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プロダクトマネージャーはどう評価されるべき?元Google PM対談|河合敬一×及川卓也

2017-02-15

プロダクトマネージャーはどう評価されるべき?元Google PM対談|河合敬一×及川卓也

Japan Product Manager Conference 2016におけるナイアンティック河合敬一さんと、インクリメンツ及川卓也さんの対談をレポート。会場から飛んできた鋭い質問に2人はどう回答した?


▼前編はこちらより
『ポケモンGO』のナイアンティック社・河合敬一が語った、プロダクトマネージャー論

「変化の仕掛け」をつくる

※2016年10月に開催された「Japan Product Manager Conference 2016」よりレポート記事をお届けします。

この日会場に集まったのは、自身がPMであったり、とても近しい領域を担う人たち。『ポケモンGO』のPMである河合敬一さん、そしてMicrosoftやGoogleでヒットプロダクトの開発に関わってきた及川卓也さんを前に、多くの質問が飛び交った。

その一部を河合さんと及川さんの回答とともに紹介する。


Q:組織やプロダクトの規模が大きくなるにつれ、PMが取りこぼしてしまう役割が出てくることも。そういった時には、どのような対応をすればいいでしょうか?

河合:
これはすごくシンプルで『仕組みを作って周りに任せる』か『PMの数を増やす』の2択です。PMの仕事は変化の仕掛けをつくることなんです。

よく『同じことをやっていたら負けだ』って言うんですけど。PMがルーティンのタスクをやっていたら、何の変化も起こせないじゃないですか。

だから、何か課題があったら、解決のための要件を立てて改善できるような仕組みを作る。それでうまく回るようになったら、あとはよろしくって次の課題に移っていく。仕組みを作ってから手放すまでを担っていくのが役目となります。

ただ、それでも回らないってなったら人数を増やしてPMの組織をつくる。となると組織のなかで役割分担をすることになるんですが、トラディショナルなのはフロントとバックで分ける方法。それから機能で分けることもあります。

ユーザーの批判は宝物

Q:『ポケモンGO』は最初、ゲームの展示会でネガティブな反応が多かったと伺いました。ユーザーからの評価や数字のインパクトがあまり良くなかったとき、エンジニアのモチベーションを保つためにはどうしたらいいでしょう?

河合:
『ポケモンGO』はフィールドテストの最初の方ではあまり評判が良くなくて、チームに暗雲が立ち込めましたこともありました。でも、完璧を目指すより、まずは出してみて、フィードバックをもらって、どう良くしていくかってことの方が重要じゃないですか。そのプロセスを回さないと最終的なユーザーの評価はわからないですから。

とりあえず出してみて、評価を見ながら改善するっていうプロセスをどれだけ早く回せるか、ここが勝負だなと思ってやっていたらおかげさまで大きなヒットになりました。なので「とにかく動かし続ける」っていうのは大事でしたね。

一方で、ちゃんとヘコむことも大切だと思うんです。だってユーザーの批判って言ってみれば宝物じゃないですか。PMにはどんな批判も笑顔で受け止める度量が必要ですね。そしてエンジニアをどれだけ守れるか。

ユーザーからの声を全部鵜呑みにしてエンジニアにぶつけたら、それはやる気なくなりますよ。でも、的を射ている意見なら、それで目を覚ましてほしいときもあって。そのバランスが大切ですよね」

トップダウン、ボトムアップ、どっちでプロダクトを作る?

Q:PMからのトップダウンではなく、エンジニアからのボトムアップでプロジェクトを進めていくためにはどうしたらいいでしょうか。

河合:
「『ボトムアップの見かけ』はとても重要ですね。PMにとってエンジニアがオーナシップを持って取り組んでくれるのはとても嬉しいことなんです。”作らされてる感”があると、言われたことだけしかやってくれないので。

だから、エンジニアにいかに『これがやりたかった』『こういうものを作りたかった』って思ってもらえるかがPMの腕の見せ所です。

たとえば、スティーブ・ジョブズは果たして優秀なPMだったのか?というのは、永遠のテーマになりそうなところですよね。「とことんこだわらないといいものはできない派」と「こだわりすぎると誰も作ってくれない派」があって。僕はチームとしてベストなパフォーマンスが出せればいいと思っているので、自分のこだわりはあまり持たないようにしています。

及川:
もちろんスティーブ・ジョブズのようなPMがいたっていいんですよね。すごく優れたクリエイターがトップダウンで全部決めていったから世界中で愛されるプロダクトができたわけですから。

でも、PMに圧倒的なセンスがないなら、ボトムアップを取り入れないといけない部分が必ずあります。こうしたいという意思があっても、自分からは言わないようにするとか。相手のエンジニアに言わせるようにする。そうすると自分で決めたかのように納得して動いてくれることが多いです。

PMが99%確信していたとしても、残りの1%により最適な解があるかもしれない。最終的にはトップダウンになってしまったとしても、ボトムアップの仕組みを取り入れるのは重要だと思います。

PMの評価は文脈ありき

Q:PMのスキルや成果はどのような基準で評価されるのが最適なのでしょうか?

河合:
少なくとも「チームのみんなに信頼を得ることができたか?」というのは、プロダクトマネージャーの評価として大事ですよね。

そして、その次に大事なのは、本当に成果を出せたか?ということ。要は「いいものをずっと作っているんだけど、何も成果としては出ていない」となると、やっぱり評価はできない。出たものって大丈夫なの?みんなに使ってもらえて愛されたの?と。やはり「製品の評価」と「プロダクトマネージャーの評価」が近づくことが多いと思います。

ただ、この時「文脈」ってすごく大事で。どうしようもないぐらい辛い状況に追い込まれているプロダクトに飛び込んで立て直しているとか、チームがすごく難しい状況になっているところに入ってくれたとか。

どういった背景があるか。ここを踏まえた上で「まだ成果は出ていないけど、それは仕方ないよね」など文脈を考慮した上で評価する必要があります。そうしないと「1年間、何も成果が出ていないのでダメなPMです」と言われたりして。いやいや待て待てみたいな話になるので。

及川:
Google時代ですが、「プロダクトマネージャー」と「エンジニアリング」をやっていたので、両方の側面が見えたんですよね。

優秀なPMは「モノを出していくPM」だと思います。一方で、期末が近づくとやたらリリースに対してプレッシャーをかけてきたり、評価時期に色々と大きなプロダクトを仕込みたがるPMがいたり、わかりやすい人もいる。

たぶん、これだと評価されなくて、ちゃんとリスペクトされていて、信頼を受けているかが大事なんです。短期だけじゃなく長期的な信頼関係の構築がそのPMの評価に関わってくるところだと思うんです。

(短期的な評価を得るためのプロダクトを)リリースしたとして、3ヶ月~半年はやっていけるかもしれませんが、その先、エンジニアが離れてしまうこともあります。そこの要素っていうは大事ですよね。結構難しいです。

スキルの側面でいうと「このスキルは持っていなさい」というのが表現しづらいところ。ここがPMの難しいところでもありますよね。エンジニアだったらある程度学ぶべき技術がちゃんとあるので。デザイナーもそういうのがあると。

河合:
やはり「問題が解決できるかどうか」というところが大きいですよね。問題解決の方法は人によってそれぞれですし、使えるスキルもいっぱいあって。

私の場合、けっこうデータとロジックを大事にするタイプかもしれません。というのも、英語が第一言語ではない中で外国のみんなにも理解してもらおう、納得感のある判断をしよう、そう思うとデータとロジックが大切な場面が多くあるんです。

もちろん、こういったやり方だけではなく、感覚や直感でも、何でもいいので、みんなが「この人の言っていることなら、まぁ信用してやってみてもいいか」と思ってもらえたら良いとも言えます。データは全てではないですよね。ただ、どれだけの数をこれまで判断してきたか、自分へのフィードバックを蓄積してきたか。どれだけ判断させてもらえる打席に立ってきたか、立てるか。ここは共通して大事なところになると思います。


今回、前後編にわたってお送りしてきた河合敬一さんと及川卓也さんのセッション。

また、CAREER HACKではJapan Product Manager Conference 2016のさまざまなセッションを取り上げてきました。

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日本のWeb業界でもその存在が重要視されてるようになってきたプロダクトマネージャー。今後もどういったキャリアからPMへの道が開かれていくのか、そしてどういったPMが活躍していくのか。引きつづき、追っていければと思います!



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