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20代は3倍速で生きたほうがオモシロイ。ツクルバCCO中村真広に訊く「もし、いま25歳だったら?」

2017-09-12

20代は3倍速で生きたほうがオモシロイ。ツクルバCCO中村真広に訊く「もし、いま25歳だったら?」

トップランナーに直接訊く「もし、いま25歳だったら?」今回訪ねたのはツクルバ CCO 中村真広さん。エンジニアやデザイナーで構成され、経営企画室の対となる「メタデザイン室」を立ち上げた。彼は「20代は3倍速で生きた」と語る。その真意とは?

「もし、いま25歳だったら何をする?」

「もし、今、25歳だったら何をしますか?何を学びますか?」

テック業界のトップランナーに、こんな質問を投げかけてみる特集企画!社会人2~4年目に多い「25歳」は可能性が広がる時期。いったい何を学べばいい? どう過ごす? CAREER HACK編集部が独自に取材し、直接いただけたアドバイスをお届けします。


今回お話を伺ったのは、ツクルバ CCO(Chief Creative Officer )中村真広さん。

彼が行う「組織デザイン」はユニークだ。1つの企業に、3つのクリエイティブチームをもつ。

▼空間デザイン・プロデュースを行う実空間のクリエイションチーム
「tsukuruba design」

▼エンジニア、デザイナーで構成される情報空間のクリエイションチーム
「tsukuruba technology」

▼統合的なデザインで次なるアクションのタネをつくる(※)
「メタデザイン室」

(※)空間デザイン、グラフィックデザイン、コンピューテーショナルデザインのメンバーから構成される全社横断のアドホックなチーム

同時に若手クリエイターのマネジメントも担う中村さん。もし自身が25歳に戻れるとしたら、何を学ぶだろう?その答えから見えてきたのは、異なる領域をかけあわせ、独自のキャリアを築いていくためのヒントだった。


<プロフィール>
中村真広. Masahiro NAKAMURA
株式会社ツクルバ 代表取締役 CCO(チーフクリエイティブオフィサー)

1984年生まれ。東京工業大学大学院建築学専攻修了。不動産ディベロッパー、展示デザイン業界を経て、2011年、実空間と情報空間を横断した場づくりを実践する、場の発明カンパニー「株式会社ツクルバ」を共同創業。デザイン・ビジネス・テクノロジーを掛け合わせた場のデザインを行っている。2015年4月から、建築とその周辺産業の発展に寄与するべく、一般社団法人HEAD研究会の理事に就任。昭和女子大学非常勤講師。著書に「場のデザインを仕事にする」(学芸出版社/2017)。


ぬるま湯を抜け出したかった

ツクルバ中村さん

ー 今回は「25歳」がテーマなのですが、中村さんは25歳の頃って何をされていたのでしょうか。


いま思うと、私の「25歳」はまさに人生の分岐点だったかもしれないですね。いわゆるサラリーマンとしての生活をちょうどやめた時期で。

その頃は不動産ディベロッパーで営業として働いていたのですが…。言ってしまえば「ぬるま湯に浸かっている」ような感覚で、流れに身を任せていれば生きていけるような、ストイックではない環境でした。このままでいいのか、もっと主体的にアクションしたい、と。強烈な危機感がありました。

その会社はすごく待遇も環境も恵まれていたんですよ。残業代はしっかり出るし、もし終電が無くなったとしても先輩が面倒見てくれる。


ー 近年では「終電まで働く」がそもそもブラックだとも言われそうです(笑)ぜんぜんぬるま湯じゃないというか。


まぁ時代もありますよね(笑)そもそも「給料をもらって、会社から言われたことさえできれば褒めてもらえる」って変だよな、と。これでいいんだっけ?と感じていて。正直ぜんぜん充実感は得られていませんでした。


20代は3倍速で生きた方がオモシロイ

ツクルバ中村さん

ー そこからどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?


ちょうど、その会社がリーマンショックで傾きかけていて。デザイン会社に転職し、ミュージアムデザインの仕事をしていました。ミュージアムの「箱」は大手ゼネコンが作り、その中身を学芸員さんと一緒に考えていく。

その場を空間を通した体験によって、どんなメッセージを届けていくか。コンセプトづくりからデジタルデバイスを使った表現、ワークショップのシナリオライティングまで、さまざまなアプローチで「場づくり」をしていました。

2000年代後半くらいの頃、建築業界において「活用されていない建造物をどうつかっていくか」というストック活用が叫ばれ始めていたんです。建物の中身にフォーカスするミュージアムデザインってその文脈にもすごくハマっていた。

仕事はすごくおもしろくて、いつも夜遅くまで作業してたのですが…。じつはそれでも満足はできていませんでした。

もし、自分がやりたいと思うことを300%でやるとしたら、一体どこまでやれるんだろうって考えて。それで「20代は3倍速で生きる」をテーマにして、やりたいことを全部やろうと決意しました。

本業をやりながら、オフタイムは別の活動にあけくれる。やらされているわけでもないので、好きでやる「バンド活動」みたいなもんですよね。寝食を忘れて好きなことをやっていくと、体力的なつらさ以上に、充実感があったんです。


ー たとえば、どのような活動をされていたのでしょうか?


NPOで新規事業の立ち上げをしたり、仲間とウェブメディアづくりをしたり。あとは、ツクルバにつながっていくカフェの立ち上げもやっていました。


ーまさに3倍速ですね。


本当にいつ寝ていたんだろうと不思議なくらいで。とくにカフェが大変だったのですが、朝4時くらいまでDIYで内装をつくったりして、バイクで家に帰って、1時間半仮眠して出社するみたいな。けどほんと楽しくて、毎日が文化祭前夜みたいで、アドレナリンだけで生きていた時代かもしれません。

ある意味ワーカーホリックなのかもしれませんけどね。建築の学生時代から好きなことに没入し続けているので、続けていると慣れてくるもの。それがあたりまえになっちゃうんです。

その当時、得られたことも多くありました。NPOまわりで仲間や知り合いが増えたし、メディアの取材も、会いたい人に会いにいける最高のツールになり、活動家の仲間と知り合えました。あの時につながった方たちと今も仕事ができている。

興味を広げて、がんがん飛び込んでいく。今だから思うのは、異なる領域でスキルが広がっていったことで、自分のオリジナリティが作られていったという気がしますね。


もし、いま25歳なら間違いなく「プログラミング」を学ぶ

ツクルバ中村さん

ーここからは「もし」の話になってしまうのですが、中村さんが今、25歳に戻れるとしたら何を学びますか?


確実に「プログラミング」をやりますね。たとえば、24歳までは建築を学んで、25歳からはプログラミングを学ぶかもしれません。

良い意味で変化のスピードの遅い建築の世界と、刻一刻と変化し続けているテクノロジーの世界。実空間と情報空間、それぞれのデザイン。双方を考えられることで生まれる何かがきっとあるんじゃないか、と。

ツクルバでいえば、すごく潮流の変化が激しいプログラミングやウェブテクノロジーの世界、クラシカルな「建築」、そしてビジネスとしての「不動産」。このリズムの異なる領域をかけ合わせてポリリズムを生み出していく。それは一人のひとが出来てもいいですが、チームでやっていくという方がいいと思っているんですよね。その越境し合うところに発明の種があると考えていて。

つまり深掘りすること、ブリッジングすること、この両方がないと、たぶん世の中は進化してかない。ここをツクルバの実践で証明できるといいですね。


100万分の1の人材になるために、領域のハイブリッドを

ツクルバ中村さん

ーキャリアにおいても、領域やスキルの「越境」や「かけ合わせ」が、1つキーワードになりそうですね。


そうなんですよね。元リクルートの藤原和博さんという方が語っている話があり、凄く共感していて。100分の1の特化した領域を3つ組み合わせれば、100万分の1の人材になれるということ。いきなり「100万分の1になれ」って言われても難しいかもしれませんが、「まずは100人のうちの1人になれ」って言われたら、なんだかできそうな気がしますよね。

そこに「1万時間の法則」を掛け合わていく。1分野で一人前になるのに重要な時間は1万時間かかる、という話です。もしそれが事実ならば、1日に約9時間、それを毎日休まず3年間本気でやれば「100分の1」になれる。何かに没入するという投資ができるのが20代だと思います。

ただ、一方で、ムリにがんばらなくてもいいと思うんです。ただただ本気で楽しめばいい。関心が持てるところがあれば、些細なことでもアウトプットを重ねていく。

たとえば、読書だって「1万冊読んで全てログにしています」とか「自分だけのプライベートライブラリーを家につくっていて」という人がいたらかなりヤバいですよね。もちろん良い意味で。

もし、今見えている範囲に夢中になれること、モノがないのであれば、いろんな活動、いろんな社会に顔を出してみたらいい。小さくても一歩を踏み出す。小さくてもアウトプットする。その積み重ねで、自分がどんどんおもしろいやつになっていくはず。

本業だって楽しめばいいんですよね。パラレルで何か活動するにしても、まずは本業を楽しむことは大前提だと思うんです。そうしないと全て中途半端になってしまいますからね。

ー中途半端にしないためにも本業、そして関心のあるコトを心から本気で楽しんでいく。すごく大切な視点をいただけたと思います。本日はありがとうございました!



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