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なぜ『Kyash』にエンジニアが集まる? 元Google 及川卓也氏も参画するテックチームの裏側

2017-07-19

なぜ『Kyash』にエンジニアが集まる? 元Google 及川卓也氏も参画するテックチームの裏側

CtoCでの送金がアプリ上で行える『Kyash』。シリーズAでの10億円超の資金調達、元Googleの及川卓也氏が技術顧問に就任したことでも話題となった。もう一つユニークなのが、多彩なバックボーンを持つエンジニアが集まっていること。今回はその背景を探ってみたい。

技術面でも『Kyash』が注目される理由とは?

スタートアップが直面する大きな課題のひとつに「エンジニア採用」が挙げられる。そのなかで『Kyash』にはユニークなエンジニアが集まってきている。

現状、社員における約半数がエンジニア。ホームページから直接応募があり、採用したiOSエンジニアもいるそうだ。

同テックチームを取材することで「優秀なエンジニアが、これからの時代、キャリア選択で重視するポイント」が見えてくるのではないか。

そう考えた編集部では、同社にてバックエンドを中心に活躍するエンジニア、佐藤源紀さん(33)にお話を伺った。

エンジニアのなかでも、佐藤さんは事業を見渡しつつ、より現場に近いポジションで活躍。いちエンジニアとしてのフラットな目線で話を伺うことができた。

まずご自身が見たポイントとして、下記3点をあげる。


・事業ドメインへの共感
・スタートアップという組織面の強み
・金融業界に、テクノロジーで革新を起こす


この3点について、それぞれ詳細に伺えた内容について見ていこう。

事業ドメインへの共感

まず佐藤さんが語ってくれたのは「送金・決済」を事業ドメインとしている点について。特に個人的に抱えていた課題にフィットした部分も大きいという。

佐藤さん

私が入社した2016年12月、サービスリリース前だったので、0から1もしくは1から10というフェーズ、序盤から関われる部分に興味がありました。

また、事業の可能性といったところで、かなりしっくりきて。まず、私自身が家計簿サービスを利用することが多いのですが、送金・決済まわりにはまだまだ課題があると感じていたんです。

クレジットカード経由の決済は家計簿サービスにまとめることができるものの、現金での管理は煩雑で。割り勘であったり、お金をそのまま渡したりするケースは記憶を頼りに家計簿につけるしかなく、不便を感じていました。

「大した不便ではない」と思われるかもしれませんが、スマートに管理したいと考えた時、マインドの部分ではかなりのストレスになる。できることなら本来、全てキャッシュレスでやりたい。

このあたりの課題に対し、『Kyash』で解決していける。一緒に働くエンジニアもかなり事業への共感度が高い。サービス、事業の方向性に対してものすごく敏感ですし、意見を積極的に発信していますね。

kyashのui

2017年4月に公開された、個人間の送金を簡単に行えるアプリ「Kyash」。商品券やプリペイドカードと同じ「前払式手段発行」という仕組みを採用。登録時の審査不要で、誰にでも送金ができる。


事業としてみた時、よく“『Kyash』は銀行と重複するのではないか?”と言われるのですが、共存をしていくもの。前回の資金調達ではメガバンクのベンチャーキャピタルに加え、銀行本体からも出資を受けている背景も、そこにあります。

たとえば、10万円以上の送金に関しては、家賃の振込など、やはりこれまでどおり銀行が主流であり続けるでしょう。ただ、少額の送金に関しては、『Kyash』のような手軽に無料で送金ができるサービスの出番。送金の原資をクレジットカードとすることで、従来はお買い物にしか使われてこなかったカード決済の活用範囲が広まっていきます。

つまり、これまでカード決済が用いられる場面が「人 対 お店」だったところを、「人 対 人」にも広げていく。商圏を拡大させていく。ここを実現したいと考えています。

スタートアップという組織面の強み

佐藤さんが次に語ってくれたのは、組織上の強みについて。金融領域に新たな風穴を開けようとする時、意思決定が速やかにされるスタートアップは大きなやりがいになるそうだ。一体、どういったことなのだろう。

佐藤さん 前職は、DeNAにてゲームや新規事業の開発に携わっていた佐藤さん。金融業界における技術的なチャレンジ、スタートアップの領域へ。

金融業界で活用されているシステム、その構造、組織的な部分に関し、多かれ少なかれ、何かしら問題意識を持っている人は多いと思うんです。いちユーザーとしてサービスをつかった時も、仕事上で金融機関やベンダーと何かしらやり取りをした時も。

たとえば、たった1回のデプロイのために、いくつも判子を押したり、別セクションに根回しが必要だったり、目的を達成するための最短距離が取れないことも少なくありません。

その点、スタートアップは圧倒的なスピードで意思決定できる。これは金融業界から転職してきたメンバーも口を揃えて言っていた強みです。

わりとセクションを越えて意見したり、プロダクトに対する想いを言葉にしたり、巨大な組織にはないカルチャーがある。プロダクト志向で働きたい。そう考えていたので、自身にフィットする環境だったと思います。

金融業界に、テクノロジーで革新を起こす

最後に伺えたポイントが「技術的なチャレンジ」について。『Kyash』のユニークなところとして、技術的なシナジーを含め、メガバンクと連携を視野に入れていること。さらにゆくゆくはオープンソース化を進めたいと語る。その真意とは?

佐藤さん


技術面から見て『Kyash』がユニークなところとして、Go言語で開発できていること、そしてオンプレではなく、100%クラウドでやれていること。ここは大きいですね。

サービスとしては銀行のキャッシュカードの代わりに使えるところがかなり新しい。パッと24時間いつでもどこでも送金が出来て、送ったお金は即時、オンラインで利用ができます。

この即時性を銀行が実現していくのは、じつはすごく難しいんです。別の銀行に振込をするときには必ず手数料がかかります。この要因の1つとして、裏側にある複雑なシステムを用いるための手数料があります。15時以降は翌日扱いとなるのもその裏側のシステムに起因しています。

その点、『Kyash』はリアルタイム、無料でのやり取りを実現する。勘定系システムも自前で作っているため、金融業界では類を見ず、それによる柔軟性・拡張性といったメリットを最大限ユーザーに還元できる。

こういったノウハウを蓄積した上で、さらに推し進めたいと考えているのが、オープンソース化です。技術顧問である及川卓也氏にもアドバイスいただきながら、長期的な視点で実現していきたいと考えています。

特にクレジットカードまわりのシステムは、かなりブラックボックスです。通常、エンジニアが触れる領域ではありません。ただ、セキュリティを担保した上で、コードが扱えるようになったり、共有できたりしたら、クレジットカードを利用した新しいサービスも生まれてくるはず。

それが『Kyash』にとってどう利益に結びつくのか?といった見方もあるかもしれません。でも、自分たちの会社が生み出した価値を対し、何かしらのインプットや貢献が返ってくれば、それはライフサイクルが生まれるということ。業界そのものをアップグレードさせていかなきゃいけない時期だと思っているので、「業界全体で課題に取り組もう」といったメッセージになると思っています。

また、『Kyash』の仕組みはブロックチェーンや機械学習との相性もいいと捉えています。そのあたりも積極的に活用したいですね。


多くの観光客が訪れる2020年、東京オリンピックはひとつの契機。現金を持ち歩かない、スマート決済があたり前の時代は、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。そういった未来に『Kyash』がどのような火付け役となっていくか。今後も注目していきたい。



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