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メタップスが学生ベンチャーを買収! 22歳の現役大学生、留田紫雲がバイアウトするまで。

2016-08-04

メタップスが学生ベンチャーを買収! 22歳の現役大学生、留田紫雲がバイアウトするまで。

2016年8月、佐藤航陽氏率いるメタップスより事業買収のニュースが飛び込んできた。なんと買収したのは「VSbias」という学生ベンチャー。代表は現役の大学4年生、留田紫雲(とめだしゅん)さんだ。彼へのインタビューから見えてきたのはこれまでの価値観にとらわれない仕事観、そして未来を変える覚悟だった。

現役大学生、メタップスへのバイアウトを果たす

留田紫雲さん(22歳)は関西学院大学の4年生。そして「VSbias(ブイエスバイアス)」という学生ベンチャーを率いる代表だ。手がけている事業は不動産×ITの領域。たとえば、空室で困っているマンションオーナーなど向けに入居者募集・契約・アフターフォローを代行する。

2016年6月には民泊運用における業務効率化・物件パフォーマンス最大化を図る「All in BnB」の事前登録をスタート。β版リリースを目指す。

      

All in BnBのサイト写真

      

民泊仲介サイトでの物件管理業務を一元化する「All in BnB」


そして飛び込んできたのが、メタップスによる「VSbias」買収のニュースだ。VSbias は2015年11月に創業なので約7ヶ月でのバイアウトということになる。メタップス側は本件について背景をこう語る。


     

メタップスが得意とするデータ分析とのシナジーを見据えたもの。VSbiasには民泊事業における実績があり、メタップスが保有するデータの落とし込み先となる。また留田氏自身のポテンシャルを評価した。市場・環境を高精度で分析し、自ら最善の選択ができる。そういった能力の持ち主であり、新卒社員のような扱いをするつもりは全くない。


「即戦力」という言葉が安く感じるほどの高い評価。このリリースタイミングで留田紫雲さんへの独占インタビューが実現した。彼はいったいどんな人物なのか?そして大学4年生ということで進路に対する悩みやバイアウトにおけるプレッシャーは?

そこにあったのは未来を見据える真っ直ぐなまなざし、そして就活など既成概念にとらわれない考え方だった。

就職でも、資金調達でもなく、メタップスへの売却だった理由

      

留田紫雲さん


ー メタップスへのバイアウト、おめでとうございます。いま大学4年生で、卒業後もメタップスのグループに加わると。なぜ今回の選択になったのでしょうか?


事業でいうと、じつはこの件が進む前、いくつか投資いただけそうなところがあって、数億円規模のバリュエーションでの資金調達は視野に入れることができていたんです。ただ、お金だけあっても事業は成長させられないとも理解していました。メタップスには成長のスピードを上げていける資本力、ノウハウがあり、事業シナジーを起こすことができる。そう共に働いていくなかで得られた実感が多く、話が具体化していきました。そこが決め手です。

また、ぼく自身のキャリアでいえば、「わくわくする方を選びたい」という部分が大きかったと思います。メタップス代表である佐藤さんとお話させていただき、上場企業において相当なリスクをとってスケールの大きな挑戦を常にしようとしている。そういった人は珍しいと素直に感じたんです。

たとえば、メタップスにおける数十億円の調達がニュースになりましたが、「何に使うんですか?」と伺ったら「いやぜんぜん足りない。2000億円必要で」とより大きな構想が返ってくる(笑)スケール感が自分のレベルとは違いすぎる。だからこそ、共に事業を進めることで見える世界、自分の世界が広がると思いました。

起業しながらメタップスではインターンとして働かせてもらっていたのですが、社員みなさんが良くしてくれて。すごく相性がいいこと、尊敬できる方々が多いことも事前にわかっていたので、それも後押しになりましたね。

まわりが「どうせ負ける」と思っている勝負を仕掛けて勝ちたい

留田紫雲さん


ー それにしても学生起業で 7ヶ月のバイアウトは驚きです。もともとビジネスに興味があったのでしょうか?

いえ、もともと全く興味はありませんでした。じつは中学・高校とサッカーに捧げてきた人生だったんです。世界大会に出場したこともあって、本気でプロを目指していました。ただ、高校生になったくらいから壁が見えはじめ、どこか惰性でサッカーを続けてしまっていました。

ちょうどそのタイミングも重なって「どうチームを強くできるか」「上を目指せるか」とチームビルディングや自己啓発など、よくビジネス書を読むようになったんです。

当時、お金がなかったので部活が終わってから本屋さんで毎日2時間立ち読み(笑)その時に出会ったのが藤田晋さんや堀江貴文さんの本で「ビジネスっておもしろい」と衝撃を受けました。

進学後、もし大学生活をダラダラと過ごしたら「サッカーから逃げた」ことになってしまう。焦りと危機感、強迫観念にかられていました。なので、大学1年の時には通信会社で営業として朝9時から夜23時くらいまで生き急ぐように働いたりもしていましたね。「サッカーではなく、むしろこっちの道を選んだ」と言いたかった。そんな自分を肯定したくて、結果を出そうと必死でした。


― そのあとも名だたる企業でインターンを経験されていますね。「学生時代はモラトリアムだし遊ぼう」みたいになりがちですが、ぜんぜん違うというか。


サッカーの影響が大きいかもしれません。ずっと「日本一になるのがあたり前。プロとしての自覚を持て。結果を出してこそ次にチャンスがもらえる」という環境だったんです。

ただ、それも単に「環境」がそうさせたというだけだと思うんです。たとえば、厳しい外資系企業に新卒で入社して揉まれるとか、起業して自分の無力さに気づくとか、いろんな方法でプロ意識は醸成できる。環境次第で学生であろうが、新卒社員であろうが、成長していけるんじゃないかと思います。


― そもそも「きびしい環境に身をおく」と選択することがむずかしそうです…。


チャレンジってそもそも「負ける」ことがあたり前だから、チャレンジしておいて損はない、そう自分に言い聞かせています。自分が勝てると分かっている勝負って勝っても、嬉しいけど実は利益って薄いんですよ。まわりが「負けるだろう」と思う勝負で勝ったらすごく得るものが大きいわけですよね。ハイリスク‐ハイリターンの原則。逆に負けても「まぁそうなるよね」となるだけだから、失うものはほとんどありません(笑)

― 負けたり、失敗したりってまわりから「ダメなやつ」と思われそうで…怖くないんですか?

最終的に結果を出せばいい、そう割り切っています。いい例えかわかりませんが、女性に声を掛けるのも同じですよね(笑)声をかけて「なにこいつ」って思われて失敗したらすごく恥ずかしいじゃないですか。でも「そもそも失敗するのが当たり前」だと思っていたらできるはず。そして数を打てば成功率はあがる。…この例えで大丈夫ですかね(笑)


― 等身大の大学生らしさがあっていいと思います(笑)


就活はおもしろい

留田紫雲さん


― 大学でビジネスを学びはじめてからは「起業してやっていく」と決めていたんですか?


いえいえ。じつは、起業して2ヶ月目くらいの時にぼくも就職活動していたんですよ。正直、不安もあって、リスクヘッジというか、起業と就活を並行していました。


― 就活をしてみた感想は?


就活ってスーツ着て、かっちり面接して…という堅いイメージがあったのですが、ぜんぜんそんなことなくて、すごくおもしろかったです。

というのも、採用面接なのに「起業していて…」と話したら、いろいろな会社の人がおもしろがってどんどん上の人に会わせてくれて。経営者や役員の人たちってビジネス大好きだから「一緒にやろうよ」とか「こんな風にやったらもっとおもしろいかも」とかアドバイスをもらうことができました。

例えば、とてもお世話になったのはfreeeさんですね。面接で野澤俊通さんと仲良くなり、株主を紹介してくれて出資をうける相談などもできました(笑)また、他社でも取引先や関連会社を紹介していただいたり、何か社内でも一緒にできないかと稟議にあげていただいたり。もう就活という感じじゃなかったかも。しっかり人生を考えてくれる先輩方にお会いできるとても貴重な機会になりました。世の中的に良いか悪いか分からないですけど、就活して良かったですね。


― ただ就活において「起業」は好意的に受け取られないケースもある気がします。企業側がどう評価していいかわからなかったり。


そうですね。頭ごなしに否定されることはないですが、「そんな小さいことやってどうするの?」とか「それは経営とは言えないよ」とか「やっていることのレベルがうちとは違う」とか。いい面だけではなく、さまざまな反応がありました。

人事の方だと一般論やキャリア論をお話いただくケースも多かった気がします。「先々のキャリアを考えたときに…」と。それはそれで大切なことですが、ぼくの場合はキャリアの話よりも、事業の話がしたかった。人事の方の場合、やっぱり経営者や役員の方と考え方が少し違うこともあるのかもしれませんね。


ー かなり分析されていますね(笑)ちなみに学生の間には「意識高い系」という言葉があったりしますが、留田さんはそういったカテゴライズなど気にしますか?


ぼくは「意識高い」と言われている側にも少し問題があるって思うんですよね。意識高い系が嫌われるのって行動よりも先に「声を張る」タイプかなと。言っているだけで何もやってなかったり、その価値観を誰かに押しつけようとしたり。

たとえ何か行動していても「就活に有利になりそうだから」という狙いが見え隠れしていたら、周りからは「ホントにそれがやりたいこと?」という風に見えてしまうんですよね。目的と手段が入れ替わっているんじゃないかと。

「ただ自分がやりたいことをがんばっている人」って別に非難されないわけですよね。スポーツでも頑張ってプロになった人に対して、嫉妬はあるかもしれませんが、誰も否定はできない。単純に「それは凄いこと」と認識される。だからやったこと、動いたこと、成果で語っていけばいいんだと思います。

発見と挑戦、それがぼくにとってのシゴト

留田紫雲さん


ー 最後に。今回メタップスの一員になったわけですが、これから、なにを目指していくのか、伺わせてください。


いまの不動産事業はテクノロジーを用いた「空間」の再設計と捉えています。この視点をより大きくして「街」全体の空間やバランスの再設計の領域に取り組みたい。そのために資本家を動かしたり、経済力・影響力のある人を巻き込んだりしていければと考えています。

ぼくの人生として目指す先は「偏見を壊して、発見を広げる」ということ。じつは海外旅行をしたときの体験がすごく大きくて。同じタイに2回行ったんですけど、「街」がぜんぜん違う風に見えたんですよね。2回目は起業したあとだったので、なぜこの街には活気があるのか。人気の秘密はどこか。視点が変われば、景色さえもガラッと変わる。

これって新しい世界は「外」にあるんじゃなくて「内」にあるということ。自分の捉え方で世界が変わるという経験をして、これを広めたい。「VSbias」も“バイアスと闘う”という意味ですし、ロゴも脳みそを羽ばたかせていろんな世界を見せていくことを意味しています。だから仕事ってぼくにとって「発見」の連続であり挑戦。世界を広げていくこと。それを自分だけのものにするのではなく、たくさんの人に広めていきたいですね。


― 学生の場合、どうしても「就活」という選択肢にばかり目がいきますが、自身が目指すものと向き合い、一歩一歩着実に動くことで開ける道もあるのかもしれませんね。本日はありがとうございました!



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