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GMO式・エンジニアの評価基準 | 組織と個をつなぐ「共通言語」

2014-03-03

GMO式・エンジニアの評価基準 | 組織と個をつなぐ「共通言語」

企業フェーズによって必要性が異なる評価制度。スタートアップであれば明文化は早いと感じるかもしれず、組織拡大に応じて必要性が高まるものだ。どのタイミングで整備するかは各社異なるが、大企業の例を参考として知っておくのは有益。多くのエンジニアを抱えるGMOインターネットに、オリジナルの評価制度を聞く。

会社は仕事の成果をどのように評価するのか

エンジニアやクリエイターにとって、キャリアを自ら選べる時代になった。大企業に属するもよし、スタートアップ・ベンチャー企業にジョインするもよし、フリーとして自分らしく働くのもよし。

本来、仕事に対する評価は、ユーザーやマーケットが決めてくれるものなのかもしれない。しかし組織が拡大すれば(組織化するならば)、多様な人が働く企業の体を成す。会社として人事評価を行なう必要も出てくるだろう。

企業に属して働く人であれば、評価を気にしてしまうのが人情。自分の評価は高いのか、低いのか。何を基準に評価されているのか。そもそも、明確な基準が存在するのか…。

大規模な企業であれば、厳格な評価基準を設けているのではないか。そこで、グループ合計で約1400名ものエンジニア・クリエイターが在籍するGMOインターネットに迫ってみた。

エンジニア・クリエイターが自社の宝と公言する同社グループ。ユニークな制度づくりはもちろん、評価制度の設計に心血を注いでいる。話を伺ったのは、グループ人事部 アシスタントマネージャーの山田大作氏。

集団のベクトルを統一する企業理念

― GMOインターネットでは、組織の成長とスタッフ自らの成長を促すための評価制度を設計なさっていると伺いました。どのような物なのか、教えてください。


評価自体は『行動様式』という組織貢献と自己成長を果たすための具体的行動を基に、その難易度や発揮具合、目標達成度合いで決定します。『行動様式』は、6つの大分類と18の小分類・具体的行動が示されているのですが、その前に、大前提となる企業理念(スピリットベンチャー宣言)を紹介させてください。


GMOインターネットグループのバイブルにあたるものです。「ベンチャー」の定義はいろいろあるとおもうのですが、当社グループでいう「ベンチャー」とは、「旧来の伝統的企業に対抗して、革新的商品・サービスを提供することでお客様に『笑顔』『感動』を提供し、多くの人に尊敬され応援される、『ファン』の多い会社を作る…そんな『志』=『夢』を実現させる為に、革新的なスピード・着眼点・手段・頭脳によって、リスクを恐れず突き進む者の集団」を指します。

創業以来、培ってきたこのマインドを明文化し宣言したのが、『スピリットベンチャー宣言』です。このマインドこそが、当社で働くスタッフの共通認識になっている。新しいことをするとき、選択に迷ったときなど、判断基準になっていきますね。

― スタッフ全員の目指す姿がはっきりしている。エンジニアやクリエイターの皆さんにおいても、共通で目指す姿が明文化されていて、職種は違えど思考や行動は、すべて「スピリットベンチャー宣言」をベースに同じ方向を向いているように感じます。

事業目標を推進するための行動を言語化

― 『スピリットベンチャー宣言』という理念があり、それに基づいた思考や行動が『行動様式』ということでしょうか。


「行動様式」を定めるにあたり、活躍しているスタッフにヒアリングをしました。その結果わかったのは、活躍するスタッフ全員が「スピリットベンチャー宣言」に書かれたことを体現していること。この事実から、一人ひとりが日々をどう過ごすかについて、「スピリットベンチャー宣言」を基に「行動様式」に落とし込んだのです。

またGMOインターネットでは、「役割等級制度」という基準も用意されています。これは等級ごとに小分類が異なり、例えば『成長行動』という大分類に対して、等級の低い社員であれば「知識を自分のものにする」という行動内容がある。上の等級になると「知識を活かす」という学びをノウハウにする行動が求められ、最上級になると「成長機会をつくる」という部下を伸ばすための技術的な高い目標を掲げたり、成長させるための仕事を生み出すことが求められるようになるわけです。


― 技術を学ぶ・追及することについても、明文化された基準を基に行なう。組織が大きくなれば、エンジニア・クリエイターにおいても必要な仕組みですね。


いまお伝えした役割等級制度に対しても、定量的な目標を個々で設定しています。「自分の目標やタスク」に貢献が求められる等級から、「チーム・部・室の目標やタスク」に対する貢献が求められる等級、そして「経営(新しい価値の創造)レベル」への貢献が求められる等級という具合です。

職種による違いはなく、というよりも、職種に合わせた目標達成の仕組みや役割に応じた貢献の仕方や明確化することで、各々が成長していくことと会社の成長をリンクさせることができるのではないでしょうか。

等級が上がる=役割と責任が高くなるということになります。そして等級ごとに給与の基準が決まり、四半期ごとの評価で基準をベースに変動する仕組みになっています。

制度の肝は運用にある


― 四半期ごとの評価というお話が出ましたが、実際の制度運用はどのように行なっているのでしょうか。


実際の評価については、目標管理シートというフォーマットを使い、評価者と被評価者で面談を行ないます。


― 目標管理制度の失敗として、期初に立てた目標を達成することが目的になるとか、そのための行動なりがタスクになってしまうことが考えられますが。特に動きの速い業界において、目標に縛られることの弊害があるように思います。


おっしゃる通りで、そうならないように当社では、上長とメンバーのコミュニケーションを重視するよう運用しています。3か月後には違うことをやっている、というのも珍しくない業界ですから、定期的に目標を見直す必要がありますよね。

実際、面談という形式ばったものだけではなく、日常シーンでのコミュニケーションが多いように感じます。上長が部下の特性を把握して、それぞれが二人三脚で歩むイメージです。


― エンジニアの皆さんにおいても、四半期ごとに面談で目標の進捗や変更などのディレクションを行なうんですね。


特に技術の会社ですから、技術論議は盛んに行なわれていますね。熱くなりすぎて、傍から見ると喧嘩というか口論をしているように思えることも(笑)。でもそのくらい真剣に、上司と部下が向き合ってるんですよ。その際に役立つのが、『スピリットベンチャー宣言』にある言葉。全スタッフの共通言語として使われており、コミュニケーションや目標設定の核にもなっています。

とはいえ、制度設計には本当に頭を悩ませましたし、これで完成とは思っていません。常に新しくしていくものですが、結局のところ肝は運用ですね。開発という新しいものを生み出しているエンジニア・クリエイターさんたちが、自分や部下の成長のために活用したくなる仕組みを整えることが大切だと思っています。そして個々の成長の結果、会社も成長しているのが真の理想です。


― 運用が肝。その通りですね。御社のように明文化できていない企業はあるでしょうし、現状の規模では必要のない企業もあるかと思います。でも各社が成長して人員が増えてきたときに、きっと参考になる事例だと思います。ありがとうございました。


▼現場責任者が語る理想のエンジニア像インタビュー
エンジニアの道標|GMO現場責任者が語る『理想のエンジニア像』

[取材・構成]城戸内 大介  [文]平野 潤




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