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エンジニアの囲い込みなんて発想は捨てるべき。IT×金融『ZUU』リモート開発の裏側|CTO 後藤正樹

2015-04-28

エンジニアの囲い込みなんて発想は捨てるべき。IT×金融『ZUU』リモート開発の裏側|CTO 後藤正樹

ZUU onlineなどの金融経済メディアや投資家とアドバイザーのマッチングサイト、投資判断用サービスなどフィナンシャルメディアプラットフォーム事業を展開する『ZUU』。IT×金融で注目されており、その高いサービスクオリティを支えているのがリモートを最大限活用する独自の開発体制だ。その裏側に迫った。


[プロフィール]『ZUU』CTO 後藤 正樹/Masaki Goto

東京大学大学院/洗足学園音楽大学卒。サイボウズなどに入社し、2010年度『未踏IT人材発掘・育成事業』未踏スーパークリエータに認定。『ベストティーチャー』にてCTOを経験。その後、技術顧問を担当していた『ZUU』CTOに就任。自身でもコードタクトの代表取締役として経営を行う。エンジニアという顔の他に、クラシックやゲーム音楽の演奏会におけるプロのオーケストラ指揮者でもある。

エンジニアのマインドを踏まえたリモート開発

― まずZUUにおける開発体制から伺ってもよろしいでしょうか?


今、社内に常時いるエンジニアが5名、あとは週2、3日で来ている方が2名、あとは沖縄のチームが稼働していますね。厳密にいうと、沖縄のチームはZUUのメンバーではなくて、必要に応じて仕事を出し入れしていて、それぞれのリソースを分配している、という感じです。


― なぜ、そういった体制で開発をしているのでしょうか?


沖縄のチームは技術面でかなり専門性の高いメンバーが揃っていて。たとえば、機械学習のアルゴリズムなどコアのところを任せています。ただ、そういったプログラマは常時必要なわけではありません。なので、必要に応じてやってもらっています。

もう一つ大きな理由として、エンジニアそれぞれのマインドや志向に合わせているという側面があります。ZUUは更なるスケールを目指しているのですが、「俺が会社を引っ張っていくんだ」というモチベーションがある人はZUUの正社員としてフルコミットで働いてもらう。一方で、そういうマインドの無いエンジニアも当然いるわけですよね。「沖縄で海の近くに住んで、自分のやりたいことをやる」というライフスタイルもあるじゃないですか。そういう部分も尊重しつつ、一緒に進めていける体制ということですね。

「とにかく囲う」みたいな日本企業的な発想は捨てるべき

後藤正樹


― 「自社だけで運営する」ということが、そもそもの前提にないといった印象を受けます。


日本的な企業の発想って根本にあるのが「囲い込み」「自社で独占」ですよね。それは人材だけの話ではなく、WEBサービスにもいえること。たとえば、機能を盛々に詰め込んで「このサービスで全てを完結できます」というものをつくってしまう。もうパッと見でわかりますよね、「あ、これ日本のサービスだな」と。でもそれってすごくリスキーじゃないですか。海外のサービスだとシステムをどんどん周りに広げようとする発想が根本にあって。

それに「俺の企業で全部独占してやる」という考えでやっていたらマーケットも育たないですよ。特に「金融のIT化」のような新しい市場に関しては、まだ大きなエコシステムがあるわけではないので、みんなで盛り上げていかなきゃダメなんですよね。


― ただ、人材の話に戻ってしまいますが、運用の面で難しさはありそうですよね。いかにリモート開発を成り立たせるか。


そこに関して、中途半端が一番良くないと思っています。たとえば、フルコミットの4人チームがあったとして「2人は常に社内にいて、他の2人はどこでも働いてもいい」みたいなのはやるべきじゃない。

結局、コミュニケーションが密なところだけが情報を握ることになり、伝達がされなくなります。リモートで働く人たちにも疎外感が生れますよね。だからこそ、やるんだったら極端がいい。たとえば「全員会社にいない日をつくる」などいいかもしれません。そうすることで「Skypeでのやり取りはこうやろう」「絶対Slackに書こう」といった文化が生れるので、あとはそれをどう根付かせられるかがポイントですよね。

同時に、マネジメント側としては彼らのメンタリティや価値観を理解してフォローしていって。リモートを志向する人の場合、管理を嫌うケースもありますので、たとえば、Twitterを見たりしながら、今どんなことに悩んでいて何に興味があるんだろう…みたいなこともできるだけ把握した上で適切なフォローが必要で。本当に些細なことですが、こういったソフト面もすごく大事だと考えていますね。

パフォーマンスを最大化するために重要な多様性

― 今後さらなるスケールを目指すというお話がありました。開発体制において構想はあるのでしょうか?


組織の規模を大きくしていく上で、誰がどこからどの情報にアクセスできるか?こういったコンプライアンス的な問題も出てくることは出てくるのですが、結局のところは「開発における生産性を最大化するために最良の方法」を選択するということに尽きると思います。

開発って「今、1時間ちょっと時間が空いたからやろう」みたいなやり方は向かなくて。陸上に例えると、本番前にちょっと軽く走ったりもするじゃないですか。ああいう本気で走り出すための準備を含めて、ある程度、まとまった時間が必要になる。それが実現できるような組織、勤怠体系は考えているところです。

よく言われる話ですけど、組織のパフォーマンスを最大化するために重要なのは多様性で。働き方に関しても、海外のスタートアップ、特にエンジニアが主体な会社だと、全員が在宅だったり、リモートだったり、そういったケースは当たり前になっているところもありますよね。それをそのまま参考にするというわけではないですが、必要に応じて取り入れたいと考えています。


▼インタビュー 第二弾
オーケストラの指揮者とCTO、二足のわらじがもたらす好影響とは?『ZUU』後藤正樹


[取材・文]白石 勝也



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