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スマホ1台で誰でもVTuberに、アバター機能『エモモ』の衝撃

2018-08-01

スマホ1台で誰でもVTuberに、アバター機能『エモモ』の衝撃

Mirrativ(ミラティブ)からリリースされた新機能「エモモ」は、バーチャルユーチューバー人口を一気に押し上げるものになるかもしれない。特別な機材はいっさい必要なく、スマホ一台でVTuberのようにキャラクターになりきって配信ができる。エモモの詳細をミラティブ社代表の赤川隼一氏に伺った。

Mirrativの新機能「エモモ」

8月1日に、スマホ画面を誰でも配信できるプラットフォーム「Mirrativ」において、新機能エモモ(Emotional Modeling)がβリリースされた。これによって誰でも簡単にVTuber(バーチャルYouTuber)になれるようになる。

これまでVTuberになるには、専用のVR機材やiPhoneXなどの高額の設備が必要とされた。エモモを利用すれば、Mirrarivが動く端末さえあればいい(現在のβ版ではiOSのみ対応)。

アバターの動きは驚くほどなめらかだ。口の動きは、配信者が発するタイミングとほぼ一致。音声を解析して、口の動きを再現しているという。現時点ではスマホのマイク機能のみを使用、インカメラを使っての動きのトラッキングは後ほど実装を検討していくとのこと。

豊かな表情表現や動きは、設定した感情(悲しいのか、喜んでいるのか)に応じて、声と連動して変化する仕組みだ。

さらにエモモがすごいのは、作成したアバターを、YouTuberのように手軽にスマホ配信画面に載せられるというところだ。YouTubeなどでよく見かける、ゲーム実況の上に顔が映っているような画面構成を、スマホ1台で簡単に実現できる。

これまでもスマホやPCでVTuberになるソフトは存在していた。エモモがそれらと大きく異なるのは、配信機能までスマホ1台で完結していることと、カスタマイズの豊富さにある。髪型・目・口・輪郭・服・体型等を、β版期間中で48億通り以上の組み合わせで自由に組み合わせて自分だけのアバターをつくることができる。

ここにはビジネスチャンスもあるという。ミラティブ社代表の赤川隼一氏は次のように語る。

「バーチャルな配信者さんに現実世界の服を着させて売ったり、逆にVTuberが着ているものを現実世界で作ったり。具体的にどのようなビジネスが展開していくかは、まだ構想段階なんです。」

動きのなめらかさと、配信画面に登場させられる機能、カスタマイズ性この3つが備わっているのは世界初だという。

なぜこのような機能を作るにいたったのか、その意図や想いを赤川氏に伺った。

ネット上の人格に身体性を持たせる

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Mirrativはスマホ画面をそのまま配信できるプラットフォームサービス。主にはゲーム実況をするユーザーが多く、配信者にコメントをするという形で独自のコミュニティが生まれているという。さらに配信後にはチャットを通じてつながるケースもあるという。今回のアバター機能の狙いとは。

ツイッターで趣味ごとや、勉強のためだけのアカウントを分ける文化がありますよね。これは、普段の自分、仕事や学校でのキャラとは別の人格として振舞っているということ。Mirrativでも同じようなことが起こっていて。学校などリアルのコミュニティにうまくなじめなかったり、容姿にコンプレックスがあるようなユーザーさんでも、ゲームが強いというだけで人気者になっていたりします。

Mirrativには顔出しをしないという独自の文化があるので、アバターを作れることで、普段とは異なるネット上の人格にユーザーが没入しやすくなると考えました。アバター、つまり身体性が伴うことで感情移入がしやすくなる。これは視聴者こそ強く感じられるはずだなと。実際にテキストよりも電話、電話よりもビデオ電話、ビデオ電話よりも直接会ったほうが感情が伝わりやすい。アバターがあることで配信者とユーザーとの距離がぐっと近づくと考えています。

人間には、自己開放が必要だ

今回のアバター機能は、赤川氏自身が配信者として自己を開放できたという実体験も元になっているという。

エモモをリリースするまえ、ミラティブQというクイズ番組で「これは世の中に必要な進化だ」と腹落ちする体験がありました。そこでは、ぬいぐるみのキャラクターを使って人形劇風に配信をしていて。当初は僕自身が司会をやることもあったんです。

ボイスチェンジャーで声も変わっていて体がぬいぐるみだと、自分だと特定される要素がない。なので、視聴者をバンバンいじったり、熱唱したり、とにかくハイテンションになれた。それがめちゃくちゃ楽しくて(笑)ユーザーの反応も「運営テンション高すぎワロタww」など、面白がってくれている印象でした。そのとき人間が普段いかに誰かの目を気にしすぎているかを痛感して。自己を開放できる場所があるのはステキだなと思ったんです。

元DeNA最年少執行役員としてのプライド

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赤川氏は元DeNAの最年少執行役員でもある。そこでの葛藤も話してくれた。

僕も知らず知らずのうちに、”最年少執行役員の赤川”として期待にこたえねばという感覚が長年ありました。変なプライドも生まれて、本当はわかっていないことを素直に聞けなくなってしまったりしていて。

会社での肩書きはキャラみたいなもの。キャラは役割を明確にする上では機能するのですが、こうあるべきという固定観念を自分や相手のなかに作り出してしまうこともありますよね。それで言いたいことがいえなくなったり、本当に好きなことを好きといえなくなるというのは悲しいことです。

一人にならないための居場所づくり

最後に伺えたのは、赤川氏がMirrativで作りたい世界観についてだ。

ネットが完全な理想郷かというとそうではなくて。そこにいるのは「人」であることには変わらないんですよね。必ずコミュニティや村が生まれて、人間関係も生まれてくる。僕たちはどこへ行っても人間関係からは逃れられないことになっている。

ただ、Mirrativで実現したいのは、現実やある空間でオワコン状態になってもゲームオーバーにならない世界。新しい人格を作って、新しい居場所で新しい人間関係を作っていけるような空間です。

いじめや自殺って、一人でかかえこんで袋小路にはまることで起こってしまう。そういう人たちにとっては認めてもらえる場というのがあるというのが大事だと考えています。学校でいじめられたり、顔が不細工っていわれていたり、そういうことと切り離して趣味で繋がれる。誰もが一人にならないような居場所をこれからも作っていきたいですね。

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