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CAREER HACK

創業者・赤坂優は、なぜエウレカを去ったのか? いま明かされる退任の舞台裏、そして次なる挑戦。

2017-11-29

創業者・赤坂優は、なぜエウレカを去ったのか? いま明かされる退任の舞台裏、そして次なる挑戦。

2017年10月31日、赤坂優氏は恋愛・婚活マッチングサービス『Pairs』を運営するエウレカの取締役顧問を正式に退任した。なぜ、彼は第一線から身を引く決断をしたのか。その真相に迫ると同時に「もう一度、大きな勝負がしたい」と語る、彼の未来へのまなざしに迫った。

「くすぶっていられない」

DMMによる70億円でのCASH買収、スタートトゥデイが仕掛ける『ZOZOSUITS』、『メルカリNOW』が話題騒然のメルカリ…

こういった刺激的なスタートアップの動きに対し、彼はどのようなまなざしを向けているのだろう。2015年、米InterActiveCorpにエウレカを売却し、ひとつ大きな成果を残した起業家、赤坂優さん。

2017年10月31日、エウレカの取締役顧問を正式に退任。ここ最近では、個人として20社以上に出資するエンジェル投資家として活動する。たが、退任に寄せたFacebook投稿にはこう記されていた。

僕自身は25歳で創業して、もう34歳。時が経つ早さに驚いています。もうすぐ人生終わるなと。だからこそ、エンジェル投資家ではなく、起業家としてもう一度トライしていきたいと思っています。--Facebookの投稿より引用。


起業家としてもう一度トライしていきたい。

この言葉には「くすぶっていられない」という強い思いがあったー。

エウレカ、第二創業期へ。

赤坂優さんの写真

― まず多くの方が気になっているのが退任の背景かと思います。なぜエウレカを去るという決断に至ったのでしょうか?


できるだけ率直にお伝えすると、2015年にエウレカのM&Aが決まった段階、むしろその直前あたりから、当時の経営メンバーとはずっと話し合いをしていました。

「IAC、Match Groupの一員としてのエウレカ」として、いかに親会社とシナジーを生みながら育っていくか。そのために必要な人事、組織体制はどういうものなのか。僕自身の役割や強みを考えた時、果たして代表でいつづけることが、これからのエウレカにとってベストなのか。

たとえば、2012年にリリースした『Pairs』ですが、登録会員数も順調に伸びており、2017年8月時点で累計600万人を突破しています。すでに事業は「立ち上げ」から「グロース」に向かう第2フェーズ。小規模チーム、0→1でバリューを発揮してきた自分に求められる役割も変化してきているのが事実でした。

なので、2015年あたりから、ビジョンや方向性は示しつつ、現場レベルで意思決定し、「自分たちで事業をまわしていける組織」を志向していて。それがうまく機能するようになっていったんですよね。実際、2016年7月には代表を降りて、現CEOの石橋準也が主導で経営を担ってきました。決して謙遜ではなく、事実として「事業をさらに成長させていく」という目的に対し、僕よりも優秀な人材がエウレカには多くいる。彼らに任せることで事業をより伸ばしていけるという確信がありましたし、実際に結果がそう物語っていました。

「赤坂さん、そろそろ違うことやりたいんじゃないですか?」

赤坂優さんの写真

― 退任にあたってどういった話し合いのなかで決定したのでしょうか。


じつは決定的な話し合いがあったわけではないんですよね。ある意味、ドライといえばドライなのかもしれませんが、僕が役割として代表を退任するという経営陣の認識があり、意外と実務的なところで話が進んでいきました。もちろん僕としては寂しさは感じつつ…後任を担ってくれた石橋から言われたことがあって。


― どんな言葉だったのでしょうか。


「赤坂さん、そろそろ違うことやりたいんじゃないですか?」と。自分のなかに揺れ動く気持ちがあって、お見通しだったのかもしれません。いろいろな理由はつけられますが、結局、「赤坂優」という個人でいうと、自分の心にウソがつけなくなっていたというのも正直にお伝えするとあったんだと思います。

自分はどこにいて、何をすることで、輝きつづけられるのか、見つめ直したい。はっきり言って、まわりのみんなからすれば、わがままと受け取られてもしょうがないと思うんです。「ここまで一緒に会社を育ててきたのに、それはないよ」と。だから、後任を引き受けてくれた石橋をはじめ、エウレカのメンバーには本当に心から感謝しています。

もちろん、2015年のM&Aはエウレカという会社にとって本当に幸せな選択でしたし、グループとしてアジア地域をこれから本格的に攻めていくために正しい道でした。ここは今後、僕も創業者というカタチですが、応援をしていきたいと思っています。


― ちなみに後任が石橋さんだった理由はあるのでしょうか? CTOがCEOに就任する、日本ではまだ珍しいケースだと思います。


正直、CTOやCFOというのは、得意な領域の区別に過ぎないんですよね。なにより経営者としてのメンタリティがあるかどうか。言葉はわるいですが「最後の最後、誰がケツ持つんだっけ?」という時に手をあげられる、それが石橋という人間です。不義理なことをしない。嘘をつかない。人間的に適していると思いました。

起業家でいてこそ、僕は輝ける。

赤坂優さんの写真

― 正式に取締役を退任されてから1ヶ月弱。どのように過ごされているのでしょうか。


エンジェル投資家として毎日多くの起業家と会っています。ただ、正直、危機感や焦りしかないですよね。このままだと、自分自身の起業家としての感覚が鈍化していくというか…老害のようになってしまう気がして。

余談ですが、スタートアップ企業を対象にしたピッチイベントなどに主催者の方々から呼んでいただけるのですが、「審査員として」なんですよね。いつも「ピッチする側じゃなくていいのか」ってもうひとりの自分が言っている。僕がずっと嫌っていた「偉そうに評価するだけの大人」に自分がなっていないか。ダサくなってるんじゃないかって。

エンジェルとして投資をしていても、現場の最前線でリスクを背負って挑戦しているのはいつだって起業家ですよね。投資家としての自分のリスクなんて起業家とは比べ物にならない。

あと…率直にすごく悔しいんですよね。最近、特に仕掛けまくっている経営者や起業家を見ていて「自分にだってやれる」と。


― それが、あのFacebook投稿に込められた思いだったんですね。


そうですね。エンジェル投資家を貶しているわけでは全然なくて、むしろ起業家を支える重要な存在。ただ、僕自身は起業家が好きだし、やっぱり自分も起業家でいたい。起業家でいてこそ、僕は輝けると思うんです。プロダクトを自分で作りたいし、試行錯誤しないとやっぱりダメだなと考えています。

たぶん…刺激中毒になってるんだと思います。お金、時間、プライド、すべてのリスクを負っていく。その分のリターンがあるし、なによりそのほうが楽しいですよね。

もし「時価総額5兆円」の会社がつくれたら…

赤坂優さんの写真

― ちなみに次はどういった事業や領域で、何を仕掛けようとしているのでしょうか?


正直にお伝えすると…ぜんぜん何も決まってはいません(笑)ただ、まだ誰も踏み入れたことのない地にいきたいですね。しかも、時間がかかってもいいので、圧倒的な規模感でやりたい。それも経営者や起業家たちの刺激となりたいからです。

もう一度エウレカでの実績を再現したところで誰も驚かないじゃないですか。メルカリが時価総額1000億円を突破したら、それを超えないと誰も驚かないし、スタートトゥデイが1兆円なら、5兆円くらい目指さないと誰も驚かない。こんな難しいことを、そんな簡単にはできるはずがないです。でも目指すのは自由です。


― そこまで…赤坂さんを駆り立てているものは何なのでしょうか。


先ほどお伝えした悔しさがあるのと…刺激とお金が世の中を循環し、もっともっといろんな起業家が生まれる、エコシステムの一端を担えることってすごく幸せだと考えています。そして、そのロールモデルに自分もなっていかなきゃいけないな、と。

僕にとって仕事ってたぶん「全て」といっていい。アイデンティティのほとんどなんですよ。僕の「人間的な成長」と「仕事」ってほぼイコールだと思います。

気づけばこの9年間、全力で走ってきました。経営者になった瞬間から、自己成長より、会社を伸ばすことが全てで。人生を捧げてきたといっていい。ただ、そうやって生きてきた結果、副産物として自分が育てられていたんだなって。

人を巻き込まないといけない。時に揉め事もおきる。たくさんの成長機会がありました。10歳以上年下の人と話して刺激をもらったり、10歳以上年上の人に怒られたり(笑)仕事に育ててもらった。

もし、僕から仕事をなくしたら「ここで絶対にやらなきゃいけない」という場面でやり切ったことさえ無くなるということ。自分の自信さえもなくなる。だから、エウレカ創業前も含めて、常に仕事をアップデートし続けてきたし、これからもアップデートし続けたいと思います。

しかも、仕事って「自ら何かを生み出すこと」だと思うんです。クリエイティビティがないと人生がつまらない。それがないと、純粋に自分自身に対して納得ができない。かっこいい生き方だと思えない。だから、生み出しつづけたい。そういったことがとても重要な気がします。


― 「生み出しつづけていく」という仕事観、かっこよく生きたいという赤坂さんの源流に触れられた気がします。今後の展開、楽しみにしています。本日はありがとうございました。



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