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学生のための新オフィス!?Rettyが考える、企業とインターンの「エコシステム」とは

2016-01-29

学生のための新オフィス!?Rettyが考える、企業とインターンの「エコシステム」とは

Rettyは昨年11月、学生エンジニアのための新オフィス「Retty Technology Campus Tokyo」を東京・本郷三丁目に開設した。社員ではなく“学生のため”とはどういうこと? さっそくRettyに直撃した。

ハイレベル揃いなRetty学生インターンたち

創業当時から学生インターンを採用し、そこで誕生した機能や技術を積極的に事業へ導入してきたというRetty。特にエンジニアとして関わる学生インターンたちのパフォーマンスが高く、次のような成果をあげている。

・H.Mさん(東京大学大学院 情報理工学系研究科):投稿のキーワード自動抽出
・N.Hさん(東京大学大学院情報学環・学際情報学府):Androidアプリの開発・運用
・H.Mさん(東京大学大学院 情報理工学系研究科):Androidアプリの開発・運用
・S.Iさん(慶應義塾大学理工学部 情報工学科):新APIプラットフォームの開発・運用
・Y.Sさん(電気通信大学 情報理工学部):Rettyアップルウォッチアプリのスクラッチ開発・運用、新APIのAndroid開発・運用

そんなRettyが昨年11月、学生インターン(エンジニア)のための新オフィス「Retty Technology Campus Tokyo」を開設した。

社員のための新オフィスはよく耳にするが、“学生のため”とはあまり聞かない。その狙いや意図するものが何なのか、新オフィス開設を提案したという同社CTO・樽石将人さんに聞いた。


<プロフィール>
樽石将人 Masato Taruishi(Retty株式会社 CTO)

GoogleにてインフラやGoogleマップ、モバイル検索の開発を担当。東日本大震災時には、パーソンファインダーの開発を牽引する。その後、楽天を経て、2014年から最高技術責任者(CTO)としてRettyにジョインする。

“学業と仕事を両立”させるための新オフィス

― まずは新オフィス開設について、経緯や意図を教えてください。


Rettyは創業初期から、「スタートアップで成長したい」という学生インターンを受け入れていました。中には週5勤務してくれて、私たちの成長にフルコミットしてくれた学生もいます。実際、Rettyインターンを卒業後、自ら起業して資金調達まで成し遂げた人もいます。

しかし、学生さんの本業は「学業」です。特に情報系専攻など、理系の学生は研究室や論文執筆などで忙しいことが多い。長期休み中であれば問題なくても、新学期が始まると出社するだけでもハードルが上がります。週1~2の出社では、できることも限られます。何より、学生本人の達成感もありません。そこで、学業と勤務の両方を継続できるよう、大学近くに新オフィス「Retty Technology Campus Tokyo」を作りました。

なお、オフィスに Campus という名前が付いていますが、これはアメリカ西海岸の企業がオフィスのことを Campus と呼んでいることから名づけました。

現在、Rettyでエンジニアとして参加している学生インターンは10人程。その約半数が通っている東京大学・本郷キャンパスの近くに第一弾として開設しました。今後は、ほかの学生インターンたちが通っている大学近くにも作っていきたいと考えています。

学生インターン活用から生まれるイノベーション

Retty CTO 樽石将人

― なぜ、そこまで学生の活用に力を入れるのですか?


僕は学生時代、課外活動としてオープンソースコミュニティに参加していました。オープンソースコミュニティとは、インターネット上でさまざまな地域・国の人たちとコミュニケーションをとりながら、誰でも自由に利用できるソフトウェアを作るというものです。学校の外で何かするのは、すごく広がりがあって、いい経験になりました。同じような経験を、今の学生さんにも体験してもらいたいんです。

事業観点では、学生さんたちのアイデアや興味をうまく活用することで、社員エンジニアの間で新たな気付きやイノベーションが生まれることを期待しています。

学生インターンと企業は「エコシステム」を構築すべき

― 優秀とはいえ、相手は社会人経験などがまだない学生です。そんな彼らに活躍してもらうため、意識していることは?


一番意識しているのは、学生さんたちがやりたい・興味があることと、事業の方向性をうまく一致させることです。そのために、まずは学生本人が取り組んでいる研究内容などをしっかり聞き出しています。

学生さんは、いろんなものを発明します。こんなものができました、と。ただ、やはりそのままの状態では、実際のサービス上で役に立つ機能になることは少ないですから、どう活用すべきか、どうすれば価値を生み出せるのか。そこは時間をかけて考えますね。

― スタートアップを含む企業では、学生インターンを採用するところが増えています。一方で、学生本人にとっては「自分がやりたかったこととは違う」と感じるケースもあると聞きます。

当社では、学生さんがやりたいことが出来るように工夫をしています。一番大事なのは学生さんがなにをやりたいのかきちんと理解し、それをどうすれば事業に活かせるのか、社員がしっかり考えることでした。そのために、社員エンジニアと学生エンジニアが討論できる Tech Talk を毎週 Campus で開催し、そこで学生活動のアピール、また社員活動のアピールができる場を作っています。


― Rettyの場合、学生インターンを活用できた具体例はありますか?


現在、Rettyの業務スキームの中に「データ整備」があります。これまで主にクラウドソーシングを活用し、天然のニューラルネットワークで対応していましたが、ある学生さんの研究内容を活用すれば自動化が可能と考え、学生さんたちに「これを自動化したい」と依頼してみたのです。最近の学生さんたちの中には、ビッグデータや自然言語処理の領域に興味を持つ人が多く、「やりたい!」と思っていることにうまく当てはまりました。

今でも、学生さんたちにいろんなデータを整備するためのワークフローを共有し、それを自動化してもらっています。「Retty Technology Campus Tokyo」で一番成果をあげているのは、Rettyのデータ整備の自動化かもしれませんね。

“自分事”にできる学生は活躍する

Retty Office

― 「今後活躍する」と感じる学生インターンには、どのような特徴があると思いますか?


当社では基本的に開発者本人の自主性に基づいて開発を進めています。私が関わっていたオープンソースコミュニティも同じでした。機能拡張や不具合修正を自主的に行い、パッチ(いまでいうプルリク)まで独力で提供できるスキルが求められました。課題を「自分事」にとらえて、必要な情報を集めるところから解決策までたどり着ける。これができる学生は、当社でさらに成長できます。


― どこへ行けば、そういった学生インターンと出会えるのでしょうか?


Rettyの場合、ハッカソンなどのイベントで探すのが一番効率的でした。そういった場所に来ている学生さんは、自主性のある学生さんが多かったです。もともと、Rettyが求めている学生インターン=イベントに出るタイプだった、ということもあるかもしれませんが。

逆に、自社サイトなどで募集内容を詳細に提示した要項にはそこまで応募は集まりません。今では、「おもしろいことを任せます」とざっくりとした募集アピールをしています。不思議なことに、そちらのほうがマッチしやすい学生が集まってくれているように感じています。

学生インターンの活用、今後の課題

― お話を伺っていると、Rettyと学生インターンの関係はうまくいっているように感じます。それでも「難しい」と感じていることはありますか?


Rettyの社員エンジニアにもヒアリングしてみたところ、引き続き、次の点を課題に感じています。

学生さんは、エンジニアリングの技術は優秀でも、サービスへの理解は足りていません。特にサービスを提供する場合には、持続性が非常に重要になるため、そこへの意識を高めてもらうことが課題です。これに関して現在は、社員がうまく成果を巻きとり、一緒に進める形で持続性を担保しています。

また、彼らのモチベーション維持にも注意しています。長期でコミットしてもらう場合、同じような作業のくり返しになりがちです。常に新しいチャレンジができるように社員エンジニアがメンタリングを試みています。


― ありがとうございました。



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