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「優秀なエンジニアの定義とは?」ー nanapi けんすうに訊く![1]

2012-11-02

「優秀なエンジニアの定義とは?」ー nanapi けんすうに訊く![1]

優秀なエンジニアとは何か? 人によって千差万別な解答が得られるこの問いを、“けんすう”の愛称で広く知られる、株式会社nanapi代表の古川健介氏にぶつけてみた。プログラミングのコモディティ化が進む現在。エンジニアが生き残る道は「エンジニアリング以外の価値」にあるというー。

WEBの進化とともに歩みを続ける、81世代のトップランナー。

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《nanapi》というWEBサイトをご存知だろうか?料理、恋愛、仕事…など、さまざまなジャンルの「ハウツー(How to)」を集めたサイトだ。

「世界最大のハウツーデータベース」を目指すと宣言するだけあって、そのジャンルの多様性や分かりやすさは群をぬいている。

このnanapiを率いているのが、株式会社nanapi 代表の古川健介さん。“けんすう”という愛称のほうが広く知られているかもしれない。学生時代に、学生専用コミュニティサイト《ミルクカフェ》を立ち上げるなど、日本のインターネット業界を牽引してきたトップランナーの一人だ。

これまで数多くのエンジニアと接し、仕事をしてきたであろう古川さんは、果たして「優秀なエンジニア」をどのように定義しているのだろうか?

"これからのエンジニアに問われる能力・行動”をあぶり出すべく、古川さんの考える「理想のエンジニア像」に迫った。

「エンジニアリングスキル」 < 「ビジネススキル」

― 古川さんは、黎明期からインターネットビジネスを手がけておられますよね。その分、非常に多くのエンジニアと接してこられたかと思います。それを踏まえて、どのような人が「優秀なエンジニア」だと考えていますか?


一言でいうと「変化に対応できるエンジニア」が優秀だと考えています。

たとえば、数年前はサーバーエンジニアのニーズが非常に高い時期がありました。しかし、ここ10年でクラウドサービスが一般化したりして、サーバーエンジニアの必要性や、求められるスキルも変わってきています。



同じように、Webサービスのフロント側のプログラミングもフレームワークなどの発展によって、さらにコモデティ化が起こると考えています。あと数年もすれば、Excelを操作するように、簡単にコードを書けるようなツールが出てくる可能性もあります。

そういった変化に対応できるかどうかが、これからのエンジニアにとってすごく重要だと思っています。いついかなる状況にも合わせていける人材が優秀、ということですね。スキルのバランスがとれていて、全般的にビジネススキルが高い人がいいのではないかと考えています。


― ビジネススキルとは?


僕の定義では「学習スキル」に近いですね。やったことのない仕事でも、チャレンジしてある程度のところまで持っていけるかどうか。

やったことない仕事でも、どうやって情報を取得して、どうやって学んで身につけて、どう使いこなせば仕事がうまくいくのか、が分かっている人というイメージです。


― 要点を見つけて捉えるのが上手い人?


そうですね。僕らがベンチャーだからなのかもしれませんが、やったことのない仕事が突然発生するケースが多いんです。

そこで分からないなりに対応できるかどうか、そういう部分がわりと重要になるかと思います。

エンジニアである前に、ビジネスパーソンであれ。

― 面接等でエンジニアとお会いされることも多いかと思うのですが、多くのエンジニアに共通する課題があるとすれば、どんなことが挙げられますか?


エンジニアの方って、PHPの次はJavascriptを覚えようなど、技術的な幅を広げる方は多いんですが、経理やファイナンスを学ぼう、次は営業をやってみようなど、ジャンルの壁を超えて学ぶ人ってなかなかいないんですよね。

様々なジャンルの技術を学ぼうという意識の高さは素晴らしいのですが、これからはさらに幅広く学ぶことが必要になってくると思っています。

たとえば弊社のCTO(和田修一氏)はバリバリのインフラエンジニアなんですけど、ファイナンスや経営も自分で勉強したりしています。

人材育成とか組織論にも手を伸ばしているし、デザインもすれば、自らプレゼンもする。

幅広くあらゆるものを学んでいるので、非常に対応力が高いんです。極論、明日から営業を任されても、かなり良い成績が残せるだろうと思わせるタイプ。

スキルは掛け算なので、プログラミングができてファイナンスが分かって、しかも営業ができるとなると、ものすごいパワーになるんですね。だから、一見エンジニアとは関係のないような領域について学んでみると、これから先、すごく価値のあるものになるんじゃないかと思います。



― 技術以上に、ビジネスに対する圧倒的な好奇心が重要だと?


そう思います。ビジネスへの興味関心が高い人は強い。目の前の仕事とは直接関係ないけどビジネスパーソンとして重要とされる分野についての勉強をしている人は、やっぱりイケてるなと感じます。

明日から全然違うことをやれと言われた時、チャンスだと思えるか。チャンスだと考える人のほうが圧倒的に強いですよね。

僕は以前リクルートにいたんですけど、リクルートって営業から急に編集の仕事になったり、突然SEOやれって言われたり、変化への対応が常に求められているんですね。職種という概念が基本的にないのです。

そういう状況をくぐり抜けた人を見ていて極めて優秀だなと感じていましたし、それが自分の中での「優秀」のイメージになっている部分もあるかもしれません。


― CTOの方(和田氏)は、自分のことを「エンジニア」と定義しているのか、あるいはエンジニア以前に「ビジネスパーソン」という感覚なのか、どちらに近いのでしょう?


完全に「ビジネスパーソン」ですね。エンジニアの仕事は、あくまでビジネスの一つに過ぎないので。


― ビジネスの手段として、エンジニアリングを使っていると?


そうですね。そしてその考え方のほうが、今後はより必要とされるようになると思います。

これからの時代は、専門性の価値の変動が激しい時代だと思います。つい最近まで、引く手数多だった専門スキルが、すぐにコモディティ化したりします。

例えば昔は「タイピング」がそのまま一つの職種になっていましたけど、今はとてもじゃないけど仕事になりません。Excelもそうですよね。

昔は専門家が何人もいて手作業で計算していたのが、今やただのPCスキルになった。おそらくプログラミングも同じ道をたどります。

そうなった時、本当にプログラミングだけで食べていけるのはほんの一握りです。だからこそ別の何かを勉強しないと、今後は厳しくなってくると思います。

たとえば、Facebookの初期を支えたダスティン・モスコヴィッツ氏は、Facebookを手伝うと言った時はプログラムができなかったのですね。そもそも、理系でもなく、経済学の専攻でした。

そこで、週末に『Perl for DUMMIES』(サルでもわかるPerl)を読んで、月曜日に「Now I'm ready.」(準備できたぜ)といったという逸話があります。オチとしては、FacebookはPerlではなかったのですが、ハーバード大学のエリートである彼は、今あるスキルでやれることを考えたのではなくやるべきことを学んで出来るようにした、というところがすごいなと。

やっぱりエンジニアの価値は、プログラミングスキルを超えたところにあるものだと思います。


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(つづく)
「大企業に身を置くことが、致命的なリスクになる」ーnanapiけんすうに訊く![2]はこちら



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