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「プレイヤーでも年収1000万円に」さくらインターネットに聞く、あるべきエンジニアの給与・評価制度

2015-05-07

「プレイヤーでも年収1000万円に」さくらインターネットに聞く、あるべきエンジニアの給与・評価制度

さくらインターネットの田中邦裕さんは代表であり、人事部の部長ポストも兼任する「エンジニア社長」だ。インタビュー第二弾となる今回は「働きやすい環境整備」「教育指針」にまで話が及んだ。


▼インタビュー第一弾はコチラ
「エンジニアの理想郷づくりのために」 さくらインターネットの代表が人事部長になったワケ

「好きなことをしていいんだ」という雰囲気づくり

― ビジネス、そしてご自身も「マインド」「パッション」を大事にされているというお話がありました。その「マインド」「パッション」はエンジニアにとっても凄く大事なものですよね。そこを醸成するために実施している施策などもあるのでしょうか?


そうですね。エンジニアにとって働きやすい環境を用意することは重要だと考えていて、IT基盤の整備を積極的に進めています。特にITツールに関しては、エンジニア主体で考えて、自分たち自身で選定から価格交渉までしてもらった方が良いのですが、エンジニアって、「好きなことしていいよ」と促しても、実際に好きなことをする人って少ないんですよ。

なので「好きなことをしていいんだ」という雰囲気づくりの方に私は注力するようにしています。そうすると、これまで上がってこなかったような意見や、私も「なるほど」と思える施策が現場からでてくるようになりました。

結果的に、SlackやGitHub Enterprise、その他開発系クラウドツールを新たにいくつか導入しましたし、チケットシステムの統合、運用監視基盤の構築などが進みました。また、業務で使用するパソコンも、働きやすさに直接影響するので、希望する機種が選べるようにしたのですが、最近社内でMacがやたら増えていますね。

一方で「好きに、自由にやっていいよ」というのを嫌がる人たちがいるのも事実です。

そういう人にとっては働きにくくなることもあるのですが、そこは私の方針として、自由を求める人にとって働きやすい環境を用意していくつもりです。「働きやすさ」というのは人それぞれで、例えば仕事に集中して専念するために、個室環境を求める人もいるわけですが、全員に個室を与えるわけにもいけないので、そういう人のためにサイレントルームという共用の個室も用意しましたし、折り合いをつけられるところを探していくようにしています。

エンジニアのまま年収1000万を実現できるようにしたい

― 評価制度や給与制度も田中さんのお考えを反映していっているのでしょうか?


そもそも、IT業界って「出世しないと給与が上がらない」って思われているじゃないですか。まず、その前提から疑問を呈していかないといけないと思っています。なぜITエンジニアのままだと給与が上がらないんだ?ということですね。

これは当社に限った話ではなく、世間的にもITエンジニアっていうのは、そのまま給与が上がっていくべきなんです。見習いから、オペレーションができる人になり、エンジニアになり、シニアエンジニアになり、スペシャリストになり、アーキテクトになる。そうやって年収1000万を超えるような役員待遇の人たちになればいいというのが私の考えです。

普通の会社だと、管理職のピラミッドがあって、ヒエラルキーとして一般社員、課長、部長…と優秀な人は出世して給与をあげていくじゃないですか。しかしエンジニアに関しては、そういうんじゃないだろうと。マネジメントというのは、特別な能力であって、マネジメントができる人は、マネジメントをやればいいし、その能力がなくても年収1000万を超えられるような体系をつくっていこうという話をしています。


― ひとことで「エンジニア」といっても色んなレイヤーがあると?


そうですね。当社の場合、データセンターの土地探しをする人もエンジニアですし、建物の設計、電源・ラック・ネットワークの整備をする人もいますし、元サーバエンジニアの人がUIデザイナーになってJavaScriptでプログラミングしている例もあります。

「何でもこなせる」とか「オールマイティな」という意味で、フルスタックエンジニアといいますけど。当社は社内だけでエンジニアとしてフルスタックなキャリア設計が可能で、管理職にならなくてもずっとエンジニアとして働いていける環境になっています。

フルスタックにキャリアを構築していける会社へ

― 会社を変えずに転職できるみたいな環境ですね。


そうですね。ひとつの実例ですが、先日、元々カスタマーサポートを担当していた社員が、法務を担当した後、データセンターのファシリティ担当エンジニアにジョブチェンジすることもありました。その社員は社内公募制度を利用したのですが、誰にでもチャンスがあり、決して特殊な話というわけではありません。

私は最近タブレットでドラクエ3をプレイしていて、「ドラクエ3みたいにキャリアをつくろう」って言ったりもしているんです。あのゲームには転職っていうシステムがあって、転職するとHPやMPは半分になり、レベル1からやり直しになるのですが、基礎力は残っているわけなんですよ。戦士なのに魔法が使えたりとかですね。それってまさにフルスタックエンジニアへの道と同じことだなと。同じレベル30の人がいたら、色んなスキルや経験を持っている人の方が選ばれるでしょうしね。

そういうキャリア構築をしていくと、いつまでもエンジニアとして働いていけると思います。


田中邦裕さん


― フルスタックにキャリアを積んでいくには何が重要だと思われますか?


学び続けるマインドを持っていることですね。エンジニアの技術スキルって3年~5年もすると錆ついてきますからね。会社としては、スキルだけで判断するのではなく、「学び続けるマインド」と「発揮された能力」で複合的に評価していくようにしたいと考えています。

これはエンジニアに限らず、全社員に言っていることなんですが、「英語、プログラミング、数字をみる、プレゼンテーション、健康管理」の5つは、みんなで学んで、訓練してできるようになろうと推奨しています。

例えば「数字を見る」という面では、ダッシュボードシステムを導入しはじめまして、各部門でサービスの販売・売上状況をリアルタイムで把握できるようにしました。

そうすると、自分たち取り組んだ施策によって、業績がどう変わったか、会社の成長にどうつながったかというのが意識できるようになります。レコーディング・ダイエットってありますよね。

日々の食べ物を記録することで、自分が摂取しているカロリー、食事の内容、間食などを自覚し、食生活の改善につなげるというダイエット方法ですが、やっぱり数字というのは、人の行動を変えますからね。


― そういった「数字を見る」も、他にあげていただいたところも、一朝一夕で身に付くことでもないですよね。それこそ教育が重要になるというか。


そうですね。教育というのは、座学で一方的に教えられるというものではないですよね。コーチングを受けるみたいなのもそうですし、ワークショップで他の部門の人としゃべるというのもそう。仕事の中で、「数字を見る」とか「英語を使う」とか自分がやってこなかったような新しい体験を仕事を通じて得ることで底力があがってくると思ってます。


― 教育という側面からもさくらインターネットをさらに進化させていこうとされているわけですね。本日はありがとうございました。


[取材・文] 鈴木健介



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