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CAREER HACK

心揺さぶられたら、その場でスケッチ。デザイナー 秋田佳子のインスピレーションを支える「仕事道具」

2018-02-23

心揺さぶられたら、その場でスケッチ。デザイナー 秋田佳子のインスピレーションを支える「仕事道具」

デザイン、映像制作、ライブのVJなど、多彩な才能を発揮しているデザイナーの秋田佳子さん。その豊かな発想はどこから湧き上がってくるんだろう?普段なにげなくつかっている秋田さんの「仕事道具」を見せていただくと、インスピレーションを逃さないヒントが隠されていた。


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質の高いアウトプットを生み出し続けるトップランナーたち。そのための道具選びも大切なもの。

今回お話を伺ったのは、秋田佳子さん。デザインからVJ活動など多岐にわたる活躍をしている。いい仕事をする、気持ちよく働くために、秋田さんならではのこだわりがあるのではないかと、「いつも持ち歩く仕事道具」について尋ねてみた。すると、秋田さんからは意外な答えが。


「じつはあんまり持ち歩いているモノがなくて…メモ用のノートくらいです」


秋田さんが常に持ち歩いているのは「ノート」だけ。持ち物は少なく、メーカーもこだわらない秋田さん。ただ、同時に見えてきたのは、彼女なりのインスピレーションを捕まえるためのこだわりだった。

VJの写真

w/ hatis noit  ”Illogical Dance Release Party” 20160225 @ Super Deluxe。VJを担当。

パネル

インスピレーションは一瞬で消えてしまう。だから「無地B5メモ帳」で捕まえる

パネル

秋田さんがカバンの中にいつも入れているのが「B5サイズのメモ帳」。持ち物は少ない秋田さんだが、このノートだけはいつでもどこでも、持ち歩いている。そして、このノートこそ、秋田さんのインスピレーションのカケラが詰まっている。


「このノートには、ふと思いついたアイデアやイメージをぱぱっとメモしています。頭に思い浮かんだモノって書き留めておかないとドンドン忘れていってしまう。とくに、仕事が忙しくてイメージをすぐにカタチにできないこともよくあるんです。

あとで見返したときにインスピレーションをもらえるようにアイデアのメモをしています。ただ、ほんとにラフに書くので、あとあと見返したときに分らないこともたくさんあるんです(笑) 」

写真

秋田さんがメモしたくなるとき、つまり「アイデアが降ってくるとき」っていったいどんなとき?


「旅行しているとき、電車に乗っているとき、アーティストのライブに行った帰り道とかですね。そう思うと、「環境を変えた出来事のあと」が思い浮かぶことが多いのかもしれません」


いまどき、スマホで写真で記憶を残したり、便利なメモアプリだってたくさんある。だけど、秋田さんは完全に「メモ帳派」。


「わたしの場合は、インスピレーションを受けたときに映像のようなイメージが頭に思い浮かぶタイプ。メモ帳だと自由に書け残せて、一番自分に合ってるんですよね。

ちなみに、わたしは写真を全然撮らないんです。旅行にいっても友達任せで。いつも思いでは友達のアルバムの中なんです(笑)もしかすると、できるだけ目で見て、肌で空気を感じたいのかもしれません」

写真

ノートとセットで持ち歩いているのが「無印のゲルボールペン」。一番書きやすくてお気に入り。

とりあえず写真を撮ってiphoneのアルバムに保存する派の私とは全然違う。自分の目で見て、肌で感じることを秋田さんは大事にしているらしい。

写真

メモ帳の表紙に貼ってある、ステッカーが目に止まった。VJとしてライブに出演したときのスタッフパスを思い出に貼っているのだそう。この習慣は大学時代からずっと続けているのだそう。


「とくに深い意味があるわけじゃないんですけど、メモ帳はずっと持ち歩いているものだからステッカーを貼るのにちょうどいい。よくバンドやっている人がギターケースにステッカー貼ってるのと同じ感覚。ふと思い出にも浸れるし、なんとなくですけど愛着心みたいなものが生まれるからかも?」

素材をストックした宝箱みたいな「デスクトップのフォルダ」

写真

メモ帳にアイデアを書き留めたあと、秋田さんがインスピレーションをカタチにするためにしていることがある。それが、「素材のストック」。日ごろから素材をつくり、デスクトップのフォルダに整理しているのだそう。

秋田さんにアート作品を見せていただきながら、素材の作り方についてもお話を伺えた。

秋田さんの作品

秋田さんのアートワーク/model :Utae @almost_human720 photo : Yuria Fujino @yuria0621

「たとえば、この作品に使っているひし形のような線のフレームは、作品の制作前からストックしていたもの。

雑貨屋さんでみつけたドライフラワーのオブジェを見つけたのがきっかけで、かわいいな、自分の部屋に飾りたいなと思って、印象に残ってたんです。それで、いつか作品に使えるかもなと、時間があるときにアフターエフェクトとか3Dソフトでいろいろ実験して良い感じに出来上がりました」

秋田さんの作品

「新しい素材をつくると、早く作品に使いたくて自分の中で流行するんです」と、うれしそうにお話してくれた秋田さん。

きっとこのデスクトップのフォルダはアイデアをカタチにしていくための大切な引き出し。秋田さんにとって宝箱のようなものなのかもしれない。


「気になったものは基本的になんでもストックしています。主にはテクスチャーが多いですね。Chromeのブラウザで、Google earthの航空写真が表示されるプラグインにしているんですけど、なんかちょっといいな、デザインに使えるかもなと思うものは保存してます」

秋田さんの作品

仕事モードに切り替える「音楽」と「カフェラテ」

秋田さんの写真

アイデアやインスピレーションのストックの仕方に続いて、伺えたのは「仕事への気分の切り替え」について。秋田さんは、音楽を聴かないと仕事できないというくらいにマストな存在。


「聴く音楽は、仕事の内容や目的に応じて変えています。納期が迫ってる状況とか、仕事に集中したいときは、『SoundCloud』でクラブで流れているような4つ打ちの曲をずっと聴いています。あんまり曲名に詳しくないので、似た様な曲調が集まっているチャンネルをひたすら聴いてます」

秋田さんの写真

秋田佳子さんのSoundCloud(左)、spotifyのdaily mix(右)

「家でリラックスして作業するときや、アートワークでイメージを膨らましたいときは、『spotify』で、前衛的な柔らかいエレクトロニカっぽい音楽を聴きます。spotifyのデイリーミックスとかすごいですよ。自分がフォローしたアーティストから全部分析してくれて、自分の好きな音楽をキュレーションしてプレイリストを作成してくれるのでめっちゃ愛用してます」


音楽にこだわりが強い秋田さん。ちなみにイヤフォンにもこだわりが?


「ちょっと恥ずかしいくらいに、全然こだわってないですね。2000円とかだとあんまりよくなさそうだから、3000円くらいので、あとは適当ですね(笑)おんなじのが3本くらいあって、家用と、持ち歩き用と、会社用と。移動中聴くわけでもないので。それなりによければいいんです」


あえて移動中は音楽を聴かないんですね。そこには理由が?


「そうなんです。自然音とか周りの音聞くのすごい楽しくて。カフェとかで隣の人の話聴くのとかめっちゃ楽しくないですか?場所によってはマルチの勧誘されている人とか、それだめだろ...って心の中でツッコミ入れてます(笑)」


「音楽」だけでなく、秋田さんが仕事モードに切り替えるのに欠かせないのが「カフェラテ」。


お昼休みの後は、必ずカフェラテを飲んでます。ホントになんとなくなんですけど、お昼で一旦途切れた集中力がカフェラテによって、また仕事モードのスイッチが入るような気がするんです」

秋田さんの写真

タスク管理は、「テキストエディット」がシンプルで十分

秋田さんの写真

最後に伺ったのは、毎日の「タスク管理」について。とにかくシンプルさを大事にする秋田さんのこだわりが見えてきた。


「PCでは『テキストエディット』をデスクトップにおいてます。いままで、付箋のアプリとか便利そうなノートアプリとかいろいろ試したんですけど、なかなか続かなくて。いま思うと、「タスクを書き出す」以上の機能を求めていなかったんですよね。

テキストエディットだったら、毎朝その日やることをがーっ書き出せるし、メールの下書きとか気にせずできちゃう。なんでも自由に書けるのがいい」


仕事のタスク管理のほか、プライベートのタスク管理にもあわせて使っているのが、「iPhoneのメモ機能」なのだそう。


「書くのはその日の買い物メモとか、友達にオススメされてモノとか、仕事での打ち合わせの内容も。けっこうなんでもですね。取り出しやすくて、カンタンに見返せるので毎日なにかしら使ってます」

インスピレーションをその瞬感に捕まえるために

秋田さんの写真

秋田さんは持ち物も少ないし、モノへのこだわりがあるわけじゃない。ただ、彼女がいつも習慣にしていることがたくさんあった。

アイデアを常にメモに書きとめる。仕事への集中力を高める。旅先や移動中も音楽を聴かず、写真も撮らずに、自分の感性を研ぎ澄ませる。

そのひとつひとつの姿勢そのものが、「その瞬間にしかないインスピレーションを捕まえる」ことにつながっているのかもしれない。

秋田さんは心揺さぶられたとき、頭のなかに「イメージ」が浮かんでくるといっていた。私だったら、いったいなにが頭のなかに思い浮かぶんだろう。ことばかもしれないし、ことばにならないなにかかもしれない。文章の書き手としてもっと豊かな表現を生み出すために、心揺さぶられた瞬感を逃さずに自分のものにしていきたい。

[撮影]なかむらしんたろう



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