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採用のお悩み解決! スタートアップが採用でやってきた裏ワザ公開《ビジネスサイド編》

2017-04-04

採用のお悩み解決! スタートアップが採用でやってきた裏ワザ公開《ビジネスサイド編》

スタートアップにとって「創業時の採用」は大切。ただ…お金がない、応募がない、計画の立て方がわからない…など悩みは尽きないもの。経験者はどう乗り越えてきた? 緒方仁暁氏(コロプラネクスト)、福田航太氏(カリーグズ)、山田裕一朗氏(ファインディ)、奥田健太氏(Retty)が語った採用のウラ側公開!

自分以上に優秀な人を、どう採用する?

※2017年3月に開催されたイベント『シード・アーリーフェーズ経験者語る!!"創業時期を支える"採用論』(主催:コロプラネクスト×ネットジンザイバンク)よりお届けします。


今回のイベントは赤裸々トークが満載。スタートアップで採用するとき、年収やストックオプションをどうしている?どんな失敗談があるのか?こういった話が共有された。

コロプラネクストのキャピタリスト、緒方仁暁さんによるモデレートでスタート。《ビジネスサイド編》における最初の問いは「自分の会社にはいない優秀なビジネスサイドの方をどうやって採用するか」というものだった。

緒方仁暁さん(コロプラネクスト)

緒方仁暁さん(コロプラネクスト)


開始早々、山田裕一朗さん(ファインディ)からスタートアップならではのウラ話が飛び出した。山田さんは創業期のレアジョブに入社。執行役員を務め、起業した今もパートナーとして仕事をする。


山田:
(レアジョブの創業期において)それまで基本的に私が面接に入っているはずだったのですが、ある人の面接の時だけ外されていて、気付いたらその人が入社していたんです。じつは私の部下だったメンバー全員が、その人の下に移るという経験をして。実質、マネジメントから外されたんです。当時、たぶんマネジメントにおいて私のスキルが足りなかったんですね。だから経営サイドは正しい判断をしたと思います。…ただ、そう思えたのは後々のことでその瞬間はすごくムカつきましたけど(笑)

福田:
今、私たち(カリーグズ)は入社予定者含めて5人のフェーズですが、メンバーは確実に全員、僕より優秀だと思います。なぜ採用できたか。意識してやったことはマメなPRですね。頻繁にブログを書きましたし、些細なプレスリリースでもPR TIMESに掲載して。あとは自分のFacebookに投稿したり、関連しそうなコミュニティに投稿したり。これを継続すると前職・前々職の知り合いが「福田がなんか頑張っているぞ」とシェアしてくれて、少しずつ周りの人に広まり、採用につながりやすくなりました。そういう意味では、採用と「巻き込み」はニアリーイコールですね。

奥田:
Rettyでは、これまで自分がCFO(最高財務責任者)を担当していたのですが、2016年10月に新しくCFOを採用できまして。その人物は自分より年上で、監査法人、戦略的コンサルティング会社、プライベート・エクイティ・ファンド、その後「築地銀だこ」を運営するホットランドに出向して上場させる…欲しい経験を全部持っていて。迷わず採用しようと思い、口説き始めました。

きっかけは情報収集している時に「ホットランドのIPOは彼がいなかったら実現しなかった」といった話を聞いて、「あ、その人知り合いだったな」と。すかさずFacebookで「ランチに行きましょう」とメッセージを送ったんです。

特に何も伝えていなかったので、当時ファンドに所属していた彼は当然出資の話だと思ったようですが、「うちの会社でCFOを探してるんです」と伝えて。「後輩を紹介するよ」と言われたので、「いやいや、そうじゃないんです。うちに興味ありませんか?」とストレートに想いをぶつけました。

自分のこれまでの採用活動の経験から「人は予期しない質問をされると思考が揺さぶられて、深層心理が出やすくなる」と思っていて。恋愛も一緒かもしれません。好きな素振りが見せなかった人からいきなり「好きです」とて言われたらすごくドキっとして気になりはじめるもの。それと同じでストレートに想いを伝える。で、半年くらい口説きましたね。最終的には情熱と意外性で押し切って入社してもらえました(笑)

お金をそこまで多く出せるわけではないので、自分たちが解決しようとしている課題がどれぐらい大きいか。そして、その課題を解決しようとするサービスのコンセプトがどれだけいいか。それを情熱的に伝えるしかない。実際、常軌を逸したレベルでアピールし続けて「入社してもらうことが不可能だ」と思っていた人が入社してくれたことが、過去に何度かありましたね。

福田:
誤解をおそれずに言うと「無邪気に声を掛ける」って大事ですよね。向こうからしたら唐突なのですが、「この人は絶対に優秀だ」と思って声を掛けたら、誰だってわるい気は全くしないもの。実際、僕の場合もいきなり断られたことはなくて全てポジティブに受け止めてもらえてますね。

年収レンジ、ストックオプション…どんなバランスで決める?

福田航太さん(カリーグズ)

福田航太さん(カリーグズ)


続いて話題は口説くときの「年収レンジ」と「ストックオプション」について。たとえば、優秀な人を採りたいけれど、現職の半額にも満たない…そういったケースも。このお金の問題をどのようにクリアしていったのか。


福田:
(コンサルティングで)さまざまな会社を見てきたのですが、ストックオプションを採用に使うケースもあります。採用したい人のオファー額が現年収よりも下がってしまいそうな時、金額のギャップを埋められるぐらいと+αのストックオプションを付けるという話をすることもあります。自分たちは大きなマーケットを狙って戦っている。会社が大きくなれば当然リターンがあると思えることは良いモチベーションの種にもなりますよね。ただ、勢い余って付けすぎてしまうと、あとから欲しい人材が現れたときに既存株主との兼ね合いによっては付けづらくなってしまうので、慎重に考えたほうがいいと思います。

奥田:
基本的にはフェーズの問題だと思いますが、一般的には「給与は高めでストックオプションは少なめ」か「給与は低めでストックオプションは多め」のどちらかを選べる状態にするのが良いかなと思います。実際、私がRettyに入社するときは相当初期だったので、給与とストックオプションをセットで考えていました。

山田:
創業の「時期」による部分もあるかもしれませんね。資金調達において「環境が良い時期」と「悪い時期」があって。たとえば、レアジョブの場合、2007年創業なのですが、創業直後にリーマンショックの影響をもろに受けたんですよね。入社における前提として「給与をたくさん出す」という発想もなかったですし、「ストックオプションを出す」という発想もなくて。もちろん、私にもストップオプションはなかったし、前職における半分の給与でレアジョブにジョインしました。

ただし、今は資金調達における環境も良いので、個人的にはある程度の給与で出していった方が良いと思いますね。

奥田:
山田さんの考えは本当にその通りだと思います。特にエンジニアの場合ですね。一人の優秀なエンジニアを採用できれば、プロダクトのアウトプットが10倍以上の質になる可能性がある。だからこそ、無理してでも高い給与で採用した方が良い場面があると思っています。どれだけ全体のアウトプットにレバレッジが掛けられるか。

福田:
うちでは大幅に給与を下げて採用することはしていないんですよね。奥田さんが言ったことと同じで、絶対に自分よりも優秀な人に来てほしいですし、自分が出来ないことをやってもらうのだから、そこに敬意を払う。そのために頑張らなければいけないと思っています。

これまでの採用における失敗談

山田裕一朗さん(ファインディ)

山田裕一朗さん(ファインディ)


そして話題は「採用における失敗談」へ。それぞれの失敗談と併せて「失敗しないために重視しているポイント」が共有された。


山田:
採用において入社後の活躍という意味ではうまくいかないことも起こってしまうものなので、同じ失敗を繰り返さないための決まりごとをつくって経営幹部層で「合言葉」にしていけるかどうかが大事だと思います。たとえば、「これから採用していく人は平均より能力が高いかどうか」を人事がチェックし、高い人を採用するなどはシンプルで効果的です。あるアメリカのIT企業が導入していたらしくて。当然会社としてのレベルが上がっていきますよね。レアジョブ時代も「合言葉」は異なりますが、より優秀な人を採用して、日本人1000万人が英語を話せる社会を早くつくろうという話をしていました。

福田:
特にコンサル先では2つ気を付けてることがあります。ひとつ目が、事業計画に基づいた採用活動ができているか。「直近で人が足りないから採用する」のではなく、今後の成長に向けて本当に必要かどうか精査しないと、せっかく採用したのに「実は必要なかった」ということが起こりかねません。

もうひとつはそのポジションは本当に採用しないといけないのか、一度見直すことも必要だと思っています。ある事業部長さんと仕事をしたとき。その人はどんどん他社とアライアンス結んでいって。仕事を外部に委託したり、仕事をうまく切り出してアルバイトや派遣社員の人に任せたり、採用に限らないリソースの調達がうまかったですね。

採用に向いている人、向いていない人

創業期のスタートアップの場合、専任人事がいないことも当たり前。どういった人が「採用がうまい」といえるのか。その傾向などについても言及が。


山田:
マーケティング思考があるかどうか、ここがスタートアップの採用ではかなり重要だと思っています。はっきり言って、大手のベンチャーやコンサルティング会社に比べるとスタートアップって全然人気がないんですよ。

募集をかけても誰からも応募がなく、採用したい人が現れるまで、かなり頑張らないといけない。その前提があるなか「口説きたい人が目の前に現れる」というのはそれだけでもけっこう幸せなことなんですよね。

今の時代、ブログを書き続けるといった情報発信は誰でも出来るようになってきているので、それをどう活用できるか。そういう意味では、「マーケティング」の経験者を採用の担当に持ってくることはやっていました。

たとえば、HRテクノロジーカンファレンスというイベントが2016年にアメリカで行われて。そこには、CMOが採用にコミットしている会社が登壇していたんですよ。で、ペルソナ設定を実施し、ターゲットを明確に設計できているところは採用も強い。ターゲットをしっかり設計できているか。ここは、これからの採用担当に求められるという感覚は持っています。

情熱がピュアであればあるほど心は動かされる

最後のパートは会場からの質疑応答。Rettyの奥田さんへの質問をご紹介。「口説いた場合における成功確率はどれくらいか?」その回答とは?

奥田健太さん(Retty)

奥田健太さん(Retty)


奥田:
どれぐらいの確率かといえば、自分は優秀な人に会ったら「いつから来るの?」っていつも言っちゃうんですよ(笑)だから成功の確率でいえば、ものすごく低いですね。

ただ、その確率はあまりどうでもいいと思っていて。結局、接触したリーチ数とコンバージョンレートの話。もちろんベストを尽くしますが、それよりはリーチ数を多くすることを大事にしています。ずっとFacebookの友だち一覧を見ながら、「良い人いないかなぁ」って探しているくらいです(笑)。

先ほどの話にもありましたが、「一緒に働きたい」と言われて、嫌な気持ちをする人はいない。もちろん変にムリ強いはしませんが、それぞれ人にタイミングがあるので、数カ月に1回会って話をしたり、半年後に話をしたり。そうすれば、入社を考えてくれるかもしれない。そういう意味では定期的に情報を発信しつづける、直接コンタクトをとる。ここを継続していくことが重要だと思います。

スタートアップ採用担当者へ、熱いメッセージ!

イベントの最後は、先駆者であるみなさんから参加者に一言ずつ「スタートアップの採用にとって大切なこと」のメッセージが贈られた。


奥田:
情熱はいろんな人の心を動かすものでピュアであればあるほど伝わりやすいと思います。事業に対する「曇りのない愛」を伝え続けていけばしっかり伝わるのだな、というのが実感です。かなり根性論みたいな感じになってしまいますが、それが一番大事だと思います。

山田:
スタートアップが勝てるかどうか、ほとんど人で決まると思っています。自社のサービスの競合が増えてきて、その中でどう勝ち残っていくか。「良い人材採用できたなぁ」と思えることが大事だと思います。

あとは、どこの会社も同じようなパターンにハマってくんですよね。エンジニア領域も、ビジネスの領域も、「人数がこれぐらいの規模になったら、こんな問題が起こる」みたいなものはかなりあって。いま思えば、それを早くに知っておけば良かったのかなと。なので、いろんな人の知見を活用しながら、会社を成長させていけるといいなと思っています。

福田:
自分にできないことをちゃんと認めること。「自分はこれが苦手だから、これをお願いしたい」と言えば、採用の時もそうですし、入社してからもみんな助けてくれるんですよね。やりたいことは高々と掲げつつ、自分で出来ないことはちゃんと任せるようにする。そうすれば、きっと採用も成功すると思っています。




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