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CTOに問われる“組織文化”を生み出す力―リブセンス 平山宗介氏のCTO論。

2013-07-29

CTOに問われる“組織文化”を生み出す力―リブセンス 平山宗介氏のCTO論。

飛ぶ鳥を落とす勢いのリブセンス。同社CTOの平山宗介氏に「CTOとは何か?」という問いをぶつけてみた。CTOを、エンジニアリングチームの“文化”をつくる存在と定義する平山氏。そのためには技術とビジネスの幅広い見識に加え、人間力が必要だという。

SIer、WEB系大手、スタートアップ。全てを知った上で語られるCTO論

「CTOとは何をする仕事なのか?」という問いへの答えを、現役CTOへのインタビューから探ろうという今回のテーマ。登場するのは、圧倒的な勢いで成長を続けるリブセンス CTOの平山宗介さんだ。

平山さん

リブセンス CTO 平山宗介さん

経歴を簡単にご紹介しておこう。新卒入社した大手SIer「日立ソフトウェアエンジニアリング」(現:日立ソリューションズ)で開発と新規事業企画を経験。同時期に、個人で開発していた担当プロジェクトが“未踏採択”されたことをきっかけにWEBに関心を移し、当時70名程度の規模だった「GREE」にジョイン。GREEが急成長を遂げて数百名規模の会社へとスケールを拡大した2011年、新たなチャレンジとして、スタートアップの「ミログ」社へ。その後フリーランスを経て、2012年、現職であるリブセンスのCTOに就任している。

SIer、WEB系の大手企業、スタートアップと、あらゆる環境を経験している平山さん。彼の考えるCTO像とは、果たしてどんなものなのだろうか?

GREEで痛感した、チームの“文化”の重要性

― 単刀直入に、平山さんはCTOという役割をどう考えていますか?


事業や会社規模によって違うという前提の上で、あらゆる会社で共通していると思うのは、会社の成長という目標に対し、エンジニアチームの成果を最大化するというミッション。

例えばトレジャーデータさんのような技術的なベンチャーであれば、当然ながら技術力で突破しようということになると思うんですけど、ある程度の規模の企業であれば、仕組みづくりや制度、採用といったポイントにシフトすると思います。

その中で、今のリブセンスに求められているのは“文化”です。


― 文化というのは?


その会社らしさ、といえばいいんでしょうか。例えば肉食系や草食系などのイメージで差別化されるような、その会社のエンジニアリングチームの性格・特徴のことです。

リブセンスでは、バランスのとれた、他人をリスペクトしあって働ける人が集まるチームを目指しています。

リブセンスはエンジニアが事業を引っ張っていくのではなく、かといって事業サイドが一方的にエンジニアをリードしていくのでもなく、ちょうどいいバランスでやっているんですよね。そこが良さだと思っています。


― その文化は平山さんが定義したものなんですか?


もともとこういったタイプのスタッフが集まっていたのですが、それを文化として明文化し、発信されてはいませんでした。それで自分が「リブセンスは将来こういう開発チームにしたいんだよね」と言葉にして、口に出すようにしてきました。

文化を重要視しているのは、GREEでの経験がきっかけです。GREEに入社した当初、社員数は70人くらいだったんですけど、2011年に辞めるときには、それが500人くらいまで拡大していました。そこまでの規模になると、それぞれの意識がどうしてもずれてくるんですよね。そうした経験から、文化を作り浸透させていくことで、共通意識を持つことが重要だと思っています。

事業サイドにも切り込めるエンジニアであれ

― 今、リブセンスのエンジニアチームはどんな組織構成になっているんですか?


最近ちょっとずつ階層化してきていますが、基本は自分がいて、その下にエンジニアが全部で約30人、フラットな形で所属しています。

自分としては、このくらいの規模感が一番考えなきゃいけない時期だと思っていて。学校のクラスなんかもそうですが、30人近く集まるとそれぞれの意思がズレてくるんですね。だからこそ、CTO的な立場からの発信が大事になってくると考えています。


平山さん


― 平山さんは、自身の立場を経営側として考えているのか、それともエンジニア側として考えているのか、どちらなんでしょう?


どちらかに寄らないように意識しています。経営サイドを意識し過ぎると、エンジニア文化というか、ちょっとギーク的なクリエイティブな風土は保たれないと思っています。とはいえ現場に寄り過ぎると、ただ技術で遊んでるだけにもなりかねない。そこはハイブリッドに保ってやっていくことが大事かなと思っていますね。その間の橋渡し役として自分がいる、というか。


― エンジニア文化って、経営やビジネスと相反するイメージもあります。


経営を構成する重要な要素として、エンジニアリングは不可欠です。相反するように見えるかもしれませんが、エンジニアリングを支えるエンジニア文化を維持することも、経営的にはとても重要なことだと考えています。

リブセンスは、社長(村上太一氏)がエンジニアではありません。だからこそ、経営判断に対してエンジニアリングの側面からも主張することをCTOとして大事にしています。


― なるほど。エンジニアの文化や立場など、守るべきところを守るために戦うのもCTOの役割だと。経営陣に主張していくうえで意識していることはありますか?


事業に対しても切り込んでいけるようなアウトプットを出していくこと、でしょうか。技術者上がりの人って、経営や事業のことが全く分からないケースも多いじゃないですか。それでは、自分の意見を聞いてもらい、通すことはできません。


― そのためには、やはり事業運営に関するナレッジや経験値が必要になってきますか?


自分の場合はSIer時代に新規事業の企画をやったり、GREEで事業予算をもって動いたりしていたので、そういう意味では事業サイドに意見を言える下地はありました。ただ、必ずしもそうした経験がなければいけない、というわけでもないとは思います。事業がどうやって回っているのか意識するとか、少し視界を広げればやっていけるのかなと。とはいえ、エンジニアのキャリアって、技術一辺倒になってしまいがちですよね。そうなると、若干難しいのかなとは思います。

エンジニアの心を掴むのは、幅広いスキルと人間力

― 経営サイドとの関係だけでなく、現場のエンジニアとの関係構築も必要ですよね?


そうなんですよね。やはりエンジニアからリスペクトされる存在でなくてはなりません。

人として良くない振る舞いをしないこと、愚痴ったりしないこと。最近は、そういう人としての器の大きさが意外と重要なんじゃないかと思っています。GREEのCTOの藤本真樹さんがまさにそうで、あの方は技術的にももちろんすごいんですけど、“人間力”が半端じゃないんです。どんなにシンドイときもニコニコしていて、実際に自分もそれに励まされていました。


― CTOには人間力が求められる、なるほど面白いですね。技術面に関してはいかがでしょう?


スペシャリストよりは、幅広くできる人のほうが向いている気がします。一言で技術といっても、領域はものすごく広いじゃないですか。自分が意識しているのは、どの技術でもだいたい6~7割は理解しようということ。そうでないと、いざというときメンバーをサポートできないんですよね。10割押さえていなくても、6~7割理解できていれば何とかできる感覚はあります。

プラスアルファで、何かひとつ突き抜けたものがあればいい。自分の場合は、チームづくりやプロダクトデザイン、プロジェクト実行力には自信があります。実は、コードを書くことに関して、メンバーのほうが優れている部分もたくさんあります。それでも、何かしら自信のある分野があれば、信頼は得られるんです。

CTOというポジションは、チームにおいて決して特別なものではありません。自分としては、エンジニアの組織をツリー型ではなく、太陽系のような形でイメージしています。中心に太陽があり、その周りに惑星があって、その一つである地球の周囲を月が回っていて、今はたまたま自分が太陽の場所にいるというだけ。あくまでそれぞれの個性があり、それを生かして全体が回っているような感覚です。

よく究極の組織は軍隊だと言いますが、エンジニア組織の場合、それでは上手くいきません。太陽系型の組織を意識して、世界に負けないエンジニアチームをつくり上げること、これが今の自分の果たすべきミッションだと考えています。

リブセンスオフィス


(つづく)


▼リブセンスCTO 平山宗介氏へのインタビュー第2弾
その技術力で本当に世界が狙えるか?―リブセンスCTO平山氏に聞く、エンジニアのキャリアの見極め方。


[取材・文]上田恭平 [撮影]梁取義宣



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