2013.08.27
エンジニア争奪戦の末に何が起こっているのか?―BASEの取り組みにみる、地方エンジニアの可能性。

エンジニア争奪戦の末に何が起こっているのか?―BASEの取り組みにみる、地方エンジニアの可能性。

エンジニアの人材難をあちこちで耳にする機会が多いWEB・IT業界。そんな中、地方のエンジニアをターゲットにした採用活動を始めたのが、ECプラットフォーム開発を手がける《BASE》。その背景や意図からエンジニアを取り巻く採用環境と、地方エンジニアの可能性を探った。

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激化するエンジニア採用。打開策は“地方”にある?

WEB/IT業界の人材不足、特にエンジニア職の需要過多が深刻化している。国内でも様々なWEBサービスが生まれ、成長していくにつれて、そのサービスを支えるエンジニアがいたるところで足りていない。

CAREER HACKでも取材に行く度にエンジニア採用に悩む声を、よく耳にしてきた。そんな中、一風変わったエンジニア採用を試しているスタートアップがある。それが、Eコマース分野で着実に成長を遂げている《BASE》。今、彼らが注目しているのは“地方出身”のエンジニアなのだという。

その真意に迫るべく、同社CTOの渡邉涼一さんとマーケティング担当の金城辰一郎さんを直撃した。


渡邉涼一さん/金城辰一郎

左:CTO 渡邉涼一さん 右:マーケティング担当 金城辰一郎さん

BASEが地方エンジニアに目を向ける3つの理由

― 早速ですが、BASEが地方エンジニアに目を向けた採用活動を始めた理由とは?


金城:
主に3つの理由から今回の採用活動を始めました。

1つ目は、首都圏のエンジニアに向けた採用活動だけでは限界がきていると感じていること。これは僕たちのようなスタートアップだけでなく大企業も含めた多くのWEB企業が抱えている課題ではないでしょうか。BASEの場合、自社のエンジニアから知人や友人を紹介してもらうことで何とか採用できていますが、それだけではスピード感を持った採用は難しいです。

2つ目は、情熱を持っているエンジニアを見つける手段を考えた結果です。BASEの採用では、スキル面より“意欲”が第一。人が意欲をもつように変わるタイミングって、付き合う人を変えたり、住んだり、過ごす場所を変える時だと思うんです。だからこそ「生活を一変させてでもBASEにジョインしたい!」という方なら、この環境に強くフィットするんじゃないかと考えました。

3つ目は地方には、くすぶっている、野心を持ったエンジニアが必ずいるという確信があったからです。最近では関東にいても、地方のエンジニアコミュニティが活発に活動しているという話をあちこちで耳にしますからね。

BASEのiOSアプリは、九州出身の20歳がほぼ一人で開発した

― 実際に首都圏以外の場所にいるエンジニアの方と接点を持ったことは?


渡邉涼一さん

渡邉:
実は、BASEの現メンバーの8割が地方出身者なんです。BASEのiOSアプリをほとんど一人で開発したのは、九州からエンジニアリング未経験で上京してきた20歳の子。その子は情熱ひとつで勉強を重ねて、リリース時にはAppStoreのおすすめに選ばれるようなアプリを開発したんです。


― 既に地方出身者の採用で、成功体験があったんですね。


渡邉:
ええ。他にも住む場所さえ決まってないのに東京に出てきてBASEに入社し、活躍しているメンバーもいますよ。

彼らを見ていて思うのはやっぱり情熱や意欲は何事にも代えがたいものなんだということでした。

六本木にあるまだ小さな会社でも、これだけ地方出身者が活躍しているんです。地方に目を向ければ、同じような思いを抱えたエンジニアがもっとたくさん見つかるだろうと。


金城:
「地方だからきっかけがなくて…」と嘆いているエンジニアやクリエイターの方も多くいると思うんです。そんな状況にあるエンジニアに対して機会を提示することで、意欲あるエンジニアが活躍するきっかけを作っていけたらと思っています。

地方に目を向けたエンジニア採用は、今後もっと増えていく

― 今回の募集告知はFacebookページへのポストなど、限定的なものだったそうですが、反応はいかがですか?


金城辰一郎さん

金城:
10件前後、お問い合せはいただいています。まだコンタクトを取り合っている状況ですが、ご縁とタイミング、そして彼らの意欲があれば一緒になって頑張りたいと思っています。


渡邉:
一方で、実際にやってみた実感として、採用難易度はそれほど低くはないとも感じています。やはり東京勤務という問題を現実的にクリアできる人、こちらが求める意欲を持ち合わせている人と出会うのは、そう簡単なことではないというのも事実です。

ただ、可能性は十分にあるとも思いました。募集の見せ方にも工夫できることがたくさんあるし、まだ首都圏の企業が地方エンジニアに目を向けきれてない今の段階から彼らとのつながりを作っていくことに、大きな意義を感じます。こういった取り組みは継続的に続けていきたいですね。


― 地方エンジニアと企業とのより良い出会いが生まれてくることに、期待したいです。お話、ありがとうございました。


(おわり)


[取材・文]松尾彰大


編集 = 松尾彰大


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