2015.09.11
「とりあえずリスクは無視してみよう」スクー かじり部 鈴木顕照【連載:現場のあの人】

「とりあえずリスクは無視してみよう」スクー かじり部 鈴木顕照【連載:現場のあの人】

WEB・IT企業の最前線で活躍する人物に直撃する新連載【現場のあの人】。株式会社スクーの鈴木顕照さんにお話を伺いました。20代に様々な経験をし、未経験アルバイトからこの業界に入った鈴木さんのキャリア観とは?

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等身大で活躍する「現場のあの人」

いまインターネット業界、スタートアップの現場で活躍している人のキャリアに迫る【現場のあの人】

今回お話を伺ったのは、スクーで放送ユニットマネージャー/かじり部 部長を務める鈴木顕照さん。今年30歳になった鈴木さんは20代で様々なキャリアを積み、2013年10月に未経験の放送スタッフアルバイトとしてスクーに入社。2ヶ月後には正社員になり、僅か2年足らずでマネジメントと新企画の旗振り役を担うまでになった人物だ。

「自分のキャリアそのものを週末学習かじり部に込めた」と語る鈴木さんにご自身のキャリア中心にお話を伺った。その中から見えてきたのは、「リスクがあるとしても、とりえず無視する」という一見無謀にも思えるが、自身の可能性を広げる処世術だった。

人生を変える学びのハードルを極限まで下げる

― すみません、まずはじめに「かじり部」ってなんですか?


かじり部は超初心者を対象とした、主にプログラミングとデザインをその分野に詳しい専門家にコーチとして教えてもらう “部活動”です。

学習って必要に迫られてやるものと、単純に趣味や興味があるからはじめるものがありますよね。かじり部はどちらかと言うと後者のはじめ方をする人向けに学習する機会を提供するものです。

スクーは「世の中から卒業をなくす」「人生を変える学び」と言ったメッセージを発信しているのですが、「少し興味があってはじめたものが自分の仕事になる」そんな世界を実現したいと思っているんです。

schoo かじり部

教育実習、リクルート、アパレル、放送作家、イラストレーターを経て

― 鈴木さんご自身は20代にいろんな経験をされ、スクーにアルバイトとして入社されたそうですね。ご経歴を伺えますか。


高校時代に一番成績が良かったのが家庭科だったという理由だけで、大学では家庭科の先生の教員免許を取得しました。その流れで家庭科の先生になろうと思ってたんですが、教育実習の現場で大きく躓いたんです。


― 具体的にどんな場面で?


決められたカリキュラムを学ぶ学生に対して、いかに興味を喚起させるか工夫しなければいけないのですが、想像以上に授業を上手く進められなかったりして。新卒では教員の道を諦め、リクルートに入社しました。なにかやりたいことがあったわけではなく、家庭の事情でお金が必要になり、単純に新卒の給料が高いという理由だったんですけど(笑)

その後、多少落ち着いたタイミングで退職し、やりたいことを全部やりきろうと思ってリストを作ったんです。そこで書きだしたのが、「アパレル」「お笑い」「イラストレーター」でした。

まずは下北沢にあるアパレルショップの店員として働き始めたんですが、数ヶ月でクビになっちゃいまして(苦笑)。結構ショックだったんですけど「はい、次、次」と切り替えて、タレント養成所の放送作家コースに入り、1年間お笑いを基礎から学びました。その後は放送作家のアシスタントをしながら、個人でイラストの仕事を請けたりして生活していました。

人生、何が転機になるかわからない

― 新卒で大きな企業に入った割にかなり波のあるキャリアですね。スクーにはどういった経緯で?


当時面識はなかったんですが代表の森はリクルート時代の後輩に当たる年代で、「面白いことやっている奴がいるな」とスクーのことは創業当初から知っていました。ちょうど彼らが未経験アルバイトを募集していて、応募したのがきっかけです。昼はアシスタント、夜はschooの放送、夜中はイラスト制作で、当時は寝る時間もないほど忙しかったです。

それから1ヶ月くらい経った頃、とあるタイミングで突然、「社員になってよ」「あとあと、本になるかもしれないんだよ。本になったとき、いまこの場で決めないとダサイじゃん」と森に言われてですね。「なにを言ってるんだろうこの人…、何の話をしてんだろう…」と。

その後飲みに行ってさらに「いま決めたほうが絶対かっこいい。このビール飲み終わるまでに言え!」と迫られ「はい、じゃあ入ります…」と。それからはスクーの社員として放送マネージャー一本で働きはじめた形です。

schoo かじり部

スクーがあるのに自分で可能性を狭めるなんてバカげてる

― ここまで生々しい勧誘話はなかなか聞けません。


振り返ってみると、気持ち悪いほどいろいろつながっているんですよね。教育実習で学ぶ興味を持ってもらう難しさを感じたこと、新卒で入社した会社がきっかけでスクーを知ったこと、放送作家として生放送に面白さを感じていたこと。

20代は本当にずっとフラフラしていて、キャリアなんて考えもしなかったんですよね。ただ興味の赴くままに行動したら、こうして色んなものが30歳手前になってつながってきて、伏線を回収できた感じになってます(笑)


― 20代はなにかと「リスク」を考えることが多いと思います。鈴木さんはいろんなキャリア選択を取る上で「リスク」をどう捉えていましたか?


うーん…。社会的な評価や自信、お金もなにもない時代もあったんですが、自分が何かを選ぶときにリスクを計算したりすることはなかったですね。「死ぬことはないな」程度で。

よく、「スタートアップに入るってことは、リスクをとって大きいリターンを得たいからでしょ。それがなかったら入る意味なくない?」と言われるんですよ。でもなんか、そういうのじゃないんですよね。僕の場合は10人目くらいのメンバーとして入っているんですけど、どちらかと言うと、サービスが育っていくのが見たいだけなんですよね。それが一番。

僕はやりたいと思ったこと全部体験しないと絶対後悔するタイプなんですが、変にキャリアプランやリスクなんて考える必要はないんじゃないかと思います。ムダに選択肢のハードルを上げて可能性や視野を小さくしてしまうのは本当にもったいない。


― ご自身の経験がかじり部にもつながっている感じがします。


本当にその通りで、僕のキャリアそのものなんです。いったん全部試せばいいじゃん、全部かじってから答え出せばいいじゃん、ということです。もしかしたら、才能に気づくかもしれないし、全く関係ないことにだって繋がるかもしれない。

いろんなことにチャレンジしてもらいたい。もっともっと行動起こしてほしい。そのハードルを極限まで下げたのが、かじり部だと思うんです。お金も掛からないし、準備するものも特に無い。もっと自由に自分の人生描けるようにしてほしいんです。


― 最後に、鈴木さんがまだこれだけはやってみたい、将来はこんなことをしたいというものがあれば教えてください。


学びや興味の仕組みを突き詰めて考える学者とかいいですね。あと、いつか必ずジプシーになりたいと思います!


― ありがとうございました!


文 = 松尾彰大


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