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漫画って…長くて読むのツラくないですか? チャット小説版『ドラゴン桜』に学ぶ、スマホ時代の届け方

2018-06-19

漫画って…長くて読むのツラくないですか? チャット小説版『ドラゴン桜』に学ぶ、スマホ時代の届け方

チャット小説版『ドラゴン桜』がリリースされた。マンガがチャットに…? 一体どういうことなのだろう。スマホ時代に合ったコンテンツの届け方&コツについて『peep』編集長、大石ロミー(大石弘務:27歳)さんに伺った。

スマホ時代に効く、チャット形式の届け方

チャット小説版『ドラゴン桜』の見せ方が斬新だ。

ドラゴン桜のチャット小説版
ドラゴン桜は、講談社の漫画雑誌『モーニング』にて連載。
過去に阿部寛が主演でドラマ化されたことでも知られる。

・画面の下半分をタップ
・会話調の短文テキストが表示
・イラストは重要シーンのみで登場

冗長さはなく、テンポよく読めるのが特徴。情報は限界までそぎ落とされているのに世界観は『ドラゴン桜』そのもの。

試行錯誤しつつ、この届け方を編み出したのが『peep』編集長の大石ロミー(27)さんだ。彼は前提としてこう語る。

「漫画って…長いから読むのがつらくないですか?」

もしかすると若いスマホ世代ならではのコンテンツとの接し方が? 彼と一緒に「これからのコンテンツの届け方」のヒントを探る。

大石さん Taskey株式会社 CEO/大石弘務(27)過去には、作家としても活動しており、沖縄国際映画祭で募集が行われたAmazon×よしもと原作開発コンテストにて、Amazonプライムドラマの原作小説として大賞を受賞。2015年にTaskey社を設立。チャット小説やチャット形式の漫画「タップコミック」を配信する『peep』の開発を続けてきた。2018年5月末、ドラゴン桜の編集をおこなうコルクもTaskey社に出資をしている。

イラストは「ここぞ」というところで使えばいい

今回、『ドラゴン桜』をチャット小説化するために意識したのは、できるだけ「間」をそぎ落としていくところですね。できるだけテンポよく読めるところを目指しています。例えば、イラストは効果的な部分だけに絞って使う。

このシーンでいえば、イラスト一枚で伝えたほうが見てすぐ伝わります。

教師井野が桜木をぶつシーン

「教師の井野が、主人公をにらみつけながら強く平手打ちをした」と、ナレーションで書くのは野暮だよなと。そのあとのセリフはアイコンを置くことで、誰が話しているかはわかりやすくしています。

電子書籍の漫画って、スマホだと吹き出しに文字が詰め込まれるから読みづらい。チャットのインターフェースだと見やすくできるんですよね。

世界観とテンポを両立させる

ただ、無為にイラストをテキストに置き換えてしまうと、漫画独特の世界観が失われてしまいます。そこは、アイコン、背景、テキスト、イラストをうまく組み合わせることで表現していく。

さらに、どのように世界観とテンポを両立させるか。こだわったのは、ファーストビューですね。

作品画面を開くとこういったコマ割りから始まります。

チャット小説版 ドラゴン桜冒頭シーン

こうすることで、タップコミックという世界観と、作品自体の世界観も表現しようと考えました。漫画をチャットのように読める、その新しい体験に期待感を持ってほしかったんですよね。これはなんだろう?面白そうだなって。なので最初はナレーションもなし。全てイラストにして惹き込まれるようにいます。

自分の「めんどくさい」に正直になる

大石さん

編集のプロセスとして、はじめは「自分の感触として、サクサク読めるかどうか」を大切にしていました。自分が本当に面白いと感じるものを突き詰めていく。なぜなら、他に前例がなかったから、とにかく自分で試行錯誤するしかなくて。テキストが出るタイミング、見せ方、背景…エンジニアとかなり細かく調節していきましたね。じつは、チャットが流れる「背景画像」も重要な要素の1つで。シーンによって適切な背景を入れ込んでいます。

10代、20代に直接話を聞くべし

同時に、自分の感覚で作り込んでいくと、本当に受け入れられるかわからないですよね。ぼくは27歳だから、スマホ世代ど真ん中、20代前半とは感性が違うかもしれない。

そこで彼らに直接話を聞きました。例えば、インターンの子たちにも見てもらって。ぶっちゃけどう?って。みんな『ドラゴン桜』を読んだことがなかったから、まっさらで見てもらえてラッキーでした。で、触ってもらったらすごくポジティブな反応で。ただ、まだまだブラッシュアップできるところはある。細かいチューニングにも期待いただきたいですね。

過去の作品・表現を信じすぎちゃいけない

大石さん

僕が思うのは、これまでの作品や表現、フォーマットを絶対的なものだと信じすぎてはいけないんじゃないかなということ。ぶっちゃけ、漫画を1巻まるごとスマホで読みきるのって…僕にとってはツラいんですよね…文字サイズもスマホに合ってないし、頭もつかうから(笑)

登場人物がたくさんいたり、独自の世界観を理解しなきゃいけなかったり。あと…とにかく長い。それって20巻、30巻、少なくとも数巻単位で起承転結が完結するようにできてるから。スマホ時代に合わせるなら、もっとシンプルに、もっと早くに起承転結、ストーリーは作り込めるはず。

ドラマも、映画も…長すぎてツラい

じつは映画とかドラマも好きなのですが…途中で飽きて寝ちゃうことが多い。なぜ寝てしまうのか。自分なりに分析すると、それはやはり今のコンテンツの消費サイクルとコンテンツの長さが合っていないから。冗長なシーンや登場人物がユーザーの離脱の原因になっていると思うんですよね。

もちろんじっくり向き合うコンテンツにも需要はあるし、僕も好きです。ただ、「じっくり楽しむもの」と「スキマ時間に接するもの」は確実に分かれていく。チャット化はスキマ時間にスマホで楽しむことが前提です。デバイスにあわせた届け方をしないと普通に読まれなくなっていくと思っています。

僕はドラマにしても、映画にしても「どうチャット小説化しようか」と考えながら見ると寝ない(笑)そういった意味ではドラマも、映画も、チャット小説化してみたい。サクッと楽しめるよう再編集していきたいですね。

大石さん



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