2019.11.26
CIOとは? 企業・行政・自治体でも求められる「情報」を扱う最高責任者

CIOとは? 企業・行政・自治体でも求められる「情報」を扱う最高責任者

CIOは「Chief Information Officer」の略称で、日本では「最高情報責任者」と呼ばれるポジション・役職です。急速に認知を広げ、日本企業・地方自治体などでも定着をしてきました。本記事では、具体的にCIOがどういう役割を担うのか、CTOやCDOとの違い、行政などでも求められる理由などについて、説明していきます。 

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目次

・CIO(Chief Information Officer)とは
・CIOの役割
・CTOやCDOとの違い
・CIOに求められる能力
・行政・自治体などで注目を集めている理由

CIO(Chief Information Officer)とは 

CIO(Chief Information Officer)は最高情報責任者として、企業や組織において情報技術を用いた業務改善やITリソースの効果的な管理、そして情報戦略の立案・実行を担当する役職です。このポジションは、情報技術の活用において重要なポジションと位置付けられています。近年では、国内でも、企業がITをビジネス戦略や業務に組み込むことが、他社との差別化や競争優位性の確立のために不可欠であると認知され、定着してきています。 

ITの急速な進化、そしてDX推進により、CIOはますます注目を浴びています。市場において競争上の優位性をいかに築くことができるか。企業はIT を戦略的に組み込むことで、効率化や生産性を向上させていく。さらに、顧客全体のITリテラシーが向上していくなかで、CIOは顧客体験の向上、業績の最適化においても鍵を握る存在です。 

また、CIOは単なる「情報技術の管理責任者」という役割だけでなく、ビジネス戦略との緊密な連携も求められていくと考えられます。業務プロセスの効率改善、デジタルイノベーションの推進、情報セキュリティの確保など、多岐にわたる職務を遂行しながら、組織全体のITの浸透を図り、事業やビジネスにインパクトを与えることが期待されます。 

このような状況下で、ITに精通し、かつ組織全体やビジネスにおいてITの推進に長けたCIOがますます重要視され、企業の成功において不可欠な存在となっていくでしょう。 

CIOの役割 

ここでは、CIOの役割を、企業経営において「情報技術の活用」と「効果的な管理」に焦点をあてて見ていきます。 

▼業務プロセスの最適化
各部門の業務プロセスを詳細に分析し、最適なシステムやテクノロジーを選択・導入して企業のDXを推進。これにより、業務の効率性向上や生産性の向上を実現し、市場での競争力を高めます。 

▼最新技術のキャッチアップ、導入検討
常に進化し続けるテクノロジー関連の最新情報を収集し、それを企業の利益に結び付ける方法を検討。新たな技術の導入により、業務プロセスの革新や競争優位性の獲得を促進します。 

▼リスク管理
機密データの保護やセキュリティの確保など、情報技術に関するリスク管理も重要な役割。企業の信頼性と安全性を確保するために、セキュリティ対策や法令順守を徹底して行います。 

CTOやCDOとの違い 

▼CTOとの違い
共通点: 技術部門を管轄する役職である点 

相違点: CIOは情報技術に特化し、企業全体の業務とIT・情報システムのマネジメントを担当。一方で、CTOはより広範な技術全般を管轄し、製造技術や研究開発などに特化しています。技術の導入や開発に関する意思決定を下すのが主な役割であり、技術職としての実力が高さだけでなく、経営視点から戦略的に技術の活用・方針策定を行う能力が必要です。CIOよりも広範な責任範囲を有していると言えます。 

▼CDOとの違い
共通点: デジタルデータにかかわる責任者である点

相違点: CIOは主にITシステムの保守や運用、既存業務の改善などに焦点を当て、情報技術全般の戦略的な管理を担当。一方で、CDOはデジタル戦略全体を統括し、DXを通じて組織全体を変革し、新しい業務プロセスやビジネスモデルを生み出す役割を果たします。CIOは社内に矢印が向いているのに対し、CDOは顧客や競争相手まで視野に入れる必要があります。よりマーケティングスキルやデータアナリティクスなどの能力が不可欠ということです。 

CIOに求められる能力 

CIOには以下のような能力が求められるとされています。

1)企業統治の知識
組織内のテクノロジーの最適化やインフラの管理においてリーダーシップをとる必要があります。そのため、企業の統治や運営に関する知識が必要になります。

2)ITに対する深い知識
基本的なIT全般の知識があることは前提にして、常に最新の方法を追い、それを評価し導入検討を行う能力が不可欠です。その技術自体が、組織の成長を後押しするかどうかについて、導入コストなどの費用面などを考慮しながら判断する力があるといいです。

3)情報セキュリティ意識の高さ
セキュリティにおける予期せぬ事態を未然に防ぎ、起きたとしても迅速に的確な対応をすることができる能力が求められます。

4)マネジメントスキル
情報技術戦略は組織横断的な戦略になるため、それを主導できるようなリーダーシップや周りを引っ張る力が必要です。 

行政・自治体などで注目を集めている理由 

日本では、現在DXの取り組みの強化、IT人材育成の必要性、企業のIT化への需要が高まっていることから、網羅的に情報技術を活用した取り組みをマネジメントできるCIOに注目が高まっています。 

JULASの2020年の調査によれば、CIOを専任または兼任で設置している企業は全体の15%程度で、専任CIOを設置している企業では、商品・サービスや業務プロセスのデジタル化の改革において、多くの成果が出ていると報告されています。 

また、教育機関や行政などでも、DXの重要性は高まっており、これらの組織でも情報技術の専門家であるCIOの存在が求められています。例えば行政においては、公共サービスの効率性向上や市民サービスのデジタル化が求められています。CIOが情報システム全体を統括し、戦略的なITの導入を進めることで、教育機関や行政の課題解決に貢献することが期待されます。 

まとめると、CIOは組織全体において情報技術の有効な活用を促進し、DXにおいて中心的なリーダーシップを発揮していく存在。今後ますます注目を集め、公民どちらにおいても不可欠な存在となるはずです。 


参考資料

東大IPC「CIO(最高情報責任者)とは?役割/CTO、CDOとの違い/活躍する組織
https://www.utokyo-ipc.co.jp/column/cio/ 
Informatica「CDO(最高デジタル責任者)とは?CIOとの違いや必要スキルについても解説」 
https://www.informatica.com/jp/blogs/cdo.html 
Hipro tech「CIOという役職とは?CDO・CEOとの違いや役割、キャリアパスについて」 
https://tech.hipro-job.jp/column/4094 
一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS) 
https://juas.or.jp/cms/media/2021/04/JUAS_IT2021.pdf 


編集 = CAREER HACK


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