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エンジニアは自由を獲得するために戦うべき|増井雄一郎が説くギークにとっての幸せなキャリア

2014-11-07

エンジニアは自由を獲得するために戦うべき|増井雄一郎が説くギークにとっての幸せなキャリア

MobiRuby、Wri.peなどの開発者としても知られるトレタCTO増井雄一郎氏を招いて開催された学生向けセミナー「ギークに学ぶ『これからのエンジニアのキャリア』」。エンジニア歴20年の生粋ギークが若い学生に最も伝えたかったこととは?

エンジニアとしての理想的な生き方とは?

「ギークに学ぶ『これからのエンジニアのキャリアとは?』」と題し、トレタCTO増井雄一郎氏を招いて開催された学生向けセミナーをレポート。

Wri.pe、Titanium Mobile、Node.js、MobiRuby、Ruby on Railsなどの開発エンジニア、そしてミイルやトレタのCTO・経営者としてキャリアを積んできた増井氏は、これまでの仕事人生をどのような考えから歩み、今後のキャリアをどう見据えているのか?


【プロフィール】
株式会社トレタ CTO
増井雄一郎 Yuichiro Masui @masuidrive

1976年、北海道生まれ。大学時代に起業。2003年にフリーランスとなり、Ajax、Ruby on Railsなどを使ったWEBアプリ開発や執筆を行なう。2008年に渡米し、中島聡氏らとともにアプリ開発会社を立ち上げ。帰国後は、Appceleratorの「Titanium Mobile」のテクニカルエバンジェリストとして活動。現在、飲食店向け予約台帳アプリ《トレタ》のCTOを務める。

トレタCTO・増井氏のエンジニアとしての原点

こんにちは。よろしくお願いします。今日は学生の皆さんに、「エンジニアだからできる自由な生き方」というテーマで、僕がエンジニアとしてのキャリアをどのように歩んできたのか、どんな考えで自分の人生を選択してきたのかについてお話ししていければと思います。

まずは簡単に自己紹介しますね。ネットでは@masuidriveっていう名前で活動している増井雄一郎です。iPadを使って、飲食店の顧客管理や、予約管理ができる『トレタ』というアプリケーションを作っている会社のCTOやっています。また、長い間オープンソース関連の活動も続けています。

トレタ 増井雄一郎

お風呂につかりながらでもするくらい、プログラミングが大好きな人間です。コンピュータとの出会いは中学校の科学教室でした。MSXという古いコンピュータで遊びはじめたのがきっかけです。

高校時代からはずっとプログラミング中心。当時は授業中勉強せずに前日に印刷したソースコードを添削してました。一度学校で寝て、バイトに行って、そこから朝までコードを書いて、印刷して…。そんな生活です。

仕事としてプログラミングをスタートさせたのは高校2年生の時です。3年生の頃には、飛行機で出張するというよくわからない高校生でした。

合計4回起業している僕ですが、最初に起業したのは大学5年生の時。どうしても法人格がないと大きな仕事が受けられないという理由で起業したんです。事業は順調に成長していましたが、初めて大きな選択を迫られました。僕の仕事は経営や営業、企画になってしまい、コードを書く暇が全然なくなってしまったんです。

そこで改めて考えたのは、自分はコードを書き続けたいのか、会社経営をやりたいのか、ということです。自分が何をやりたいのかというのを24,5歳の頃に考えざるを得えなくなりました。

結果、仕事を社員に割り振り会社をたたむことにしました。エンジニアとしてのキャリアを止めたくなかったんです。

それから、フリーランスエンジニアとして数年間活動したり、アメリカで起業したりしてきました。起業には3回失敗してます。作っては失敗の繰り返しですね。起業経験だけは多いのですが、経営者としての成功経験がほとんどないという、かなり寂しい状況になっています。

考え方ひとつで、誰だって自由になれる

ここからは僕のいまの働き方をご紹介しながら「エンジニアだからできる自由な生き方」についてお話できればと思います。

僕はいま38歳になるので、エンジニア・プログラマとしてのキャリアは20年くらいになります。

僕がどういう働き方をしているかというと、とても自由でいます。例えば、個人で勝手気ままにいろいろ開発してみたり、お昼に出社したり、友達の誕生日を祝いに会社訪問したり、このように講演させていただいたり。

トレタ 増井雄一郎

僕は昔から、とにかく自由に生きたいと思っているんです。振り返ると、会社にきちんと就職したこともないし、上司がいたこともありません。

自由の要素のひとつにお金があります。そしてお金で買えない自由の要素の一つが時間です。例えば、会社員として9時-17時でロックされたら、友達が誕生日だからと言って、ケーキを持って昼間に遊びに行くことだってできないわけです。

会社にいない、昼から出社するからといって仕事をしていないわけではありませんよ(笑)。メンバーとは朝からチャットでコミュニケーションをとっています。以前、エバンジェリストという広報みたいな仕事で働いていたことがありますが、チームメンバーは全員リモート。世界中にあちこちにいるので、場所も時間もすごく自由に働けていました。トレタでも会議などがなければ、どこにいたって仕事はできます。

また、考え方、捉え方を変えるだけでも、自由を獲得できるのではないかと思います。

日本では「許可されないことは禁止されている」と考えるのが一般的だそうです。けれど僕は違った考え方をします。「ダメだと言われたこと以外は何でもやってもいい。」そう考えているんです。例えば、トレタにはハンモックが置いてあって、大きなリラックマが寝転がっていています。会社から「ハンモックを置いてはいけない」と言われていません。こんな感じで、ダメと言われていないことは基本的に良いと考える。僕はルールからもできるだけ自由に生きるようにしています。

自己選択ができる個人・エンジニアで在り続けること

トレタ 増井雄一郎

自由についてより深く考えてみると、自己決定権の獲得、自分の考えていることを自分で決められると換言できるんじゃないかと思っています。僕が大人になって良かったと思えるのは、自分が所属する社会・場所を選択できること。

自分の生活を、自分自身を変えるのはすごく難しい。自分だけではほぼ無理で、自分が所属する環境を変えるしかないんです。その時、自分が進みたい道、行きたい場所に身を置けるか、何を選択し、何を捨てるかということを、自己決定ができることが、すごく僕にとっては自由という意味だと思っています。

そういった意味では、WEB・IT業界に多いフリーランスやノマドが自由ではないと思います。自分の時間に対する決定権はあるけど、携わるプロダクトに対する決定権はほとんどない。

エンジニア・プログラマである僕にとって何が大事なのか。それは時間やお金の面での自由以上に、作りたいもの作れる、自分の技術を発揮して世の中に価値を生み出し、誰かに喜ばれるということなんです。

自分が作りたいモノがあって、好きなものを作っていきたい。そのためには自由が必要なんです。その大前提の上で、どうキャリアを作っていくかということを、僕は考えています。

点を組み合わせることで、クリエイティビティを生み出す

みなさんは、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式に行なった講演をご存知ですか?Connecting the dotsという、点と点を結びつけ、線にすることで思いがけない価値になるという有名な話です。

トレタ 増井雄一郎

この話をヒントにした図がこちらです。Twitterから拾ってきたものですが、点とは知識であり、繋いで線にすることで経験になります。そして大事なのが、点と点を最短距離でつなげるだけでなく、異なる組み合わせをすることで、新しい全く考えもしなかった物が作れる。それがクリエイティビィティなんです。偏りなくいろいろな方面に散らばる点や、一つに飛びぬけて大きな点があれば、それだけ大きな絵をかけるようになるはずです。

自分に置き換えてみると、自分のthe dotsはオープンソースやWEBサービス、ブログや講演、そして個人で開発しているものたちです。特に意識しているのは、単に自由であり続けるのではなく、自分の自由を価値に繋げて社会に認めて貰う、社会にリターンするということです。

小さなリスクテイク、戦って自由を得る

リスクについてもお話できればと思います。

起業を3回失敗している僕は、他人から見ると大失敗している人、リスクをコントロールできなかった人らしいのですが、僕は失敗自体をリスクだとは思っていません。失敗することも含めて考えているので、失敗そのものがそこまで困ることはではないのです。

お伝えしたいのは自分にとってのリスク何か、ということをよく考えておく必要があるということです。端的に事業が失敗してお金も信用も失うことがリスクなのか、自分が作りたいものを自分の技術を使ってつくれなくなることはリスクなのかと。

一番怖いのは、目に見えないものです。10年20年後にどうなっているかわからないリスクが一番怖い。リスクをコントロールするためには、積極的に小さなリスクを取っていくこと。早めにチャレンジしていく方が、ずっと価値のあるものだと思います。

キャリアを考える上で、自分の世界を広げることも大切です。

自分の世界を広げるには、自分がどうなりたいか目標を掲げなければいけません。それを実現するために行動し続ければ、大抵のことは実現できると信じています。

家族の例で恐縮ですが、僕にはいま65歳ぐらいの父親がいます。彼は退職をしていまは趣味でずっとジャズを弾いているんです。彼はずっとジャズをやっていたわけではありません。50歳になった時に、初めてジャズベースを買って、家で練習をし始めたのです。当然、最初は全く弾けません。けれど彼は、毎朝出社前30分間と週末の練習を10年間続けたんです。

すると、アチコチから呼ばれて、ライブをするまでに成長したそうです。これは、僕にとってすごく大きな発見でした。本当に尊敬しますし、目標を掲げること、続けることの偉大さを肌で感じたことです。

最後に、いま学生の皆さんに「大人」というものについて考えてもらいたいと思います。
本当の大人のやることは、自分の意見を持つこと。相手に影響を及ぼして、ゴールを見つけることであって、俗にいう「おとなしくなる」というのは、全然大人になることではないんです。

自由になりたい、大人になりたいと思ったら、戦って勝ち取って行くしかないと思っています。

歴史的にも自由は、戦いを経て勝ち取られたものですよね。コンピュータ・ソフトウェアの歴史でもオープンソースというものは先人が戦って勝ち取ったものです。

自由を得る過程で必ず人とぶつかることがあると思います。けれど、自由を獲得するためには逃げずにどんどん戦うこと。自分が作りたいキャリアを勝ち取っていかなければいけないと思います。

ちょっと長くなりましたが、こんな感じで、講演終わります。どうもありがとうございました。

[編集] 松尾彰大



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