を選ぶ
6. 渦中の友を助ける
7. 異能は才能


というものです。

言葉で決めただけだと絵に描いた餅になってしまうので、日常業務に落ちるよう、昨年から『YEARBOOK』 という冊子を作るようにしています。内容としては年1回の社内報のようなもので、価値観に紐づく社員それぞれのエピソードが記されています。


YEARBOOK


例えば、『創造性がなければ意味がない』のパートで、私が書いたエピソードだったら、

「必死で考えた仕様書を開発者に渡した。 僕の考えた仕様書を勝手に無視して、もっと良いモノを開発した」

というものがあります。


― たしかにYEARBOOKのようなものがあると、会社の指針やルールがより身近になって、実際に普段の行動が変わってきそうです。


その通りです。例えば、「渦中の友を助ける」は日々実践されていますね。最近、子どもが生まれたメンバーがいるんですが、“早めに帰って子どもをお風呂に入れたい”という彼の希望を叶えるために、周囲のみんなでサポートする動きを取ったりしています。


― それはいい。子どもをお風呂に入れてあげるって、人生の中でもほんのわずかな期間しかできないことですもんね。


そうなんですよね。私自身、大きなプレゼンと妻の出産が重なったことがあるんです。妻はそばにいてほしいって言っていたのですが…

でも、売上を立てなければいけないと、妻に謝ってプレゼンのほうを選びました。で、帰りの新幹線で赤ちゃんが生まれたと報告を聞いたとき、ものすごく後悔したんです。「あぁこの瞬間は二度と来ないんだ」と。

それ以来、社員には同じような思いをさせたくないなと決めています。

新しい常識をつくる。

― そういえば、UZABASEは共同代表という形をとっていますね。


UZABASEは、スティーブ・ジョブズのようなカリスマが引っ張る会社ではないですが、当時のアップルのような、イノベーティブな会社になりたいという思いはあって。

もともとは冗談めかして「創業した3人で力を合わせれば、ジョブズになれるんじゃないか?」と話していたんですよ。

この“チーム経営”というのも、周りからものすごく反対されましたね。

「教科書的にいけば一番失敗するパターンだ」「仲間割れするからやめておけ」と。

でも、私たちはすごく上手くワークすることができた。3人で「お互いをクビにできる」「何でもオープンに話す」この2つのルールだけは絶対に守ろうと決めたんです。

起業してすぐは品川のマンションで働いていたのですが、ずっと一緒にいるから、しょっちゅうケンカになるんですよね。「トイレの使い方が汚ない!」とか(笑)

些細なことも、ためておくと疑心暗鬼になるから何でも話す。そうすればぜんぶ解消されていく。これは今でも風土として大切にしています。

お互いをクビにできるというルールも、仲良しグループにならず、良い意味でお互いを客観視するという点で非常に重要でした。


― とても合理的なルールですね。非常に大人なチームのように感じます。


そうかもしれませんね。ただ私としては、小学生・中学生の頃に所属し、本気で取り組んでいた“野球部”の感覚に近いとも感じているんです。

小さい頃、私はとにかく野球少年で、小学生・中学生の頃は、仲間と一緒に、本当に野球ばかりやっていました。が、中学を卒業して野球をやめてからは、高校でも大学でも、何かに夢中になったことはほとんどなかったんです。当時のような感覚を味わうことはもうないだろうと、半ば諦めてもいました。

ところが、起業した途端、自分の好きな仲間たちと寝食を共にして、一つのことに本気で向き合い、アクションを起こす日々が続くわけです。作ったサービスが初めて売れて、みんなで涙を流したりして。まさに“ずっと探していたものがようやく見つかった”という気持ちです。


梅田さん


― お話を伺っていると、固定観念や既成の考え方にとらわれず、ご自身のやりたいことや感覚を重視し、追求されているように感じます。


そういう部分もあるのかもしれません。

実は、葉山への引越しを決めたとき、ある上場企業の社長からめちゃくちゃ怒られたんです。「葉山に引っ越そうと思っています」と話す私に、「社長業の意味を分かっているのか!」と。

そのとき、「これはもう結果を残すしかないぞ」と思いました。自分たちがやりたいことをやりたいようにやって、ものすごく成長する会社を作るんだ、と。

もちろん過去の歴史として、「社長たるもの365日24時間会社にはりついて、会社のことを考えるべし」という成功パターンがあるのは分かります。

“自由”を謳う会社は少なくありませんが、それで大きく成長した会社が決して多くはないのも事実です。

でも、それで私たちが大事にしているものを諦めるべきだとは思いません。UZABASEを何としてでも成功させて、自分たちの考えが間違っていなかったということを証明したい。そんな思いは、確かにありますね。


― 梅田さんたちの更なる飛躍にぜひ期待したいです。本日はありがとうございました!


UZABASE!


(おわり)


[取材]上田恭平 [文]白石勝也 [撮影]松尾彰大



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