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スタートアップの開発組織・スタイルはいかに変化していくのか?Gunosyの開発キーマンに訊く

2015-12-02

スタートアップの開発組織・スタイルはいかに変化していくのか?Gunosyの開発キーマンに訊く

スタートアップの開発組織は如何に変化していくべきか。そのヒントを求めて伺ったのはGunosy社。新たな開発体制に移行したGunosyの変遷、あらゆる組織で活躍可能なエンジニア像について考えてみました。


【プロフィール】
松本勇気 Yuki Matsumoto(株式会社Gunosy 執行役員 CTO)

東京大学工学部 在学中から複数のネットベンチャーでWEBサービスやアプリの開発を担う。2013年よりGunosyに参画。主にiOSやAPI、インフラの開発を担当。2015年9月よりCTOに就任。Go言語などの新技術導入にも積極的に関与する。

渡邊大輔 Daisuke Watanabe(株式会社Gunosy 開発本部長)
神戸高専 電子工学科卒、プログラマーとして大手通信企業、大手新聞社・テレビ局等にて研究・開発プロジェクトに多数携わる。その後、一部上場企業(ITベンチャー)での新規事業開発や組織マネジメントを担う。2015年3月、Gunosyに入社し9月より現職。認定スクラムプロフェッショナル。

開発組織とスタイルは変わり続ける

・WEBサービスの開発組織はいかに変容を遂げていくべきなのか?
・あるいは変わらずにいられるのか?
・エンジニアにとって組織の拡大は「悪」なのか?
・どんな組織でも活躍できるエンジニアとは?


学生起業。サービスの主戦場を「WEB+メルマガ」から「アプリ」へ。ビジネスモデルの構築と長期ビジョンの策定。そして上場。

この全てを4年ほどで駆け抜けたスタートアップ・Gunosyをケーススタディに、今回は同社の開発組織の変遷にフォーカスを当てることで、前述の問いに対する回答のヒントを探っていきたい。

現在のGunosy開発体制の根幹は、新CTO・松本氏と開発本部長・渡邊氏の2頭体制。開発組織の変遷を全て見てきた松本氏とジョインして半年を経た渡邊氏、2人の視点からお話を伺った。

生み出す、模索する、アクセルを踏む

Gunosyの開発組織・第1フェーズは紛れもなく、福島良典氏、関喜史氏、吉田宏司氏という創業メンバー3人が中心だった。全員がエンジニアだった背景もあり「阿吽の呼吸」でGunosyの開発組織は形成されていく。


「2013年からアプリに注力し、iOSに関しては約1年で4回もメジャーアップデートを行ないました。その頻度が示している通り、それだけ何が当たるのかわからない状態で、数字を見ながら改善を続ける日々。エンジニアは少人数のまま、毎日密にコミュニケーションしながら全員でスクラムを組んで、という感じでした」(松本氏)


エンジニアの採用を強化しながらフラットな構造を維持した第2フェーズで20人弱の開発組織に移行。松本氏によると、このタイミングで大きな変化が訪れたという。2014年の春、「バージョン4」と呼ばれるアップデートが「模索」の期間に終わりを告げ「アクセル」を踏む決断を後押しした。


「仮説の立案から検証までを細かく繰り返す日々から、サービスが大きく成長する兆しを見出したのが2014年の3月頃だったと思います。同時にTVCMなどの施策もスタートし、一気に踏み込みました」(松本氏)

Gunosy 変遷

GunosyのアプリDL数に沿った変遷図(Gunosy IRライブラリより)

規模に応じた最適な組織を構築する

そのタイミングで変わったのは、組織構造というよりも、開発のスタイルです。それまでは、現場発の仮説を1日単位でバラバラに、パラレルにうちまくるイメージ。でもある程度進む方向の道筋をみいだしたら、伸ばすべきポイントを各所1点集中に近い形でどんどん伸ばしていく。

もちろん人数が増えたことによる変化もありました。例えば『この施策を実行したら、どれだけ伸びた』という結果との因果/相関が見えづらくなったり。その点は当時悩みの種でしたね。」(松本氏)

Gunosy 渡邊氏 松本氏

(左:渡邊氏、右:松本氏)


第3フェーズとなるIPO前には福島氏はCEOの役割に専念、会社のブレインとセンサーの役割をデータ分析部の吉田氏、関氏が担うようになり、Gunosyは改めて開発組織の変化を志向する。渡邊氏がGunosyに入社したのもこのタイミングに重なる。


「エンジニアも30人を超える規模になると、やはり組織としての体を整えたり、メンバーのケアをする責任者が必要。評価であったり、どこの数字をどのチームが責任を持ってコミットするかであったりチームの配置を決めることも大切です。でも当時はそのほとんど松本一人が担っていて、コードに触れる時間を失い始めていたんです。」(渡邊氏)


松本氏と渡邊氏が今の体制に移行する準備をはじめたのは夏頃から。9月には正式に「誰よりもコードを書くエンジニア」として松本氏がCTOに、渡邊氏はVPE(Vice President of Engineering)の立ち位置として開発本部長職に就くことで、役割を明確化し分担。現在の第4フェーズでは、チーム(プロジェクト)ごとに改善を繰り返す「スクラムオブスクラム型組織」に進化を遂げた。


「個人的な意見ですけど、CTOってやっぱり本質的にはギークじゃないですか。松本というCTOがより力を発揮し事業成果を最大化する方法は何か、経営層を含めて徹底的に話し合い、松本には執行役員・CTOとして事業ロードマップやテクノロジーの優位性を向上させる部分に全力を注いでもらって責任を持ってもらう。一方で私のほうは、メンバーの評価や育成、採用。制度改善やコスト設計、“人”にフォーカスした課題解決型開発組織の構築を担う。そういう体制にしました。」(渡邊氏)

Gunosy 渡邊氏 松本氏

Gunosy社の職種別割合(Gunosy IRライブラリより)

組織の変化で変わったもの、変わらなかったもの

サービスの成長に合わせて組織も変化し続けるGunosy。同時に変化したものとは一体何なのだろうか?


「変わったものといえば、開発組織の定義と採用ですね。以前は"テックカンパニー”として、『新しい技術をガンガン使って面白いことができるエンジニア集団』みたいな定義をしていたんです。でも社内でいろんなディスカッションや1on1をやってみると、それが一番問題で変えるべきことでした。結論、僕らは『事業課題解決チーム』であるべきだと。手段として技術を持って数字を見て、改善を回していくチームではあったんですけど、技術自体は目的ではなかった。『本来目指していた方向性』とはズレがあったな、と。」(松本氏)


一方で、組織が変わっても変わらずに残っている文化もあるという。


「変わっていないのは開発組織の本質的な部分ですかね。現場が立てた施策をどう回していくか。そのやり方が変わってきただけです。」(松本氏)

「入社してまず驚いたのは、例えば、GoでAPIを開発しているメンバーが自主的に別のチームのiOSアプリのプロジェクトに対してプルリク送っている場面に遭遇したこと。当社のエンジニアは全員コードを書きますし、皆優秀なのもあいまって、今も当然のようになっていますが、メンバーが有機的に、自主的に仮説を立てて動いて全方位であらゆるコードを改善し続ける。そういう文化は、体制移行後も残っていると思います。」(渡邊氏)

どんな組織でも活躍できるエンジニアとは

最後に「どんな組織体制、規模でも活躍できるエンジニアとは?」という問いを2人に投げかけてみた。


どんな組織でも活躍できるかを左右するのは、ビジネス課題に対してどう技術で貢献するかという意識を持つことと実践なのではないかと思います。

エンジニアが技術領域だけに目を向けるというのは、あまり賛同できません。もちろん開発・運用のスキルは広くあるいは深いに越したことはないのですが、技術領域しかやらない場合、自分が携わるビジネスに対して受け身にしかなれないのではないのかなと。それでは多くの場合、自分をコモディティ化させてしまうと思っていて。」(松本氏)

「技術があるから上から降ってきたものを作るのではなく、技術を使ってどうやってビジネスをドライブするかというところに、ちゃんと目を向ける必要があるということですね。」(渡邊氏)

「加えて重要な要素となるのはスピード。どこまで数字を頭にたたき込めるかがキーになると思います。」(松本氏)

Gunosy 渡邊氏 松本氏


組織サイズや手掛けるサービスがどんなものであっても、常にビジネス課題が存在する。それに対していかに自らのスキルや経験を持ってスピーディーに解決へと導くか。エンジニアに限らずあらゆる職種にも言えることだろう。



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