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イケてる人材は3つの“J”を持っている ―VASILY 金山裕樹のキャリア論[1]

2012-11-28

イケてる人材は3つの“J”を持っている ―VASILY 金山裕樹のキャリア論[1]

組織の規模などによっても変わってくる「優秀な人材」の定義。その一つの答えを、Yahoo!JAPAN出身、現在は(株)VASILY代表を務める金山裕樹氏に伺った。大企業とスタートアップ、両方を識る金山氏。優秀な人材に共通する資質として、「3つの“J”」があると語る―。

Yahoo!JAPAN出身、「ファッションSNS」を仕掛ける注目の起業家。



ファッションSNS《iQON》。ZOZOTOWNをはじめ40以上のECサイトと連携し、月間アクセスは100万を突破。多数の競合がひしめく中、一歩抜きん出た存在として注目を集めるサービスだ。

その《iQON》を仕掛けるのが、株式会社VASILYの金山裕樹さん。Yahoo!JAPANで数々のWEBサービスを送り出してきた、辣腕のWEBプロデューサーである。(ちなみに元ミュージシャンでもあり、FUJI ROCK FESTIVALに出演したこともある)

今回のインタビューのきっかけは、“けんすう”こと古川健介さん(nanapi代表)の一言。 「いま、優秀な人材の定義について話を聞くべき人は?」という問いかけに対し、真っ先に挙がったのが金山さんの名前だったのだ。

果たして、金山さんの考える「WEB業界で活躍しうる、優秀な人材の定義」とは、どんなものなのだろうか?

優秀な人材は、3つの“J”を持っている。

― 早速ですが、金山さんは「優秀な人材」をどう定義なさっているのでしょうか?


定義って、企業の規模とフェーズによって変わってきますよね。当然ながら、Yahoo!JAPANとVASILYとでは、求められるモノは違ってきます。ですので、今回は特にスタートアップにおける「優秀な人材」を中心にしてお話できればと思います。


― なるほど。では、スタートアップにおける「優秀な人材の定義」とは?


「3つの“J”を持っていること」だと考えています。最近、VASILYで採用活動をしている中で、“どんな人材がウチの会社にフィットするだろう?”と考えを深めて発見した定義なんです。そこでちょうど取材のお話がきたので、どこにも言わずにとっておきました(笑)


― ありがとうございます(笑) では、3つの“J”について、それぞれ具体的に教えてください。


1つ目の“J” =『 情熱 (Jyonetsu) 』

まず一つ目は、『情熱 (Jyonetsu)』。これが一番大事だと思います。スタートアップって基本的に “失敗の連続”なんですね。失敗、失敗、失敗…、でたまに成功する。そんな感じなので下手すると「もう俺らダメじゃん」って、心が折れてしまいがちです。

そんな時に「もう一回やってやろう」って思えるかどうかは、内に秘めた『情熱』があるかどうかで決まることが多いんです。たとえば、会社を成功させたい、ファッションが好き、色んなベクトルはあると思うのですが、燃やし続けられる情熱を持っているかというポイントは、前提になると感じます。


― その情熱は、“会社で与えられるもの”というより、持っている人ならそもそも持っているものなのでしょうか?


そもそも持っていないと、うまくいかないと思います。もちろん、その情熱の火が燃えやすい環境を整えるのが、経営者としての役割でもあるのですが。ただ、心が湿っていたら情熱の火は燃えません。だからこそ、「心に情熱の火種がある」ことが大切になる。

その有無を見極めるには、シンプルに「仕事以外の時間で何をしているか」を聞けばいい。たとえば、プログラマであれば、「休日もプログラミングしてます」って人はやっぱりプログラミングが好きなんです。だから、熱中できるようなテーマや機能を任せると、バーっと燃えてくる。

非エンジニアだったら、2パターンありますね。ビジネスが好きなヤツは、四六時中ビジネスを考えるでオッケーです。でもそれとは別に、趣味を本気でやってる人っていますよね。たとえば、登山が好きで良い装備を買いたいから稼ぎたい。いつか山に別荘を建てたい。それも一つの情熱だと思うし、それでいいと思うんです。目的が何であれそこに強烈な情熱があれば、目的を達成するための“手段”としての仕事にも情熱的に取り組める。だから必ずしも“目的”がビジネスにフォーカスされている必要はないと思います。

2つ目の“J” =『 自主性 (Jisyusei) 』

ベンチャーって、待っていても仕事は降ってこないんですよ。ただただ座ってたら、一日座ってましたで終わっちゃう環境なんです。

なので、自分からどんどん突っ込んでいかなきゃダメ。お手本なんてないことが当たり前なので、“自ら進んでやっていけるか”がビジネスのベースになります。

その点、大企業は勝手にメールがまわってきたり、仕組み化されている部分が多いのですよね。でもスタートアップでは自分から情報を取りにいかないと、徐々に世界が狭くなってしまいます。


― これも“後から身に付ける”というより、“先天的”なものでしょうか?


…な部分が大きい気がしますね。こんなこと言うと元も子もないかもしれませんけど、多くの場合、その人が経験してきた人生によるのかなと。でも毎日毎日“3つのJ”について考え、行動していけば身についていくと思います。

あとは、“3つのJ”を必ず持っている人もいるかなと思っていて、それは突然自分の身に降り掛かってきた不幸や、自分の力ではどうしようもない理不尽な事など、「修羅場」を乗り越えた人だと思うんです。

これは完全に僕の独断と偏見ですけども、不遇だけど頑張ってる人は得てして見所がある。やはり天才でも凡人でも、失敗はします。その差がどこでつくかというと、リカバリーのスピードの差なんじゃないかと思うんです。たとえ転んだとしても、多くの人が「いて~!」って言っているところで、サッと切り替えて次の一歩を踏みだすことができるか。優秀な人材は、そのスピードがはやいと思う。

だから理不尽なことが起きた時も、腐らずに速攻でリカバリーしてきたことの積み重ねが、後々に大きな差になっていくんですね。よく言われることかもしれませんが、失敗の数と優秀さには“相関関係”がある気がします。というか、まったく失敗知らずのスーパーエリートか、失敗に揉まれてきた叩き上げか、どっちかなんでしょうね。真ん中の「そんなに大きな失敗もないし、そこまで大きな成功もしていません」っていう層は、なかなか優秀とは言えないんじゃないでしょうか。

3つ目の“J” =『 地頭 (Jiatama) 』

最後は『地頭』。これも定義が難しいのですが、少なくとも“勉強の良し悪し”ではないですね。敢えていえば、「状況を判断してアジャストできる能力」こそが地頭の良さだと思っています。

ベンチャーってホントに、「朝令暮改」なんです。朝、僕が「やるぞ」って言ったことが、昼飯の前に「やっぱ止めよう」ってなることもありますし。それだけ早く僕らも動いているし、世の中はさらに早く変わるので、そこにアジャストしなきゃいけないんですよね。そういう一分一秒ごとに変化するシチュエーションを、いかに判断して合わせていくのかという要素は、“地頭”にとっての重要なポイントだと思います。


― これも、持って生まれた才能の問題なのでしょうか?


いや、個人的には物事に対するアティテュードの問題だと感じています。ちょっと話が変わりますけど、人間の環境適応力ってホントすごいんですよ。たとえば「通勤」を例にすると、VASILYのオフィスに初めて来るときは、3~4回とか地図を見ますよね。でも一週間たつと、何も見ず、何も意識せずに来れるようになる。処理している情報量は変わってないんですよね。電車に乗って、道が混んでるとかコンビニの角を曲がるとか判断して、たどり着いているわけで。情報の量は変わっていないはずなのに、無意識のゾーンで処理をしてラクに動けるようになる。

でも、この“当たり前”を“当たり前”だと思わず、意識的になれるかどうかが、地頭の良し悪しをはかるポイントなんじゃないかと思うんです。「もっと近道があるんじゃないか?」だったり、あらゆることに疑問を持てる人は、自然と地頭がよくなってくる。ルーチンにするとラクになる分、変化が起きず刺激も減っていくので、この小さな積み重ねが地頭の良さにつながっていくんじゃないですかね。

30代で問われる、2つの“J”。

― 3つの“J”。これは非常に明確な定義ですね。


そうですね。ただ30代に入ると、さらに2つの“J”が問われるようになると考えています。いま僕らも30代以降の方々の面接をしているのですが、やっぱり『実績』と『自信』も重要になってくる。もちろん30代になってからでも能力は伸びますが、伸びしろ以上に、ノウハウを投入してすぐにチームがレベルアップするような『実績』があること、そしてここまでやってきたという『自信』が必要。だから、30代以降の場合は「5J」ですね。


― 「5J」。これも、またキャッチーですね。


実はもう一つ、3J・5Jに入れるかどうか最後まで迷ったものもあって。せっかくなので言っちゃ いますけど、『丈夫(Jyoubu)』っていう要素。ベンチャーは大企業のように1000人のうちの1人ではなく、10人のうちの1人として働くわけなので、体調を崩したり病気になってしまったら戦力が大幅ダウンになってしまいます。だから丈夫であることはベンチャーで働く上でものすごく大事だし、そのための体調管理の能力も重要な素養ですよね。まあトータルで6つになっちゃいましたけど、その人が優秀かどうかをはかる指標としては、なかなか分かりやすいんじゃないかと思ってます。




(つづく)
□エンジニアよ、ゼネラリストなんて目指すな!―VASILY 金山裕樹のキャリア論[2]はこちら



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