2015.09.25
人生のISSUEを見つけよう!平尾丈×経沢香保子×加藤重治トークセッション@ISSUE_HUB

人生のISSUEを見つけよう!平尾丈×経沢香保子×加藤重治トークセッション@ISSUE_HUB

9月上旬に開催された「ISSUE HUB TOKYO KICK OFF」パネルディスカッションの様子をお届けします。社会を変える一歩をどう踏み出すか、いかにビジョンを実現するか。じげん代表の平尾丈さん、Colors代表の経沢香保子さん、日本ユネスコ国内委員会前事務総長の加藤重治さんが語った内容とは?

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自らのISSUEに対してアクションを起こすために

キャリアの選択、それは「生き方の選択」といえる時代になってきたのかもしれません。

生き方、そして価値観の多様化が進むなかで、どうすれば自己実現が叶うのか?より幸せな人生を送るためには?社会のために自身にできることはないか?こういった軸で仕事や働き方を選ぶ人も増えてきました。

そんな中、CAREER HACKとして注目したのが、メディアプラットフォーム事業を展開する「じげん」が新たにスタートさせた新プロジェクト「ISSUE HUB」です。

ISSUE HUBとは「行動者を増やす。」を理念に、ISSUE(=問題意識)で仲間と繋がり、共に次なるアクションへと踏み出すことのできるプラットフォーム(=HUB)です。

ISSUE HUBではBusiness/ Social/ Evolution/ Global/ Technology/ Creationの6つの領域・志向を持った人材に向けたワークショップを開催し、より具体的な社会問題やテーマに対して自身のISSUEを発信・対話す る機会を創っていきます。あなた自身が何を悩み・考え・動こうと考えているのかを声にし、当事者としての第一歩を踏み出すきっかけにしてください。
https://zigexn.doorkeeper.jp/events/30982

今回は、そんな「ISSUE HUB」プロジェクト開始を宣言するキックオフにて開催されたトークセッションの様子をお届けします。

ISSUE HUBのキックオフは「じげん」平尾丈さんによる開会宣言からスタート。日本の若者の社会活動参加率の低さが示され、「この数字をもっと上げるために何が障壁となっているのか?」という問題提起がありました。

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そこで、特に「社会への問題意識はあっても、具体的にどんなアクションを起こせばいいのかわからない人が少なくないのでは」と言及。そこを解決していくことが同プロジェクト発足経緯だそう。続いてセッションの様子をお届けします。


【登壇者】
平尾丈 株式会社じげん 代表取締役社長
経沢香保子 株式会社Colors 代表取締役社長
加藤重治 日本ユネスコ国内委員会前事務総長

【MODERATOR】
田中慶子 通訳/異文化コーチ(コロンビア大学認定エグゼクティブコーチ)

登壇者のみなさんがISSUEを見つけるまで

最初に自己紹介を行なったのは、IVS Launch Padでの優勝も記憶に新しいColorsの経沢香保子さん。リクルート・楽天を経て、トレンダーズを起業。現在、2回目の起業にチャレンジしている。自己紹介とあわせて自身のISSUEの紹介もあった。

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「日本にベビーシッター文化を」
リクルートと楽天を経て、1回目の起業を経験しました。その後、結婚して子どもが生まれたのですが、病気を持っていて24時間付き添いが必要な状態だったんです。ベビーシッターさんを探したのですが、すごく大変で「こんな状態じゃ女性は本当に仕事との両立がツラい」というのが頭の片隅にずっとありました。そんなきっかけがあり「どこよりも簡単・安全に、素晴らしい育児を安く提供できる、キッズラインというベビーシッターサービス」を考えました。ですので、私のISSUEは「日本にベビーシッター文化を」というものです。(経沢香保子)


続いて、日本ユネスコ国内委員会前事務総長、理化学研究所理事を務める加藤重治さん自己紹介を行った。

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「日本から海外への留学生減少に危機感」
東京大学の工学部を卒業して文部科学省に入庁しました。2005年あたりから教育における国際関係の仕事をしています。海外に留学する日本の学生が減っており、そこに危機感をいだきました。私自身、留学によって「変わる種」を植えつけてもらったと思っていて、若いうちに異文化、そして海外のさまざまな人と触れ合う機会があったほうがいい。若い世代の人たちを「異文化の仲間と価値創造」で支援していく、これは生涯の私のISSUEであり続けると思います。(加藤重治)


続いて、じげんの平尾丈さんによる自己紹介。幼少期にどういった風に育ったのか、一度起業家になりたいという夢を見失い、再び起業家を目指すにいたった経緯について語られた。

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「100回事業に失敗している」
よく「平尾はおぼっちゃま」という見られ方をするんですけど、そんなことは全然ありません。引っ越しのたびにどんどん家が狭くなる、そんな少年時代でした。中学生の時にはゲームの攻略記事を寄稿したり、ゲームショーで優勝したり、自分でお金を稼いで学費にあてるということも。大学時代に100回以上、事業に失敗しています。客観的に自己を分析するとすごくハングリーだと思います。それから、自分で言っちゃうのですが努力が好きです(笑)私のISSUEは、じげんのミッションとして取り組んでいることでもありますが「生活機会の最大化」を掲げています。「格差」の問題に着目し、情報の非対称性や偏在に対して、鋭く切り込んでいく。ここを人生のISSUEにしています。(平尾丈)

どのようにすれば「人生のISSUE」が見つかるのか?

続くセッションでは、モデレーターを務めた田中慶子さんより「皆さんが自分のISSUEを見つけ出したきっかけ、その背景などをお聞かせいただけますか?」という問いが投げられた。

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加藤:
私の場合、自身のISSUEを早い時期から持ったわけではありません。最初は何となく「技術系の仕事がしたい」と漠然と思っていたぐらい。ただ、公害などが起こらないような技術の使い方をしていきたいと役所に入りました。組織の中で仕事しながら、その時々のISSUEと向き合い、見つけていって。特に大切にした考え方は「自分たちの組織のやっていることは、これで完全なんだろうか。抜け落ちはないだろうか」という目で見ること。民間事業は常にマーケットに晒されて消費者がより高く評価したものが売れる。売れないものを作っている企業は衰えていく。自然と消費者の好むものが残るという競争の仕組みがあります。しかし、役所は税金で、前もって対価を強制的に国民の皆さんから徴収し、さまざまなサービスを提供していくわけです。道路を作ったり、教育であったり、科学技術の研究開発もそうですね。国民が求めるものを提供できているか。文句が出ることも多いわけです。常に「自分たちがやっていることがどう受け止められるか?」謙虚な気持ちで向き合わないといけないと考えていました。

平尾:
私の場合、もともと大学に行くつもりが全くなくて。大学に行かない自分ってカッコイイみたいな中二病みたいな時があったんですね(笑)ただ、たまたまテレビで大学1年の学生起業家の方を知って「これはすごい」と衝撃が走りまして、血が燃えたぎったような気がしました。そこから猛勉強してSFCに入学し、その方にお会いすることができました。

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…ただ、テレビで見たその方の印象と、実際に会ってみたらよくない意味でのギャップがありました。SFCにしても片道2時間半かけて田舎のキャンパスに通い、おしゃれさは皆無。自分は道を間違えたと思ったんです。「だまされた」と。

そこから半年間ぐらいスランプで「何やっていいかわからない」という状態でした。生きる目標を失ったといってもいいですね。そこからいろいろと考えたのですが「たまたま会った人たちが理想と違っただけじゃないか」「これは起業家を目指すための試練、道しるべではないか」と考え直して、そこから「1万人の社会人に会おう計画」を立てて実行していきました。人との出会いこそ人生の変曲点だったと思いますし、そういう人生を歩んできた。そのフレームワークは学生時代、10代のときに出来たのだと思います。

経沢:
私は「自分のISSUE」ってすごく簡単に見つかると思っています。ISSUEというと大きなもののような気がするんですけど、年齢や経験に応じてその時に取り組むべきテーマって多分みんなの中にある。自分がしたいな、やりたいなと思えること、それをどこまで追求できるか。

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あとは「相手が求めること」「価値のあること」じゃないと続いていかないんですよね。やったことが、相手に喜んでもらえる。それがだんだん大きくなると大きな社会問題の解決にも近くなっていくと思います。もちろんいきなりは見つけられないんですけど、身近な問題解決からやっていくと自分の成長と共に壮大なテーマに近づいていくんじゃないかなと思います。

あと、もしISSUEを見つけたかったら起業すればいいと思うんです。会社が成り立っていくには、社会の中に組み込まれ、多くの人に愛されて、たくさん利用いただかないとダメということ。自分の能力を社会に還元してお金をもらってそれが続くかどうか。私も最初は個人事業主のようなカタチで始めたのですが、だんだん会社になっていきました。やっていくうちに「会社は永続しないとダメで、社会の問題に挑戦することが一番愛されて、誰のためにもなって、自分もいい。社員も喜ぶし、モチベーション高く働ける」と気づくことができました。

平尾:
どうすればISSUEを見つけられるか。10代の時に「夢を持て」と言われても、なかなか夢が持てないという状況は多くあると思います。私も最初はそうでした。そんな時にはオブジェクトが見えるとすごくリアリティが湧きますよね。SFが好きな起業家の方って多いのですが、私もマトリックスやマイノリティーリポートを見て、想像力が掻き立てられます。「これ将来絶対にできるよな」と。そんな未来の延長線上にいる方々のことをカッコイイと思えたら、その人たちの共通項を見出していく。「話がうまい」「面白い」「きれい」「高い目標に対して頑張っている」そういった要素を書き出して、自分はどうするか?こんな風に考えてみてもいいかもしれません。

見つけたISSUEを実現させるために

見つけたISSUEをどう実現させていくか。登壇者たちからは、熱のこもったメッセージが飛び出した。

平尾:
まず宣言をしますね。たとえば学生時代には、「ビジネスコンテストに出て優勝するから」とたくさんの人に宣言をしていました。それを言うことでみんなの記憶に残るんですよね。達成しないと悔しいですから自分をドライブする原点になります。

加藤:
自分から言い出して、共鳴してもらう、というのは大切ですよね。ユネスコの大きな会議を去年日本で開催したのですが、大学生にボランティアにお願いしようと考えていて。ただ、「内向きな学生が多いからボランティアは集まらないんじゃないか?」という意見をいう人もいました。ただ、「やってみよう」と、とにかくやり始めたら担当者の気持ちもどんどん高まっていった。誰も言い出さない時は自分から言い出さないとダメなんですよね。あとはそれにみんなが乗ってくるようにしていく。何のためにそれをやるのか目的を共有して、共鳴してもらう。あとはとにかく動き出してみる。こういう風にして新しいことが起こる種が蒔かれたと感じましたし、うれしく思いましたね。


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経沢:
私はスケジュールをしっかり区切るということが大事だと思っています。ホップ、ステップ、ジャンプじゃないですけど、起業1年目はこういうことをしよう。2年目は赤字が大きくてもいいからいろんな実験をするんだ。3年目は黒字化して、4年目は利益をこれくらい出して…イメージを描くことで仲間ともコンセンサスが得やすいですし、道筋もある程度明確になります。

もちろん道筋を立てたとしても、うまくいかないことも多い。過去、私もすべて放り出したくなったことがありました。1回目の起業で「みんなと上場したい」と夢があったのですが、いろいろなことが重なって「苦しい」「逃げたい」と。自分でもパニックになってしまって続けられないと思ってしまったんですね。当時、株主だったサイバーエージェントの藤田晋さんに「すみません、私、もう辞めたいです」と話したんです。

そうしたら藤田さんはこうおっしゃいました。「疲れているから少し休んだほうがいい。ただ、上場の夢は絶対諦めちゃダメ。決めたことを諦めると一生後悔するから。経沢さんも僕も能力としてはそんなに変わらない。絶対できるから応援する」と…。私はその言葉で生き返ったんですよね。

だから、ビジョンの実現に向けて、最後は皆さん、自分を信じてほしいと思います。自分は絶対できるって。社長や、トップや、やっている本人が諦めたら、応援してくれた人たちを裏切ることになる。いつも「決めたことは最後までやる」ということを覚悟しています。



いかがだったでしょう。人生におけるISSUEとは?なにを解決したい?どうそれを実現するか?ヒントになることも多かったのではないでしょうか。今回のイベント後半では、登壇者に直接質問できたり、参加者それぞれが自身のISSUEを書き、交流するセッションをしたり、大盛り上がりのうちにキックオフは幕を閉じました。今後もISSUE HUBのプロジェクトは続いていくそうなのでぜひチェックしてみてください。

ISSUE HUB

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文 = 白石勝也


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