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47都道府県の公務員を志でつなぐ――熱が伝播するコミュニティの仕掛け

2018-08-03

47都道府県の公務員を志でつなぐ――熱が伝播するコミュニティの仕掛け

渋谷ヒカリエや虎ノ門ヒルズで公務員700人が集まる”飲み会”を企画。脇雅昭さんは「公務員」でありながら型破りなイベントなどを主催する。いわゆるおカタいイメージと真逆だが…脇さんとは何者?その発想とは?

カッコいい公務員のロールモデルにーー脇雅昭

「公務員こそ無限の可能性を秘めている」

こう話すのは、総務省在籍・神奈川県庁出向中の脇雅昭(わき まさあき)さん。

神奈川県国際文化観光局観光部長 兼 政策局知事室政策推進担当部長

…という、とんでもない肩書きの持ち主だ。さらに驚くのが脇さんの本業以外の活躍ぶり。

47都道府県の地方公務員と中央省庁の官僚が集まる「よんなな会(*)」を主催。これまでに、渋谷ヒカリエ、吉本興業東京本社、虎ノ門ヒルズなどで数百名規模の“飲み会”を次々に開催してきた。

「1年のうち400回くらい飲み会に参加してます」

こう笑う脇さん。型破りな公務員「脇雅昭」に熱量のあるコミュニティづくりを学ぶ。

(*)よんなな会…47都道府県の地方公務員と中央省庁で働く官僚をつなげることで、日本全体を有機的につなげることを目的とした会。年2回開催される交流会の他に、分科会なども盛んに行われている。

※本記事は、大人のための街のシェアスペース・BUKATSUDOにて開催されている連続講座、「企画でメシを食っていく」(通称・企画メシ)の講義内容をCAREER HACKにて再編集したものです。

公務員にも必要とされる課題解決の力

脇雅昭さんの写真【プロフィール】脇 雅昭 1982年生まれ、宮崎県出身。2008年に総務省に入省。現在は神奈川県庁に出向し、国際観光関連の業務等に取り組む。 47都道府県の地方自治体職員と国家公務員が集まる「よんなな会」を主催。 民間企業の経営層はじめ国、自治体の公務員など「誰かのために何かできる」セクターを超えた仲間づくり・人の志と志が繋がるきっかけの場づくりを進めている。

まず課題感としてあったのが、霞ヶ関のような場所にいると、地方の最前線で働く人たちの意見ってなかなか聞けないということ。だから、新しい法律をつくろうにも、現場でワークするかわからない「頭でっかちな案」になりがち。

どうすればいいかと考えたときに浮かんだのが、現場の人たちに意見をもらうという方法でした。僕の場合は入省1年目のときに熊本県へ赴任していたので、県庁のみんなに新しい法律を「これって現場でワークすると思う?」みたいな相談ができるわけです。

また、地方自治体の職員も国への出向があるのですが、彼らは彼らで土日もなく気合と根性で仕事をやっていて、今本当に地域で必要な課題発見力や課題解決力のような能力、そしていろんな人に出会える機会がなかなかないなと。両者の課題を解決できる場をつくろうと考えてつくったのが「よんなな会」でした。

人類史上最高に「人」と「人」がつながりやすい時代

たとえば地方創生をしようと思っても、行政だけでは絶対に解決できないんです。でも、いろんな人たちを巻き込んでいくと「こんなことできるんじゃないか」って新しい提案が生まれる。今ってSNSがあるから、人類史上最高に人と人がつながりやすくなっていると思っていて。枠組みを超えた「にゅるっとした組織」が、世の中を解決していくんじゃないかと思っています。

1人が「10000」ではなく、1万人が「1」の力を

脇雅昭さんの写真

結局、自分ひとりだと限界があるんですよ。仮に僕の戦闘力が10000あったとして、ひとりで動き回ったとしてもたかが知れている。なぜなら世の中の幸せはどんどん多様化しているから。それよりも、公務員1万人が1の力でいいから、周りの幸せを考えるほうが絶対によくなると思っています。「よんなな会」にはそうやって動ける仲間をつくっていく目的もありますね。そして、公の課題ほど、人の心を惹きつけて仲間を作りやすいなと思っています。

そういう考え方だから、最近課題を見ると興奮するんですよ。「地方に課題がある」というときは「地方には財産がある」と考えると、難しいこともやわらかくなる。そして、現地の人たちと飲んでみる。すると、また仲間が増えるっていう流れです(笑)

「交流会」や「飲み会」というライトさで巻き込む

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これまでには全国の公務員を渋谷ヒカリエや虎ノ門ヒルズ、吉本興業本社などに集めて講演会をやってきました。打ち出し方として単純に「吉本興業の本社で飲み会ができる」と。そう思えば行きたくなります。地方公務員と中央省庁で働く官僚、700人くらいが集まってくれました。

そして、来てくれた方たちに“志”の話をする。最近では小泉進次郎さん、キングコングの西野さん、俳優のマシ・オカさんにも講演していただきました。やはり、彼らから発されるメッセージは心に刺さるわけです。

一品持ち寄りで「主体者」の意識を持ってもらう

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あとは参加者にも主催者になってもらう。具体的には、ひとり一品、地元のものを持ってきてもらっています。これが結構評判いいんですよ。

普通、講演会ってケータリングが用意されていますよね。でも、たとえば3000円だとしても受付で支払いを終えた途端に“お客さま化”してしまい、「果たして、3000円分の価値があるかな」という視点で講演会に参加してしまう。

「ひとり一品持ち寄ってください」とアナウンスすると、途端に僕のところへ連絡がくる。「予算はどのくらいですか?」「今までってどんなものを持ってきていましたか?」って。これってすごいことで、参加する前から講演会当日のことを考えている。想いが集まり始めているというか。

当日は、自分の持ってきたものに興味を持ってもらうために皆がそれぞれ一生懸命宣伝してくれる。するとすごく盛り上がるんですよね。

民間にもコミュニティの「看板」を開放していく

「よんなな会」って本当に僕の時間と想いを無茶苦茶使って育てていっているコミュニティなので、大事な存在なんです。だからこそ、最初は、地方で公務員の集まりをやってみたい!という声があったとしても、「よんなな会」という名前ではなく、別の名前をオススメしていました。

でも、最近「よんなな会」というブランドを解放したんです。もっと世の中をよくするためには、みんなに使い倒されて初めて価値がある。そう思うようになったんです。

公務員に限らず、民間の人にも「よんなな会」を使い倒してもらわなければいけない。そう感じて「皆さんの周りの可能性があるのに勿体ないと感じる人を教えてください」とアイデアを募りました。そうしたら60案くらいが一気に集まって……今では学生、獣医大生、お坊さんがそれぞれ「よんななお坊さん会」などのコミュニティとして活用してくれています。

私がいないと動けないコミュニティでは意味がない

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そのときは基本的に発案者をコミュニティのリーダーにしています。「アイデアいいね!じゃあ幹事やって」って(笑)。結局、当事者で課題感の強い人がコミュニティのエンジンになる。それが一番合理的だし、私がいないと動けないコミュニティでは意味がありません。

実際に今ワークしている「よんなな○○会」も発案者がリーダーを担っています。民間の方たちとの関わりのなかで僕が直接メッセージを届けられないような人のところに届けられるようなコミュニティが少しずつできてきていると感じています。

牽引力があるのは「誰かのために何かをできる人」。ひとりひとりは微力だとしても、力を合わせれば大きな課題を解決へと導ける。そして、関わった人はみんなハッピーになる。その瞬間がたまらなく好きです。

撮影:友田和俊



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