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仕込みiPhone 森翔太の生きざま|彼はいかにダメリーマンからハゲリーマンに変身したか?

2015-01-05

仕込みiPhone 森翔太の生きざま|彼はいかにダメリーマンからハゲリーマンに変身したか?

仕込みiPhoneをはじめ、PVや動画広告コンテンツでも話題の森翔太さん。今や大人気の彼だが、意外と知られていない過去。「もともとダメリーマンだった」と語る森さん。最近『ハゲリーマン』という自身のLINEスタンプをリリース。濃すぎるキャラ「森翔太」はどう誕生したのか。そのルーツは失敗の連続だった!?

普通のサラリーマンだった過去。

森翔太という男をご存知だろうか。個性的な風貌で、ときには映像クリエイターとして、ときにはパフォーマーとしてメディアを賑わせている希有な存在だ。代表作は全世界で130万回以上視聴されている≪仕込みiPhone≫

さらに、近年ではアーティストのPVや有名企業の動画広告コンテンツなども数多く制作。自らをモデルとしたLINEスタンプ≪ハゲリーマン≫をリリースするなど、存在感は日増しに強まっている。

一方で、彼が「よくいる普通のサラリーマンだった」という事実はあまり知られていない。やる気もなければ、挫折もしまくり…失敗の連続だった彼の人生が劇的に変わった瞬間とは!?


【Profile】
森 翔太 Shouta MORI

鳥取県倉吉市出身。静岡文化芸術大学卒業後、静岡県の一般企業へ入社するが、10ヶ月ほどで退職し、上京。演劇事務所でのアルバイトなどを経験し、パフォーマンス集団『悪魔のしるし』へ。そこで≪仕込みiPhone≫を作成し、Youtubeで話題を呼ぶ。現在は、映像制作を行なう傍ら、自らパフォーマーとしてTV出演を果たすなど幅広い表現活動に取り組んでいる。

事故ったり、ゴミ拾いで生計を立てたり、人との話し方を忘れたり。

― 今やネットで大人気の森さんですが、もともとは大学卒業後、一般企業へ入社されたんですよね。どのような会社員だったのですか?


就職した会社では、営業として片道2時間くらいの距離を営業車で運転するんですけど、途中にある砂丘とか古本屋とかでサボってたんです。

すると、上司から「帰り遅い」とか「効率悪い」とか言われるようになって、ストレスも溜まるじゃないですか。だから、ストレスを発散するために就業中に砂丘をランニングしてたんです。すると、今度は疲れが溜まったみたいで、運転中に軽くウトウトして事故ってしまうという…。

営業車を大破させてしまったので社長の所へお詫びに行くと、「どうしたんだ、言いたいことがあるなら遠慮なく言ってくれ」と言われたんです。そこで思い切って辞めたいと言ったら、「何を言ってるんだ、バカ野郎!」と。でも、それが引き金となり、2週間後には辞めることになりました。

森翔太

― 上京したのはその後ですか?


職を失って仕事のない爽快感みたいなのを味わったのは、1ヶ月くらい。すぐにこのままじゃマズイって思うようになって、東京でバイトでもしようかなと思って上京しました。下北沢の家賃2万円くらいのアパートに住み始めたんですけど、それでもバイトがイヤになってしまって。ゴミを拾って、それを売るという生活をしていたんです。でも、何ヶ月もやっていると自分がおかしいことに気付くんですよね。とはいえ、東京に知り合いはいない。人との話し方も忘れてしまいそうだったんです。そのときに思いついたのが、東京電力のカスタマーセンターへの電話でした。0120の。


― え?何を話すんですか?


電気のことです。全然関係ない話じゃクレームっぽい感じになっちゃうんで「電気に興味があるんでいろいろ聞きたいです」って。今思えば立派なクレーマーなんですけど。結局電話しても電気の問題以外は何も解決できず、スーパーで細々とバイトを始めました。そんなときに大学時代の友達が僕の電話番号を覚えていてくれて、連絡をくれたんです。「東京にいるなら会わないか」って。

大学の先輩も来てくれて、「何してるの?」って聞かれたんで「僕は相変わらず病んでますよ」って言ったら「私、今演劇事務所で働いているから手伝いに来てよ」って言われまして。それで演劇事務所でバイトを始めたんですよ。モギリとか、経理とかの。もちろん演劇も観れるんですけど、観ているうちに自分も出たいなと思ってきたんですよね。で、先輩に『悪魔のしるし』っていうパフォーマンス集団を紹介してもらえて、それがパフォーマンスを始めたきっかけです。


― 捨てる神あれば、拾う神あり、ですね(笑)。映像制作を始めたのはいつからなんですか?


『悪魔のしるし』が、いわゆる演劇だけの集団じゃなくて、各自好きなことをやっていいよっていうスタンスだったんです。公演を経験するうちに自分一人でも何かできるなって思うようになって。でも、一人で公演をやるのはハードルが高いじゃないですか。そこでビデオカメラがあることに気付いて。演劇をやる人って、稽古の表情とか動きとかをチェックするためにみんなカメラを持っているんですよ。その延長で、せっかくパソコンもあるし…ということで思いついたのが仕込みiPhoneでした。

小さなイベントがあったので、そこで10人くらいに見せたら好評だったんですよ。練習がてらYoutubeにアップしたら2週間くらいでギズモードに拾ってもらえて…。それが始まりですね。自分が面白いと思ったことで「次もつくって」と言われるのが嬉しかったし、何より楽しかったので、どんどんやりました。一切収入にはならなかったですけど、面白いと言ってくれる人がいたからやってましたね。

失敗が、今の僕を形成している。

― 今って、ぶっちゃけどのくらい稼げているんですか?


振り幅は結構ありますが、比較的広告系の大きな仕事1本で家賃の2倍~3倍くらいですかね。とはいえ、たとえば50万を超える月があれば、翌月が5万とかっていうこともある。ま、勘定すると一般企業の平均くらいですかね。ボーナスがないんですけど(笑)。


― 今は映像クリエイター兼パフォーマーとして活躍している森さんですが、「やっていける」と思ったのはいつぐらいなんですか?


正直、わからないです。以前は劇団に入っていたんですけどお金を稼げる仕事じゃないし。だから、僕にとってはずっとフリーランスみたいな感じです。映像をつくって初めて金銭的なものを得られるようになったのって、2013年の口ロロ(くちろろ)のPVからです。2014年はほぼ広告の仕事ですが。


― 広告の仕事も手がけるようになって、表現者として森さんの心境に変化ってありましたか?ココが面白い!とか、メンドクサイ!とか。


この間C.Cレモンの動画広告で≪仕込み筋肉≫という映像をつくったんですけど、規模が大きいから関わる人も多くて、みんな頭が良いんですよね。で、「今までやってきた活動もあるけど、それとはまた別のことにチャレンジしてみましょう」みたいなことを言われたのは、すごい良くて。自分では思いつかないアドバイスをくれるから、そういう関係は大事だなと思いました。無茶なことも予算がないとできないですし。

かたやで、「あのときのあんな感じでお願いします」みたいな依頼をされることも多くて、二番煎じは良くても、三番煎じとなるとさすがにモチベーションも下がる。「別のことに挑戦したいんですけど…」と言っても、「何ができるかわからないものは困ります」みたいな話になってきてしまって…。失敗できる機会は圧倒的に減って、それがヤバイと思っています。失敗しないと良い部分がわからないから。

森翔太

― 失敗が今の森さんを形づくっている、と。


本当にたくさんの失敗をしてきました。これまでつくった映像も、たくさん失敗してきています。特に、2013年に多かったんですが、周囲からたくさん意見をもらって、それだけの要素でつくったものはあまり良くなかったのかなと。その後に閉じこもってつくったものがあるんですけど、それも成功とは言いがたくて。要はバランスなんでしょうけど、最近は今の失敗は大切だ、と割り切っちゃっていますね。

とにかく、面白いと思えるものをやり続けたい。

― さまざまな失敗や挫折を自らの表現で打破し続けてきて、今の森さんがあるんですね。2015年はどのような1年にしたいと思っていますか?たとえば、どこかのプロダクションに所属するとか。


条件とかが全部合えば、ですね。自分の意見がある程度通るところだったら考えたいかな、と思っています。とはいえ、もう少し時間を置いて、いろんな人に接しながら、将来を見つけていきたいですね。ありがたいことにメイカーズ系のイベントに呼ばれる機会が増えて、人と会いまくったんですけど、自分ができないことをできる人がたくさんいることを実感して。今まで一人でやってたけど、そういう人たちといろんな仕事してみたいなという気持ちが日に日に強まっています。

森翔太

ですから、2015年はパーソナルワークとクライアントワークの割合を半々くらいでやっていきたいと思っていますね。クライアントワークではなく、パーソナルワークで失敗を経験しながらポートフォリオを増やしていくしかないのかなって。目先の1年、2年ではなく、10年先、20年先を考えて。でも、収入はないから出資してもらえる方を探したり、クラウドファンディングに踏み込んだりっていうのは経験的にアリかなと思います。

「何になりたい」っていうよりも、「面白いと思えることをやり続けたい」って感じですね。だから「映像クリエイター」とか「パフォーマー」とか肩書きに固執するつもりはないんです。一番怖いのは自分が興味を失ってしまうこと。お金を失って貧乏になるのは耐えられるけど、興味だけは失いたくないなって思っています。


― 表現者という生き方を軸に、手数を増やしていくイメージですね。“ネットの人気者”だけに留まらない、さらなる活躍に期待してしまいます。ありがとうございました!


[取材・文]田中嘉人



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