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「クリエイターよ、ルールをつくれ」|バスキュールと考える“デジタル時代を生き抜くクリエイター”[1]

2014-01-27

「クリエイターよ、ルールをつくれ」|バスキュールと考える“デジタル時代を生き抜くクリエイター”[1]

広告の枠を超え、斬新なインタラクティブコンテンツを仕掛けるバスキュール。最近ではテレビとソーシャルを掛け合わせた「視聴者が主役になれるテレビ」を仕掛け、話題を呼んだ。デジタル表現の可能性が広がるなか、彼らが考えるクリエイティブの未来とは?そしてクリエイターに求められる役割とは?

先端を行くクリエイティブカンパニーが描く未来

テクノロジーの進化により、あらゆる業界でパラダイムシフトが起こっている。アマゾンによって買い物の仕方は変わったし、スマートフォン、Twitter、Facebook、LINEによってコミュニケーションも変わった。数年前まで想像もできなかった変化だろう。

では、広告の世界はどうか。デジタルを使った新たな表現が試されているものの、古い業界の慣習や構造は根強く、その枠組みを超えるクリエイターやエンジニアはまだまだ少ないのではないか。

そういったなか、広告の枠を超え、インタラクティブな「ユーザー参加型コンテンツ」を生み出しているクリエイティブ集団がバスキュールだ。最近ではテレビとソーシャルを連動させた新しいテレビの視聴体験を作り出し、大きな話題となった。


バスキュールのユーザー参加型テレビ番組例:
人体を舞台にした電脳レース番組『BLOODY TUBE』。


広告、そしてコミュニケーションのあり方が変化する時代。クリエイティブの世界で、エンジニアやクリエイターに求められる役割はどう変わるか。バスキュール代表の朴正義氏と、プロデューサーの西村真里子氏にインタビューした。

デジタルが、あらゆる業界の古い慣習や構造を破壊する。

― バスキュールさんは、単に「サイトをつくる」「綺麗にデザインする」といった枠を超え、インタラクティブなコンテンツで勝負されていますよね。そういった領域にシフトされた経緯を教えてください。


朴:もともと、バスキュールが生まれた背景には、テレビや新聞、雑誌というマスメディアで出来ないことをやろう、という思いがあったんです。実際、それをやってはじめてお金をいただけた。そこにはあらゆる領域のルールはデジタルが破壊していくはず、という感覚もありました。

たとえば、アマゾンは「買う体験」を提供していて、それまで広告が担っていた役割を軽々と凌駕してしまいましたよね。


西村:朴さんなんてアマゾンのタイムセールにハマっていた時期がありますもんね(笑)


バスキュール プロデューサー 西村真里子氏



朴:そうそう…なんでこんなモノを買っちゃったんだろうと後悔することも多くて。

欲しい商品のWebサイトを見たり、量販店に行ったりするより、アマゾンの中にいるほうが何倍も楽しいんですよ。ここならではの臨場感もあって、ワクワクできる。

だから、仕事でWebのクリエイティブを頑張っている最中でも、「せっかく来てもらったのに、これだけで終わっていいのだろうか?」という思いがよぎってしまうんです。

アマゾンがルールを破壊したように、同じことがクリエイティブの世界で起こって当たり前だろう、と思っていました。だから、より本質的な「どうすれば最高の体験を提供できるか」という部分に注目したほうがいいのではないか、と。

たとえば、グラフィックのデザイナーがもの凄く余白にこだわって新聞広告をつくっていたとしますよね。でも、時代が変わって、定型サイズの紙媒体に触れる人が少なくなった時に、こだわるべき場所はそのままでいいのか。他に気にしなければいけないところはないのか。ルールが再定義されてしまえば、当然、クリエイターの役割も変わるはずです。

「デジタル」を広義で捉えれば、“あらゆることの効率を上げ、パフォーマンスを良くするもの”だと思うんです。たとえば、デジタルによって役割が奪われる仕事が大量に出てくる。この時代をどう捉えて、自分はどうするのか。「新しいルールをつくるぞ」という人には大きなチャンスがあるのではないでしょうか。

クリエイターよ、新たなルールをつくれ。

― 「新しいルールをつくる」というのは、具体的にはどういったことでしょうか。


朴:たとえば、最初にクルマが誕生した時、『信号』はなかったと思うんですよね。ただ、交差点で事故が起きないように、交互にクルマを止める装置が必要では?となっていく。

青と赤のライトで明示しよう、でも急には止まれないから黄も入れて…と考えますよね。この「仕組み」や「途中に黄色を挟む」と考えた人はすごい。

成熟している時代のデザインは、もう『信号』というものがあり、側(筺体)のフォルムをどうするか、微妙な色合いをどうするかというもの。そうではなくて、もっと根本のルールを規定する次元のデザインが増えないといけない。個人的に、今はそういうデザインを考えることがカッコいいと思います。ネット選挙はどうデザインすればいいのか、とか。

もちろん、どんな時代だろうと覚悟を決めている人もいる。揺るぎない確信を持っている人はいて、それはそれでカッコいいですよね。たとえば、職人的にポスターをつくれる人も世の中には必要なわけで。

ただ、「これから業界はどうなっていくのだろう」と不安があるなら、今、何をすることがカッコいいか考えたほうがいい。デザインやクリエイティブの未来は、デジタルが及ぼす社会の変化によって変わっていくことは確実です。少し先を見据えた目で、「コレをやろう」っていうところを探し始めたほうがいいのかもしれません。


バスキュール 代表 朴正義氏


試作で自腹を切れるか。やりきる覚悟が問われている。

― クリエイターの役割は、単に「広告やキャンペーンをつくる」では収まらなくなっているということですよね。ただ、まだまだ過渡期でもある。どうすればもっと新しい表現が生まれてくるのでしょうか。


朴:クリエイター側の問題もありますが、クライアント側のスタンスや組織も時代に追い越されてしまっている、という感覚もありますね。

本来、企業も時代にあった組織分けが必要だと思うのですが、広告が既存の枠を超えていこうとしているなか、担当者は自部門の広告費は扱えるけど、企画が領域をまたいでしまった瞬間、決定権がもてないとか。


― 面白いコンテンツがあっても、いろいろな担当者達に決裁をもらわなければ、Goサインが出ない、と。ただ、クライアント側も困っている。何をすれば自社商品を知ってもらえるのか、売れるのか、答えの見えない時代でもありますよね。


朴:そうなんですよね。クライアントの担当者自身がユーザーとして、新しいメディア体験を実感しているので「このままだとマズイ」と。「変わらなきゃ」と危機感を持つクライアントから声を掛けてもらっていますね。


― その一方で、インタラクティブなコンテンツはクライアントの理解を得るのが、すごく難しそうですよね。企画書に書いてあることがわかってもらえるのか…という疑問もあります。


まだ誰も見たことのない世界に突入していくので、理屈で説明してもしょうがないですよね。だから、100枚の企画書を書くより、先に試作をつくる。「これ、面白くないですか?」と。


― それができたら理想的ですが…。
現実として、なかなか実践できていない人も多いのではないかと。


朴:難しくというか、大げさに考えすぎなのかもしれないですね。たとえば、知り合いがやっているお店でも何でもいいのですが、そこのコンテンツをつくってみるとか。自腹を切って面白いことをやって「もし実績が出たら次の仕事ください」とか、「ショーケースとして自慢させてほしい」でいいのではないでしょうか。


西村:「こんな体験があったら面白いんじゃないか」という実験や試作に関して、バスキュールも毎回自腹なんですよ(笑)

去年は、自分たちでテレビ番組のスポンサーになって番組もつくりました。規模が大きくなっただけで、やり方はずっと変わっていないと思います。


朴:やりきる覚悟があるかどうか。「これは絶対にいけます」と言っておいて、自分たちでは頑に投資しないという態度には矛盾がありますよね。ここは創業時から変わらず愚直にやってきたところかもしれません。先の見えづらい時代だからこそ、実際にカタチにしてプレゼンテーションできるクリエイターに、どんどんスポットが当たっていくのではないかと思います。


(つづく)

▼バスキュールインタビュー第2弾
「どんな時代を生きたいか?」|バスキュールと考える“デジタル時代を生き抜くクリエイター”[2]

[取材・文]白石勝也



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[BAPA概要]
http://bapa.ac/
https://www.facebook.com/bapa.info

[受講内容]
期間:2014年3月中旬~(約3ヶ月間)
回数:全10回(予定)
時間:隔週水曜日 19:00~21:00
会場:バスキュール(神谷町) / パーティー(代官山)
人数:30名
受講条件:29歳以下の学生、社会人 
受講料:88,000円(バパ価格) 
※受講料免除の特待生制度あり

(現在募集は終了しております)



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