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世界を相手に戦えるか?海外志向のデザイナーへの助言|Goodpatch×btrax×IN FOCUS

2016-11-04

世界を相手に戦えるか?海外志向のデザイナーへの助言|Goodpatch×btrax×IN FOCUS

ビジネス思考のないデザイナーは淘汰される!?Goodpatch、btrax、IN FOCUSのグローバルに事業を展開するデザイン会社が集結したイベントに潜入!デザイナーがグローバルに活躍するには?「デザイン×グローバル」について考えてみたい。

グローバルで活躍できるデザイナーの条件とは?

海外へ行って仕事をする。
そんなデザイナーの働き方も最近耳にするようになってきた。

目まぐるしいスピードで変化するデザインのトレンド発信地であり、デザイナーの価値も高いアメリカ。事実、日本のデザイナーの平均年収は360万円であるのに対し、アメリカの平均年収は2倍近くの740万円だという。海外に支社を持つ企業も増え、パソコン一つあれば仕事ができる今の時代。デザイナーが"海外"を志向するのは自然な流れかもしれない。

とはいえ、全てのデザイナーが海外で活躍できるわけではない。一体、どのようなデザイナーがグローバルに活躍できるのだろうか?「デザイン×グローバル」をテーマに熱く語られた一夜の様子をお届けする。

※「デザイン×グローバル」をテーマに、2016年10月12日に開催されたイベント「Global Designer Happy Hour」よりお伝えいたします。


[登壇者]
土屋 尚史(CEO, Goodpatch)
Brandon K. Hill(CEO, btrax)
井口 忠正(CEO, IN FOCUS)

グラフィックを作っているだけのデザイナーに価値はない|btrax

btrax_Brandon K. Hillさん


btrax Brandon K. Hill氏


「デザインの捉え方は人それぞれですが、僕が考えるデザインは問題解決のためのメソッド。どのように動くか、どのように見えるかよりも、どのように機能するかが重要になってきていると思います」


こう語るのは、サンフランシスコに拠点を置くクリエイティブエージェンシー「btrax(ビートラックス)」のCEO、Brandon K. Hill氏。デザイン会社が多く集まるサンフランシスコに10年以上も前から拠点を置き、デザインの変遷を最前線で見てきた同氏はデザインの定義が変化に合わせて、デザイナーの役割も大きく変化をしているという。

現在のデザイナーの役割とは一体、どういうものなのだろうか?

「これまで、デザイナーの仕事はいかに見た目を良くするか。グラフィックデザインが求められていましたが、最近は全然違う。グラフィックデザインだけでなく、どういうプロダクトが顧客のニーズに合うのか。ビジネス思考も求められるようになってきているんです。

面白いことに、その変化はデザイナーの給料にも顕著に表れていて。グラフィックデザイナーの給料は下がっているのですが、UXデザイナーの給料は上がっている。全米平均にすると、グラフィックデザイナーとUXデザイナーの給料の差は倍ぐらいあります」


見た目の細部まで作り込む。いわゆる専門性の高いグラフィックデザイナーの価値は下がっており、今後、ビジネス思考のないデザイナーは淘汰されていく可能性は高い。事実、サンフランシスコではグラフィックデザイナーからUXデザイナーへのジョブチェンジを図る人が増えているという。

「デザイナーはもう職業ではなく、マインドセットであると僕は思っています。Photoshopが使える、グラフィックの設計ができるといったデザイン学校で学べるようなスキルには意味がない。ユーザーのリサーチをして、デザインをして、プロダクトを作り上げる。この一連のプロセスの中で発生する問題を嫌がらず、ユーザー視点に立って、デザイン的観点から問題を解決していく。そんなマインドセットを持つことが重要。そして、そのマインドセットを持ったデザイナーが今後、重宝されるようになると思います」


デザインの捉え方が多様化している中、「ビジネス思考のあるデザイナーは価値が高い」と言い切ったBrandon氏。今後、淘汰されないデザイナーになるためには、グラフィックの設計といった"ハードスキル"だけでなく、ビジネス思考などの"ソフトスキル"を身につけることが大事なのではないだろうか。

参考記事: デザイナーとは職種ではなくマインドセットである

海外で働くなら、ベルリンへ行け|Goodpatch

Goodpatch_土屋尚史さん

Goodpatch 土屋 尚史氏


ベルリン・台北に子会社を設立し、海外展開を推し進めているGoodpatch。代表の土屋氏は自身の経験から、海外で働くならベルリンがいいと言う。

「アメリカで働きたいと思っているデザイナーは多くいるんですけど、アメリカで働くのは難しい。『サンフランシスコに行く』と勢いよく飛び出したのはいいものの、ビザが下りずに帰ってくるというデザイナーを何人も見てきました。

僕がオススメするのはベルリンです。その理由はビザが取得しやすく、生活コストが圧倒的に安いから。海外で働く人にとっては最高の環境だと思います」


海外で働くにあたって、ネックとなるのは労働ビザの取得だ。雇用先が見つかっていないと労働ビザは取得できないため、フリーランスの人は労働ビザの取得が難しいとされている。しかし、ベルリンは違うという。他の国に比べて、労働ビザが取得しやすく、フリーランスであっても簡単に労働ビザがとれるそうだ。

「ビザが取得しやすいので、ベルリンには移民が多くいるんです。だからこそ、様々な国のデザイナーの考えが知れるので、すごく面白いです。またベルリンは英語で会話できるので、コミュニケーションで困ることもない」


ベルリンの生活コストはサンフランシスコの三分の一。2LDKでシステムキッチン、お風呂付きの物件が日本円で約5万〜6万円ほどで借りられるという。この価格はもはや東京で家を借りるよりも安い。ビザが取得しやすく、生活コストが安い。海外で働きたい人にとって、これほど魅力的な環境はないだろう。

最後、土屋氏はイベントに参加したデザイナーにこう語った。

「海外で働きたいと言いつつ、行動を起こさない人は多い。僕は27歳のときに海外で働いたのですが、実際に働いてみて、何か物事が起こったときに、アメリカ人だったらどう考えるか、中国人だったらどう考えるか、日本の視点だけで考えないグローバルな視点と視野が身につきました。本当に海外へ行って良かったと思います。自分を変えたい、もうちょっと前に進みたいという人は、海外へ行ってみるのが一番だと思います」


サバイバル精神を磨け。グローバルに活躍するための条件|IN FOCUS

IN FOCUS 井口忠正さん

IN FOCUS 井口 忠正氏


グラフィックデザイン、写真、映像制作といったデジタルコンテンツの制作を手がけている、IN FOCUS株式会社。レッドブルやニューバランスといった世界的企業の案件を手がけてきた実績を持つ。

そんな同社の代表を務めるのが井口忠正氏。クリエイターとしても最前線で活躍している同士だが、もともとデザインには興味がなく、20歳の頃はクラブの店長をやっていたという。

「もともと、デザインには興味がなくて、高校を卒業した後はフリーターしてました。ずっと自堕落な生活を送っていたら、あるときクラブのオーナーにコンビニでスカウトされて。それからクラブで働くことになりました。渋谷のクラブだったのですが、僕以外に日本人スタッフがいなかったので、半ば強制的に20歳でクラブの店長になったんです。

店長になってから、自分たちでフライヤーも作ろうということになり、独学でイラストレーターを勉強し始めました。これがデザインとの出会いです」


その後、クラブを辞め、グラフィックデザイナーのアシスタントとして働き始めるも自分に絵を描くセンスがないことを知り、途中で挫折。そんな状況の中、出会ったのがbtraxのBrandon K. Hillさん。全くWebの知識がなかったのですが、知り合いの紹介ということもあってインターンとして採用されることに。

「Brandonさんからは、『せっかくサンフランシスコに来るんだから、半年ぐらい勉強してから来なよ』と言われていたのですが、全く勉強しないまま行ってしまって。実際に働いてみて、『これはヤバい……』と思ったので、仕事以外の時間を使って独学で勉強しました」


そのときの井口氏を支えたのが、「サバイバル精神」。最初は何をすればいいか分からなかったそうだが、写真を上手に撮れて、そこに自分がデザインしたものを配置できれば自分だけの強みになると思い、btraxのエンジニアに声をかけるなどして知識を積み重ねていったという。

また、海外に行ったら英語を話さなければいけない環境に身を置くことになったため、語学力も自然と身についたそうだ。約1年半、btraxでインターンした後、帰国。フリーランス、WEBマガジン「Qetic」のディレクターを経て、IN FOCUSを起業し、グローバルに事業を展開している。

これまでの経験を踏まえ、デザイナーがグローバルに活躍するための条件を井口氏は次のように考える。

「デザイナーがグローバルに活躍するためにはサバイバル精神が大事だと思います。海外のクライアントにプレゼンをするとき、相手がずっと話してプレゼンが終わることがザラにあるし、自分にターンが回ってこないこともある。そういった想定外の状況をいかにサバイブしていけるか。サバイバル精神があり、想定外の状況を楽しめる人はグローバルに活躍していけると思います」


日本を離れ、海外を拠点にして働く。今はまだ珍しい働き方だが、数年後、海外で働くことが当たり前になる時代が来るだろう。そのとき、あなたは世界を相手に戦っていけるデザイナーになっている自信はあるだろうか?

きっと、今回のイベントで語られた言葉の数々が、今後自身のキャリアを考える際の指針となってくれるはずだ。


(おわり)



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