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子どもの「起業」への挑戦をつぶすな! 未来のために大人たちに出来るコト。比屋根隆×仲田洋子

2015-11-26

子どもの「起業」への挑戦をつぶすな! 未来のために大人たちに出来るコト。比屋根隆×仲田洋子

ITによって起業のハードルが下がったと言われる時代、学生起業家が注目されることも増えた。ただ、普通の高校生・大学生にとって「起業」はまだ身近ではない。キャリアの選択肢になることもほぼ無い。その障壁はどこに? 高校生起業家 仲田洋子さんと起業家育成を手掛ける比屋根隆さんの対談をお届けします。


[プロフィール]
仲田洋子(昭和薬科大学附属高等学校1年生)

中学生のときに沖縄の次世代リーダー発掘・育成プロジェクト「Ryukyufrogs」に最年少で選抜される。2015年5月に株式会社カッシーニを設立。自社メディア「ROLEMODEL okinawa」を皮切りに、地元沖縄の若者たちの選択肢を広げていくための事業を展開予定。
まるメガネがトレードマーク。「たくさんの人 に会っていろいろなことを吸収しよう」と、多くの起業家・経営者・エンジニアなどに会った。最後の写真の“まるメガネポーズ”で記念撮影をしてもらうのが習慣で、その数は300人以上にのぼる。


比屋根 隆(株式会社レキサス 代表取締役社長)
ITの可能性に魅かれ、学生時代にIT会社を設立し、学生向けのコミュニティサイトを立ち上げる。
その後1998年に沖縄県うるま市に本社をおく株式会社レキサスを設立。沖縄でのコンテンツづくりにこだわり様々な事業を手がけながら、「人材育成を通して沖縄県経済の自立と発展を目指す」という大きな理念のもと人材教育にも力を入れてきた。
2007年に沖縄の次世代ITリーダーを育成を目的とした『IT frogs』を設立。 2013年には沖縄全体の人材育成プラットフォームとして『Ryukyufrogs』へと進化させた。

シリコンバレー研修で起業家マインドを身に付ける若者たち

今回注目したのは、沖縄発、将来を担う起業家人材の発掘と育成を行う「Ryukyufrogs」。元Samurai Incubateの池村光次氏がメンターを務めるなど注目度も高まっている。沖縄のベンチャー企業「レキサス」代表の比屋根隆さんが8年前に立ち上げたプロジェクトだ。

具体的には、毎年沖縄の学生を10名ほど選抜。シリコンバレーへの派遣や、起業家・投資家との意見交換など、半年間にわたって起業家マインド醸成・ビジネス創造のきっかけづくりを行う。

実際、同プログラムを通じて16歳の仲田洋子(なかだひろこ)さんが2015年5月に起業した。現役女子高生でありつつ、カッシーニという会社のCEOとして活躍の場を広げようとしている。

ITの進展によりぐっとハードルが下がった「起業」だが、まだまだ高校生・大学生など「学生起業家」の存在は身近ではない。「社会を知らない若者の無謀な挑戦」「リスクが高い」「学業に専念すべき」などネガティブに受け取られることさえある。

そのような中、10代で起業する意味とは? 起業は若者たちの可能性をどう広げるか?若者の挑戦を阻むものとは? Ryukyufrogs理事長の比屋根さんと高校生起業家の仲田さんの対談をお届けする。

大人たちの「安定志向」が子どもの可能性を閉ざす

高校生起業家として注目される仲田洋子さんだが、まわりの高校生たちは将来についてどう考えているのか。まずは「高校生たちのリアルなキャリア観」といったテーマでお二人にお話を伺った。

仲田洋子さん

仲田洋子さん(16歳)/現役女子高生でありながら、5月に株式会社カッシーニを設立した起業家でもある。


仲田:
私のまわり、特に学校では安定した職業に就きたいと思っている子たちが多いですね。それは親たちの影響が大きいと思います。「こんな不安定な世の中でもちゃんと生きていけるように資格を取りなさい」という大人が多い印象はあります。私はそれだけがリスクヘッジの方法ではないと思うのですが…。

比屋根:
安定志向に加えて地元への愛着もあり、沖縄の場合、子どもには地元の公務員になるか、県内の大企業に行って欲しいという親たちが多いですね。

ただ、仲田さんのように「技術やビジネスで世の中を変えたい」という思いをもった子もいて。残念なのは、子どもたちが大きく成長しようとしているのに、親や先生が止めてしまうケースがあること。以前、Ryukyufrogsのプログラムで事業プラン・成果を発表した高校生の女の子がいて、その場で「500万円出資したい」といってくれた投資家がいたんですよ。こんなチャンスは滅多にない。その子は「学校の先生と親と相談します」と一度持ち帰ったのですが、その結果「辞退します」と…。

仲田:
…すごくもったいないですね。

比屋根:
そう。それ以来、成果の報告会は親や先生も招いて、子どもたちがどれだけ変化しているか知ってもらうようにしたんですよね。

仲田:
たしかに「見てもらう」「知ってもらう」というところがスタートなのかも。私の学校でもまだ理解がないだろうなと思って、黙って起業したんですよ。その後、新聞に取り上げられたことで知れ渡ってしまったんですけど、先生は「ただただびっくり」という感じ。「高校生が起業」ってどういうことかイメージが湧かないんだと思います。

比屋根:
よく分かってないし、よく思ってもいないという感じかもしれない。

仲田:
そうですね。たぶん同級生の親たちも「起業なんて余計なことしないで勉強に専念すべき」と思っている人たちが大半でしょうね。

部活の感覚で、どんどん起業してみればいい。

学校や親など、大人たちの「起業」に対する偏見・理解不足を指摘する二人。さらに話は「なぜ大人たちは起業に抵抗感があるのか」という部分に展開していった。

比屋根隆さん

比屋根隆さん/株式会社レキサス 代表取締役社長/Ryukyufrogs 理事長


比屋根:
起業って今はそんなにお金がかかるものではないし、私は「クラブ活動のひとつだと思ってやればいい」と思うんです。たとえばサッカーだったらクラブに入って練習や試合をして、家でもプロのDVD観て研究したりしますよね。起業だって子どもが「やりたい」と言うならやらせてみて、実践と研究を重ねていけばいい。プロの意見を聞くことだってすぐにできます。

でも、親や先生は「起業」のことを分からないから「怖い」と思ってしまうんですよね。そういう恐怖感を取り払う努力も必要だな、と感じています。

ITに関しても同じで、私の会社では高校生やその先生、親にITの楽しさを伝える活動もしていて、参加者のアンケートを見ると大人も子どもも「驚きました!」「ワクワクしました!」という反応がとても多い。ITにせよ、起業にせよ「可能性に触れる機会」が少ないだけなんじゃないかな、と。

仲田:
沖縄って娯楽が少ないから、中高生のスマホ所持率は結構高いですよね。でも、スマホで遊んでいても、アプリを自分で作れると思っている子はすごく少ないです。私も「自分で作れる」って知ったときは衝撃でした。衝撃が大きかったからこそ、それをきっかけにITとか起業とかに強く興味を持ったんです。

もしかすると沖縄特有かもしれないけれど、大人から「これくらいできれば十分」という言い方をされることが多いと感じていて…。そうすると向上心が芽生えないんですよね。子どもには「がんばればもっとできる」という可能性を見せていくべきなんじゃないかと考えています。

広い世界を見せるためには、まずは大人が学ぶこと

大人たちが子どもたちにどう可能性を見せていくか?こういったテーマに対し、比屋根さんから、とある大学教員の実例紹介があった。


比屋根:
もちろん関心を持っている大人もいて、Ryukyufrogs一期のとき、自費でシリコンバレー研修に参加した沖縄国際大学の先生がいたんですよ。彼は「教師が自ら体験しないと、学生たちに教えられない」と、その後1年間休職してシリコンバレーの大学に勉強に行きました。そういう理解のある先生がいると、周りにいる子たちの可能性も広がるはず。小中学校や高校でも先生の影響力ってかなり大きいから、先生が視野を広げていくことで子どもたちの可能性も広げてあげられる。

仲田:
そうですね。高校までって親以外で触れ合える大人は先生くらいしかいないんですよ。思春期だと親の言うことは聞きたくないこともあるから(笑)先生ってすごく大事。

比屋根:
確かにそうかもしれませんね(笑)そんな中でも、親や家族、地域の大人たちたちにもできることがあって。起業に関して「自分には分からない」「理解できない」というところで止まらず、アドバイスできる他の人につないであげたり、Ryukyufrogsのようなプログラムを見学にきたり、とにかく行動してほしい。今、話していて思ったのですが、Ryukyufrogsの大人版もやってもいいですね。いきなり「起業」をテーマにすると人が集まらないだろうから、大人たちが興味のあるようなテーマで、いろんな意見交換をする中で「こんな選択肢もあるんだ」と気づいてもらうような。

仲田:それすごくいいですね!ぜひ、やってください!

次世代リーダーは、世界に飛び出し地元に還元する

「地域の未来を担う次世代リーダー育成」のモデルとしても県内外から注目されるRyukyufrogs。対談の終盤ではその未来、卒業生たちの進路について語られた。


仲田:
Ryukyufrogsはすごくいいプログラムだと思うのですが、卒業生たちの進路について何かお考えなどあるんですか?

比屋根:
私たちが期待しているのは2つのパターンですね。ひとつは、一度世界に出ていろいろなことを身につけて沖縄に戻ってきてくれるパターン。もうひとつは、出て行ったら戻らなくていいから、地元を活かすビジネスを作ってくれるパターン。例えばシリコンバレーで起業してもいい。そのビジネスで沖縄の人材を活用するとか、地元の観光に関わるといったイメージです。

15年経ったら仲田さんは30代。その頃はもうわざわざ「グローバル」なんて当たり前すぎて言わなくなっているはずだから、世界中どこででも活躍できる人材になってほしい。そして志ある起業家が世界中に散らばって、ネットワークでつながっているような状況になるといいですね。

仲田:
私も、海外の大学で学んで、いつか戻ってきたいと思っています。

比屋根:
仲田さんとは以前に、政治も変えなきゃいけないという話もしていましたね。将来は戻ってきて知事になるというのもあり?

仲田:
はい、それも可能性のひとつですね(笑)

比屋根:
起業家としていろいろ苦労はあるとは思いますが、ぜひ成功して良いロールモデルになってほしいです。やっぱり人を動かすためには成功事例を増やすのが一番早かったりするので、我々もそのためにがんばっていきます。


仲田洋子さん_比屋根隆さん


(おわり)



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