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メルカリを真似しても勝てない決定的な理由。山田進太郎が語る「愚直さ」という武器

2016-09-06

メルカリを真似しても勝てない決定的な理由。山田進太郎が語る「愚直さ」という武器

山田進太郎氏はメルカリ創業時から「海外で勝負したい」と公言してきた。そして2016年7月末に米App Storeでメルカリは3位へ。今年3月の資金調達時には700万DLだったが、9月6日現在1900万と驚異的にDL数を伸ばしている。なぜメルカリは競合の追随を許さないのか。その背景を、山田氏が語った。

アメリカでの成功。その裏側とは?

※Tech in Asia TOKYO 2016(2016年9月6日開催)で行われた山田進太郎氏のトークセッションよりお届けします。

セッションは多くの人が気になっている「米App StoreでDL数を伸ばしている背景」についての質問から始まった。山田氏によれば、特別なことは何もしていないという。同時にメルカリが持っていたUSでも成功する要素と、Snapchatが起点なって盛りあがっていった背景などに言及があった。

特別になにか仕掛けたということではありません。ただ、改良を重ねてUSにフォーカスしていく。その結果、盛り上がっていったということはありますね。Snapchatのユーザーがインフルエンサーをメルカリに招待して、そこから誘われた人がまた招待をして。こういった連鎖は生まれていったんだと思います。

バズが起こった後には、インフルエンサーにアプローチしたマーケティングも行ったいう裏話も。ただ、結局は、マーケティングとして行ったものよりも自然に発生したものの方が良かったという結論に達したのだという。また、海外に挑戦する理由についても語った。

USでは、似たようなサービスでファッションなどのジャンルに特化している会社はありますが、モバイルのCtoCの総合的な専業型の会社はまだありません。メルカリでは開発チームは日本が中心ですが、リソースの9割ぐらいはアメリカ向けの開発に焦点をあてています。ABテストなどもアメリカの結果を見て、反応よければ日本に反映させるというスタイルです。

続く質問はUSにおけるユーザーについて。ここはアメリカにおけるGoogleやFacebookと同じように、学生たち中心に盛り上がりを見せていったと語る。また地域によって異なるユーザー層についても触れられた。

また幼いお子さんを持つ若いお母さんたちに使ってもらっています。特にカリフォルニアやテキサス、中西部の方々が多く使っています。やり取りされているモノとしては、子ども向けのおもちゃや若い女性向けのファッションアイテムなど。女性たちが好むアイテムがランクインしているのが特徴です。

キーワードとしては「ファッション」「ナイキ」「ルイヴィトン」「メイクアップ」「携帯電話(スマホ)」などだという。

メルカリをコピーしても勝てない決定的な理由

メルカリ 山田進太郎さん

楽天が《FRIL》を買収したという大きなニュースがあり、注目を浴びるCtoCのマーケット。今後、モバイルファーストのスタートアップによる参入も増えていくことが予想される。もし、メルカリのようなサービスが出てきたら果たして同じように成功できるのか。山田氏はGoogleなどの事例を交えてメルカリの優位性について語った。

たとえばGoogleの場合。検索という機能自体は誰にでもつくることができますが、彼らはその後細かい改善を繰り返すことで、動画も画像も地図も場所も検索できるようにブラッシュアップしてきました。Microsoftというほぼ無限の資金を持った企業が競合してきても、Googleの検索が使われ続けていることが、優位性の高さを証明しているといえるでしょう。

では、山田氏の考えるメルカリの優位性とはどのような取り組みから生まれたものなのか。

我々も愚直にサービスを改善していくということを大事にしています。ビッグデータを用いてカテゴリーや価格のサジェストを行なうなどすると、明確に出品完了率が上がるわけです。そういう細かな改善を繰り返し、出品までいく・購入までいく人という数を少しずつ増やし続けていく。その結果、生まれた0.1ポイントとか1ポイントといった差が“べき乗”で効果になるので、最終的に他が追いつけない場所にいられるんじゃないかと思ってます。だから、僕らとしては愚直に改善を繰り返して、技術に投資しようという考えですね。


また、アメリカでよかったものは日本でも導入しているので国内に力を入れていないという訳ではありません。日本ではヤマト運輸さんと提携するなど、アプリ自体のUXだけではなく、サービス全体としてのUX自体を改善することを意識しています。ここ1年でも、かなり改善を重ねてきました。

世界標準であるために

今回のセッション参加者の多くが関心を抱いている「海外に進出する上で必要な心構えとは何か」というもの。山田氏からは"次のマーケット”を選ぶときの考え方について語られた。

前提として、私はどのように次のマーケットを攻めていくのかを考えるうえで「正解」はないと考えています。ただ、世界的に成功している会社がどのようなビジネスをしているのか、どのような意思決定をしているのか、どのような報酬体系なのか…などを勉強をしてデファクトスタンダードを知ることは良いヒントになるかもしれません。いい人を採用しようと思っても海外に自分のやり方を押しつけても仕方がないですよね。デファクトスタンダードを知っておかないと成功することは難しいのではないでしょうか。

最後に語られたのは、日本企業が海外に進出する成功事例が少ない理由について。なぜ海外で成功する企業が少ないのか、山田氏の視点で話された。

日本が豊かになったからだと思います。TOYOTAやSONY、HONDAなどが海外で成功した当時は日本自体のマーケットが小さくて国内だけでは伸びずメーカーも海外に進出しないと成長できませんでした。


その一方で、 今はどうしても日本で小さなビジネスモデルをつくって稼いで上場できてしまいます。数字が大きい分、売り上げのある日本の方に意識が向きがちで、何をやればいいのかわからないので海外に対しての優先度が下がってしまう。これは、日本が良い環境になっていることの裏返しではないでしょうか。生活という意味でも日本は安全だし、ご飯も美味しいし(笑)。海外に出ると色々なものを捨てなければならないっていう。

そういう意味では若いうちに海外へ行ったほうがいいかもしれませんね。僕がアメリカに住んだのが26歳くらいなんですけど、それでももう遅いな、と。もっともっと早い時期に海外で、世界標準的なやり方や考え方を理解できていたら違う人生になったかもしれない。だから今は日本の良いところを活かして海外で成功するということを自分としても会社としても挑戦していきたいと思っています。

(おわり)



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