驚きのライブ演出、そこで使われていたテクノロジーとは? スペースシャワーTV主催、「都市と音楽の未来」をテーマに開催された祭典『TOKYO MUSIC ODYSSEY 2017』。今回は音楽・映像・アートが一体となった『SOUND&VISION』にフォーカス。体験レポートをお送りします。
こんにちは。CAREER HACKの白石です。
渋谷のライブハウス『WWW X』からお届けします。今までにない体験取材ということもあり、ちょっと緊張の面持ち。今回取材させていただいたのが、こちらのイベントです。
『SOUND&VISION』
近年音楽シーンでも革命を起こしているデジタルテクノロジーやオーディオビジュアル。SOUND & VISIONは、"MUSIC×CREATIVE" をテーマにお届けする、音楽と映像とアートが一体となったライブイベントです。Shibuya WWW Xを舞台にミュージシャンとクリエイターのコラボレーションによる新しい音楽と映像体験をお届けします。(HPより)
『SOUND&VISION』はスペースシャワーTVが開催した『TOKYO MUSIC ODYSSEY 2017』のプログラム。これからの時代、ライブや音楽と映像・テクノロジーはどうシンクロしていくのか。未来の可能性を体感してきました。
特に今回フォーカスしてお届けするのが『DAOKO×Kezzardrix+backspacetokyo』のライブ。いったいどんな演出が!?
※当日の模様は、3/30(木)22:30~23:30「TOKYO MUSIC ODYSSEY 2017 SPECIAL」にてダイジェスト放送! → https://tokyomusicodyssey.jp/onair/
まず驚いたのが、薄いスクリーンでステージ前面が覆われていたこと。ライブがはじまると、そこに映像が投影されていきます。繰り広げられたのは、音楽と映像がシンクロした幻想的なパフォーマンス。
単に映像が映し出されるのではなく、DAOKOさんを覆うように球体が出現したり、歌詞と連動した文字が浮かび上がったり、細かな粒子がステージ上に舞っているように見えたり。まるで「3次元空間に光や映像が浮かび上がっている」かような視覚効果が随所に見られました。
立体感が宿る映像に加え、特に不思議だったのは動きと音、光がリアルタイムでシンクロしていくこと。たとえば、DAOKOさんが手に持ったステッキを振ることで光が放たれたり、彼女がステージ上を移動した時、そこだけ映像が投影されなかったり、動作を察知していることが明らか。
この裏側についてライブ終了後、演出を担当したKezzardrixさんにお話を伺うことができました。
Kezzardrix(※画像左)
INT所属。自作ソフトウェアによる表現で、様々なアーティストのライブビジュアルやMVを手がける。アルスエレクロニカ Award of Distinction を受賞したSjQ++をはじめ、ブラックメタルユニットVMO、比嘉了とのHEXPIXELS、清水基とのSDKezadori、ケザドリLINE スタンプの制作など多様に活動。今回はクリエイター集団backspacetokyoとの共同制作でライブ演出を行う。
backspacetokyo(※画像中央&右)
映像制作、舞台演出テクニカルサポート、VRシステム制作、VJ、R&D、モバイルアプリケーション開発、Web制作等、様々な場面でフットワーク軽く働く、それぞれ違ったバックグランドを持ったアーティスト・プログラマが在籍する少人数のプロダクションチーム。コーディングカルチャーに根ざした表現を行なっている。
まずは今回のライブ演出で用いられた技術について。
「技術的にいえば、新しいものを使っているわけではありません。赤外線と再帰性反射材(※)を組み合わせ、3次元空間における位置情報を赤外線カメラ4台で認識させています。これは他のプロダクションさんでもよく使われている技術ですね。たとえば、DAOKOさんにはステージ上でステッキを振ってもらったのですが、あの棒の先端にも再帰性反射材が仕込んであり、それを振ることで映像でモノが飛ぶように見せたり。じつはDAOKOさんの背中にも同じもの(再帰性反射材)が仕込んであり、位置情報を読み取っています」
(※)再帰性反射材…特殊な素材で光源の位置にのみ反射する。交通標識や、子ども用の踵が光るスニーカーなどによく用いられる。
つまり「再帰性反射材」を仕込んだ衣装や小道具に、人の目に見えない赤外線ライトをあて、その赤外線の跳ね返りをカメラで撮影。そうすることで「モノや人」の位置情報を取得しているということ。そこだけに映像を映したり、逆に映らないようにしたりしたのだといいます。
また、技術面以外の挑戦について。クラブなどのVJとはまったく違うアプローチがあったそうです。
「DAOKOさんの楽曲はそれぞれテーマ性を持っており、構成がしっかりしています。楽曲ごとの世界観やイメージがあるので、どうすればそれを表現できるか考えていきました。具体的な描写として表現したものもあれば、抽象的にイメージを膨らませていったものもあり、さまざまですね」
どう「技術」を表現に落とし込み、「体験」や「物語」へ昇華させていけるか。クリエイターたちによる解釈や想像力をもとに、観客のイマジネーションを刺激する映像表現・視覚効果にしていく。そのひとつの新しい試みを『DAOKO×Kezzardrix+backspacetokyo』のライブに感じることができました。
今回スポットをあてたライブ以外にも『HIFANA × GRVJ』ではスマホで撮影した映像がリアルタイムで音楽と同期されたり、『きのこ帝国 × MITCH NAKANO』ではエモーショナルなライブが披露されたり、ミュージシャンとクリエイターによる刺激的なコラボが体験できた『SOUND&VISION』。これからのライブ演出の可能性、その進化に立ち会えた気がします。そしてこれから映像・音楽表現に携わるクリエイターたちの活躍の場はどのように広がっていくのか。引き続き、注目していきたいと思います!
※2017年3月29日 18:00 編集部にて一部追記・訂正いたしました。
文 = 白石勝也
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