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デザイナーが知っておくべき「法律」の基礎知識。商標、著作権、特許の違い、知ってる?

2018-03-19

デザイナーが知っておくべき「法律」の基礎知識。商標、著作権、特許の違い、知ってる?

自分が何気なくデザインした制作物。それがある日突然、著作権違反と言われたら……。法律の知識は弁護士だけでなく、デザイナーも身につけておくべきもの。コロプラで弁理士を務める、佐竹星爾氏が語った、最低限身につけておくべき法律の知識とは?

商標、著作権、特許の違い、あなたは言えますか?

※2018年2月に開催された「Creative X #1 session 3 C × 商標『デザイナが知るべき法律と強みとは』」よりレポート記事としてお届けします。セッションはフリーランスのクリエイティブディレクター 石坂昌也氏との対談形式で行われました。本レポートでは佐竹星爾氏さんのコメントを一部抜粋、編集記事としてお届けいたします。

「みなさん、商標、著作権、特許の違いが分かりますか?」

そんな質問から始まった、本セッション。前回までのチームビルディング、スタートアップとは打って変わり、今回のテーマは「商標」についてだ。

冒頭の質問に対して、手を挙げた参加者は数人ほど。ほとんどの参加者は言葉の違いが分からない、といった様子だった。「商標、著作権、特許の違いなんて別に知らなくても……」と思う人も多くいるだろう。しかし、佐竹氏は「新しく何かを創り出すことが仕事である、デザイナーは法律の知識を最低限身につけておくべき」と言う。

例えば、特許の知識を知っていれば、自分が制作したロゴ、設計を担当したUX(ユーザーエクスペリエンス)に対して、価値を持たせることができる。

デザイナーと法律。一見、相容れぬ両者に思えるが、デザイナーは法律を知っておくと世界で戦える“武器”をひとつ持つことにもつながっていく。佐竹氏が語った、デザイナーが最低限知っておくべき法律の知識とは?

商標と特許の違いは「クリエイティブな成果」があるかどうか

セッションの冒頭、佐竹氏が商標、著作権、特許の違いについて説明してくれた。一般的には下記のような違いがあるという。

商標:
自社の取り扱う商品、サービスを他社のものと区別するために使用するネーミングやマーク

著作権:
書物、絵画、音楽などの著作物に対して、創作者が持つ権利

特許:
新しいアイデア、新しいデザインなど、知的創造活動によって生み出されたものを創作した人の財産として保護する権利

著作権については、2016年末に起きた「キュレーションメディア問題」によって言葉の意味を理解している人も多いだろう。記事や音楽などの著作物を創作した人が持つ権利で、無断で使用すれば著作権違反に該当する。

その一方で、佐竹氏によれば意外と商標と特許の違いが意外と分かりにくいという。

「商標は会社のロゴやネーミングが対象となり、特許は新しいものが対象になる。会社のロゴやネーミングも新しいものなので、一見、新しいものだから保護の対象になるのでは?と思いますが、両者を区別するのは“クリエイティブな成果”があるかどうか」

「商標に関してはネーミングだけでは全く価値がなく、コカ・コーラのように名前を聞いて、消費者が明確にブランドをイメージできる。その状態にこそ価値があるから、それを保護しようというものです。特許は新しいアイディアそのものに価値があるから保護しようという考え方のもとに成り立っているものです」(佐竹氏)

例えば、米国の経営学者、デイヴィッド・アーカーは著書『ブランド論』で「ブランドとは連想することである」と定義している。消費者に連想させることにこそ価値があり、連想させるためにロゴや体験が存在すると考えている。そのため、ネーミングが一緒だったとしても、商品・サービスが別々であれば商標権も別々に成立する。

「仮にABCという同じ言葉を使ったとしても、ABCクッキングスタジオとABCマートは違うものだと区別できる。ネーミングは一緒ですけど、クッキングスクールと靴屋は異なるとイメージできるため、別々に権利が成り立つ。そんな感じです」(佐竹氏)

他人の制作物は尊重し、自分の制作物を権利化する

また、佐竹氏は弁理士としての視点から、こんなアドバイスをしてくれた。

「アプリ名、会社名を決める際に他社の知的財産権を調べる」

他社の商標を調べないまま、アプリ名や会社名を決めることは後々、訴訟リスクにもつながっていくという。

「他社の知的財産権は特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)にキーワードを入力すれば、全く同じネーミングがあるかどうかはすぐに調べることができます。ただし、そのネーミングに紐づいている商品・サービスが似てるかどうかは判断が難しいので、その際は法務チェックを入れたほうが良いと思います」(佐竹氏)

それに付随し、佐竹氏はデザイナーは他人が制作したものを尊重しつつ、自分が制作したものをきちんと権利化することの重要性も訴えた。

「アプリやWEBサービスのデザインを丸パクリされるとツラいじゃないですか。アプリやWEBサービスのデザインも特許の対象になるので、権利化を狙ったほうが良い。あと、自分が制作したものを知的財産権化するという意味では、商標はコストも安いので登録した方が良いと思います。それは商標にうるさい会社が割と多いからです。けっこう言いがかりをつけられることも多くあるので、きちんと反論できるようにするためにも商標登録はしておいた方がいいと思います」(佐竹氏)

なぜ、デザイナーは法律の知識を知っておくべきか?

セッションの終盤、佐竹氏はコロプラにおけるデザインの目的、そして自身の役割についても語ってくれた。

「デザインはなんのためにあるのか。僕がコロプラで2年間働いてわかったのは、デザインはユーザーから選ばれる理由を作り続けてくれる。言い換えれば、ユーザーに『コロプラ』という名前を覚えてもらうためのものだと思っています」(佐竹氏)

ここで言う「デザイン」とは、新しい体験のこと。今までにない面白いゲームだ、と思わせることがユーザーに名前を覚えてもらうためには重要だという。

だからこそ、多くのデザイナーはユーザーインターフェース(UI)の設計にこだわり、今までにない体験、操作性のものを生み出そうとする。佐竹氏は新しい体験を創出することを全力でサポートしつつ、制作されたものに関して特許をとれるものは特許をとっていくようにしている。それによりデザイナーを後方から守っているのだ。

例えば、コロプラが2016年にリリースしたスマートフォンゲーム『白猫テニス』では、スマートフォンのスワイプ操作でキャラを移動させ、タップかフリックしたら、キャラクターがラケット振る動作を行い、球が打てる範囲内に来たら打ち返す、という操作性に関して特許を取得している。

この操作性をコロプラのゲームでしか体験できないものにすることで、ユーザーから選ばれる理由を作り出している。

「スタートアップは成長していくと、既存の勢力とぶつかることになる。そういう時のために特許を積み重ねておく。きちんと権利を積み重ねておくと、『お互いに特許を使えるようにしましょう』という話をすることができますし、他の会社も新規参入しずらくなります。デザインは新しいものをつくるためにあるもの。つくったものを守るためにも法律というツールがあることを、ひとりでも多くのデザイナーに知っていただければと思います」(佐竹氏)



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