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ゆとり世代は、上司とお酒を飲むべき?SAKETIMES 山口奈緒子に聞く

2015-02-17

ゆとり世代は、上司とお酒を飲むべき?SAKETIMES 山口奈緒子に聞く

中田英寿氏監修の日本酒情報検索アプリ『Sakenomy(サケノミ-)』と提携した、日本酒情報メディアSAKETIMES。編集者の山口さんが入社当時社長から課せられたのは「週1で社外の人と飲みに行く」という宿題だった。彼女は宿題で何を得たのか?そして、先輩の誘いを断るゆとり世代をどう見ているのか?

“ゆとり世代”の人見知り女子に課せられた宿題とは?

「何で行かなきゃいけないんですか?」
「残業代は出ます?」
「疲れたんで帰ります」

“ゆとり世代”と呼ばれる若者たちが先輩からの誘いに後ろ向きだと言われる昨今。一人、時代を逆行するような活動をしているのが、日本酒情報メディアSAKETIMES編集者 山口奈緒子さんだ。

SAKETIMESといえば、最近では中田英寿氏が監修する日本酒情報検索アプリ『Sakenomy(サケノミ-)』での記事配信が決まるなど注目されるメディアの一つ。山口さんは、2014年に新卒でSAKETIMESを運営するclearへ入社し、編集者として日々奔走している。

彼女は、入社してすぐ代表の生駒氏からある宿題を課せられた。それが、「週に1回社外の人と飲みに行く」というものだ。宿題の意図とは何か。もともと人見知りだったという彼女は、どのように宿題を実行に移したのか。宿題を通じて何を得られたのか。そして、先輩の誘いを断る同世代の若者をどのように見ているのか。彼女の本音に迫ってみたい。


【Profile】
山口奈緒子 Naoko Yamaguchi

1990年生まれ。大学在学中に日本酒を多く扱う飲食店でアルバイトをスタ-ト。日本酒に心奪われ、「より多くの人に日本酒の魅力を伝えられるようになりたい」と決心。20歳で利酒師の資格を取得し、卒業後、SAKETIMESを運営するclearへ入社。テイスティングのプロとなるべく、かねてより目指していた利酒師の上位資格で日本に約250人しかいない「酒匠(さかしょう)」を最年少(23歳)で取得。専門知識を活かし、SAKETIMESの編集を手がけている。

私の人見知り克服術。

― まず、山口さんの経歴からうかがいたいのですが、在学中に利酒師の資格を取得するほど、日本酒にのめり込んでいったのに、なぜWEB業界へ就職したのですか?利酒師の資格を保有しているのなら、お酒のメ-カ-や飲食店、小売店で働くのが一般的かと思うのですが…。


もともとclearでインタ-ンをしていたんです。当時は、SAKELIFEという日本酒の定期購入サ-ビスを運営していて。特に衝撃的だったのはSAKELIFEのユ-ザ-数の多さですね。特に若い人が多くて…。飲食店でバイトしていてもお客さまには接待で利用される年配の方が多く、やり取りも1対1だったので、新しい世界に出会ったような感覚を抱きましたね。

ちょうど会社もSAKETIMESという日本酒情報メディアを立ち上げたタイミングだったので、世界中の人に日本酒を好きになってもらうチャンスだと思い、他の企業の内定を断り、clearへの入社を決めました。


Saketimes 山口

― そこで社長の生駒さんから宿題が出たんですよね。「週に1回社外の社会人と飲みに行く」という。宿題が出たときはどう感じましたか?


もともと飲むのが大好きだったので、飲みに行くこと自体は苦になりませんでしたね。不安だと思ったのは、“誰と飲みに行くのか”という点。生駒からは、経営者の方など、ちゃんと自分自身でキャリアを語れるような人と飲みに行くように言われたんです。新卒の私の話を聞いてくれるのか、相手の話を理解できるのか、飲みの席を盛り上げることができるのか…そのあたりはとても不安でしたね。もともと人見知りなので…。


― 人見知りなんですか?あまり感じませんが…(笑)。人見知りだった山口さんはどうやって取り組んだんですか?


社会人で人見知りって得することが何もないんですよね。社会で働いていれば、人との関わりは必須だし。だから、話すことがニガテでもがんばるしかない、というか(笑)。会う前にその人のことを徹底的に調べ上げて、「これこれがお好きなんですよね、私も…」というように共通の話題を探しておくようにしましたね。

あと、私の場合は、お酒を飲んでいたほうがリラックスできるんですよね(笑)。腹を割ってお話しできるのでお互い本音で語れるっていうメリットはあると思います。

約1年間の”サシ飲み”を通じて得られたものって?

― 基本的には“サシ飲み”を行なってきたそうですが、どのように人選し、何をお話しするんですか?


最初は生駒に知り合いを紹介してもらったり、インタ-ンのときの知り合いに声を掛けたり、一度ご一緒させていただいた方に紹介してもらったり…って感じですね。

スタ-トアップ界隈の方が多かったので、「ベンチャ-企業が女性の新入社員を採用するときに気をつけること」などをお聞きしていました。


― お話しするテ-マって、本当に山口さん自身がお聞きしたいことなんですか?それとも、話すこと自体が目的なのか。そのあたりはいかがでしょう?


完全に話すことが目的ですね。そこはもう割り切っています。やっぱり知識も経験も不足しているから、スタ-トアップの経営者の方を私が楽しませることはできないし、勉強させてもらうことのほうが多いんです。でも、1度飲みに行った関係があるからこそ、次に悩んだときに連絡できる人が増えたというのはすごい大きいことだなと思っていて。あと、clear自体大きい会社じゃないので、先輩と呼べる人は少ないんですよね。でも、“サシ飲み”を通じて社外に先輩ができたみたいなイメ-ジはあります。


― 社内の先輩と社外の先輩でアドバイスに違いってありますか?


全く違いますね。社内の人は近い存在なので、私の状況をふまえてアドバイスをしてくれますよね。それはそれですごく嬉しいんですけど、果たしてそれが他の会社で通用するかという観点から考えると正直疑問なんです。甘やかされている、というか。

でも、社外の方は、私が置かれている状況を知らないわけじゃないですか。ニュ-トラルな視点から一人の社会人としてアドバイスをいただけるので、自分のなかで吸収しやすいというのはありますね。あと、お酒の席だからこそいただけたアドバイスもあったと思います。


― そのあたりって、生駒さんにとっても狙いどおりだったんですかね?


厳密に言うと、違うと思います。もともとは、社外の人と“サシ飲み”して、その様子をブログで記事にするところまでが宿題だったんですよね。最終的にブログの読者の方に「山口奈緒子と飲んでみたい」と思ってもらうことがゴ-ルでした。私のメディア化というか。

実際にサシ飲みするとお酒の力もあるので、個人的な話に終始してしまうこともあるんですよね。プライベ-トな内容はさすがにブログに書けないので…。でも、人に話せないほど親密なやり取りができる関係を築けたというのは、宿題で得た大きな財産だと思っています。

Saketimes 山口

若者は、もっと外へ飲みに行くべきなのか?

― 社外の方との“サシ飲み”を通じて、社内にいるだけでは得られない経験を積んでいる印象を受けます。かたやで、山口さんと同世代の方たちって社外はもとより、社内の上司からの誘いも断るという話をよく聞きますよね。そのあたりはどのようにお考えですか?


私自身はコミュニケ-ションツ-ルとして飲み会はすごく有効だと思っているのですが、断る方たちは他に最適な方法があると思っているんだと思います。

あと、最近の若い人たちにとって、お酒ってプライベ-トなものになってきているんですよね。宅飲み率も少しずつ上がってきているんですよ。お酒をコミュニケ-ションツ-ルとして仕事で使うのではなくて、自分への癒しやストレス解消のために飲むっていう人が増えてきている証拠だと思います。だから、先輩に誘われても行かないんじゃないかと。


― なるほど。たまに、すごい誘ってくる人っていますよね。「飲みニケ-ションだ!」って。


やっぱり一番根底には腹を割って話したいというのがあると思います。年配の方になればなるほど、飲みニケ-ションを重視していた人が多い、と。先輩にお酒を教わり、仲良くなって、下の世代に伝えていくっていう慣習ができあがっているので。


― 若い人たちにも自分たちの慣習を押し付けてしまうんでしょうね。一方で、やはり若手とのコミュニケ-ションって大切だと思うんです。飲みに行く以外で気軽にコミュニケ-ションをとるためには、先輩は若手にどのように歩み寄っていけばいいのでしょうか?


「お茶にいこう」でも、「ランチしよう」でも、「朝ちょっと早く出社して話そう」でも、いいと思うんですよね。お酒はあくまでもコミュニケ-ションツ-ルのひとつ。自分がコミュニケ-ションしたい相手に合わせた方法を選ぶことが大切だと思います。

Saketimes 山口

― 宿題のお話からずいぶん脱線してしまいましたが、山口さんと同世代の方にとってはもちろん、後輩とのコミュニケ-ションがニガテな人にとっても学びのあるお話をお聞きできたと思います。本日は、ありがとうございました。

[取材・文]田中嘉人
[取材協力]sakeba/東京都渋谷区渋谷3-15-2 コンパルビル 7F TEL:03-6427-9142



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