2016.06.21
エンジニアが育児に奮闘!初めてパパになってみて。サイボウズ 柴田一帆×ヒトメディア 佐々木達也

エンジニアが育児に奮闘!初めてパパになってみて。サイボウズ 柴田一帆×ヒトメディア 佐々木達也

3月に赤ちゃんが生まれたばかりのサイボウズ 柴田一帆さん(33歳)と、1歳のお子さんがいるヒトメディア 佐々木達也さん(33歳)。エンジニア2名による「はじめてのパパ」対談!人生において何を大切にするのか。その選択のために大切なコトとは?

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はじめての子育て。エンジニアのリアルな悩みと本音

仕事中心だった20代からいろいろ考える30代へ。Web業界でも「子育て」というライフイベントを迎える人たちも多いのではないでしょうか。

はじめて「パパ」になったエンジニアたちは何を思う?

そんな疑問から今回の特別対談が実現。お話を伺ったのは3月に赤ちゃんが生まれたばかりのサイボウズ 柴田一帆さん(33歳)と1歳のお子さんがいるヒトメディア 佐々木達也さん(33歳)です。

育児にはどう参加している?どう仕事と並行している?会社の理解は得られている?ぶっちゃけ悩みや不安は?

お二人の「はじめてのパパ経験」から見えてきたのは、人生において「何を大切にしていくか」ということ。そして人生の選択肢をどう増やしていくかということでした。


[プロフィール]
サイボウズ/柴田一帆さん
2008年に新卒でサイボウズへ入社。サイボウズLiveの開発に従事し、2011年には「Titanium Mobile」を利用してサイボウズLive のiPhone/Android版を開発。2015年11月5日には「Swift」を採用した「サイボウズLive TIMELINE」iPhone版を開発責任者としてリリース。現在はLiveだけでなく、サイボウズ各製品におけるモバイルアプリの開発プロジェクトに従事。2016年3月に第一子誕生。約1ヶ月の育休を経て5月23日に復帰した。

ヒトメディア/佐々木達也さん
一児(1歳/男の子)のパパ。新卒でアドウェイズに入社し、その後クックパッド、Lang-8にてエンジニアとしての経験を積む。2014年7月からヒトメディアに「スタートアップスペシャリスト」として入社して新規事業に関わっている。また「ささたつ/からあげエンジニア」としてもカンファレンスなどに登壇。「Webエンジニアの教科書」などの複数の著書も出版している。

みんなちゃんと父親になれるはず

― 「はじめてパパになること」が不安な方もいるのではないかと対談のテーマを設定させていただきました。佐々木さんから実際のところ、不安はありませんでしたか?


ヒトメディア/佐々木達也さん

ヒトメディア/佐々木達也さん


佐々木:
それでいうと「自分の自由な時間がなくなる」という不安はありましたね。特にエンジニアって新しい技術の勉強が大切ですし、その時間がなかなかとれなくなるんじゃないかと。実際、子どもが生まれて自分の時間は減りました。

でも、仕事はいつでもできるけど、子育てはいまこの時にしかできないんだと気づいて。どちらか選ばなきゃいけないとしたら今は子育てのほうが大事なこと。やりたいことになりましたね。

それでもパソコンでの作業が必要な時は、ちょっと時間を見つけて「カフェに行ってきていい?」と奥さんにお願いして1時間だけやって帰るみたいな感じでバランスはとっています。

家だとパソコンを開いた瞬間、子どもがダーッとハイハイで寄ってきてキーボードをバンバン叩くんですよ(笑)父親が触ってるから気になるんですかね。なので家ではあまりパソコンを開けないようになりました。


― 「父親」って男性にとって大きな存在だったりもしますよね、自分がなれるのか?みたいな。不安はありませんでしたか?


柴田:
ぼくの場合は「ちゃんと“父親”ができるかな」みたいな不安はありましたね。子どもが生まれるまではそれほど「子どもが好き」というタイプではなかったですし、正直、奥さんが妊娠中も「自分が父親か…」と少し不安な部分はありました。

佐々木:
ぼくもいろいろな人に聞かれました。でも結局、子育てをしながら父親になるんだろうなって気がしています。だから全然大丈夫なんじゃないかなと。世の中これだけたくさんの人たちが父親やっているので、なんとかなるものだと思っています(笑)

どう夫婦で育児を協力していくか

ヒトメディア/佐々木達也さん


― 親になるということをあまり重く捉え過ぎなくてもいいのかもしれませんね。そのなかで育児に関わってみて「大変だな」と感じたことは何ですか?


柴田:
夜、眠れないのは辛いですね。生後間もない赤ちゃんは2〜3時間おきに授乳しないといけないんです。起きたらミルクをあげて、寝るまであやしていました。抱っこすれば寝てくれるんだけど、ベッドにおくとまた起きて泣くとか。おかげで夫婦そろって常に寝不足状態でした。

佐々木:
柴田さんのお子さんは0歳で、うちの子は1歳なんですけど、成長とともに泣く声も大きくなっていくんですよね。自分が元気だったらいいのですが、夜中に何回も起きて寝不足になって、体力がなくなってくると大変かもしれませんね。

柴田:
泣き声が近所迷惑じゃないかといった不安もあるから、あんまり泣かせ続けるわけにもいかないですし、やっぱり抱っこしてあやして…と。

佐々木:
やっぱり一番大変なのは奥さんですよね。そういった生活が続くと気が休まらなくなって。休日は少しでも面倒を見れるときは見て、短時間でも奥さんに外出してもらうようにしていたりはします。ちょっとでも気分転換してもらえたらいいなと。

柴田:
自分が子どもを見ている時間、奥さんが寝不足だったら寝てもらっていいし、買い物へ出かけてもらってもいいし。ただ、まだまだできていないことも多くて。イラつかれる、みたいなことありませんか?

佐々木:
あります、あります。

柴田:
ぼく、気づいたら夜とか寝ちゃっているみたいなことが多くて。1回、奥さんから「寝顔ごと踏んづけてやろうかと思った」って言われました。「もしそれで気が済むならどんどん顔を踏んづけてください」と思っています(笑)

佐々木:
あはは!ぼくはまだそこまではないですね。


― やはり夫婦の協力は大事なんですね。


佐々木:
どうしてもお互いにイライラしちゃってあたりが強くなることはあります。そんな時は他に頼れる人がいるといいですよね。うちの場合、奥さんのイライラが溜まってくると、実家のお母さんに電話をかけたりとか。グチを聞いた上で、実家のお母さんが奥さんを諭してくれるので助かってます。

男性の育児参加、会社の理解をどう得ていく?

― 柴田さんはサイボウズで1ヶ月間、育休を取得されたと伺いました。会社のなかでどう理解を得たのでしょう?


サイボウズ/柴田一帆さん

サイボウズ/柴田一帆さん


柴田:
サイボウズでは社長自ら発信している影響は大きいですね。ぼくの場合、すでに社内で風土ができつつあったので、奥さんの妊娠がわかり、安定期に入ったタイミングで「1ヶ月くらい育休を取りたいです」と自然と上司に話ができました。その時もまわりが「どうぞどうぞ」と言ってくれたので、本当にありがたかったですね。

ただ、当時、プロジェクトの立ち上げをリーダーとしてやらせてもらえる時期で。その期間はなるべく「今後の予定」「自分の役割を誰にお願いするのか」は考えながら進めました。育休取得で大事なのは早めに伝えること。「ぼくがいない前提」でも周囲が動けるようにと。

佐々木:
リーダー業務ってどうしていたんですか?

柴田:
サイボウズはグループウェアを商品としている会社なので、基本的にオンライン上でのやりとりがあります。育休中は暇があるときはそこを見て、何かあれば書き込めばいいかなと。心理的負担は少なかったですね。…とはいえ、いざ育休が始まるとがっつり育児や家事をやっていたので、あまり見ていなかったです(笑)


― そう思うと「サイボウズだからできる」というふうにも…。


柴田:
サイボウズでも、基本的に子育てを推奨していますが、特別な措置が用意されているというわけではないんですよね。たとえば、子育ての影響で勤務時間が短くなるとしても、評価の基準になるのは「アウトプット」であり「信頼度」です。評価方法がフラットなんです。子育てをしている人、いない人関係なく「評価は評価」という考え方だと思います。

佐々木:
公平でいいですね。

柴田:
「市場価値で評価する」とよく言っていて。つまり、世に出たとき、どう評価される人材なのか?見ているんです。この考え方はエンジニアと相性がいい。

佐々木:
特にエンジニアはほかの業界に比べて社内外関係なく交流しやすい業界ですもんね。ぼく自身も「会社がなくなったら、もう生きていけない」という風にはなりたくないと思っています。たまにネット上で「退職したら、今までは会社のおかげで仕事できていたんだと感じた」みたいな投稿を目にすることがありますが、そういうのは恐いと思っていて。もちろん、会社にいて「できること」はたくさんあります。でも、会社にいなくても何らかができるカタチにはしたいなと考えていますね。


― そう思うと「企業に所属すること」を自身で選択できているといった見方もできますね。ちなみに佐々木さんは育休の取得は考えなかったんですか?


佐々木:
当時は「子どもができた!」「生まれる!」で頭がいっぱいで、育休について考える余裕がなかったんです。もし次の子どもができたら取りたいですね。

柴田:
じつはぼく、もし可能なら同じ子どもで2回目も取得したいと思っているんですけど…いつ取るのがいいと思いますか?

佐々木:
もしタイミングを選べるのであれば、1歳くらいがいいのかもしれませんね。生まれた直後もかわいいですが、1歳になるといろんな反応が見られたり、意思疎通ができたりしますし。外でも遊べるようになるので、父親の出番がより増えると思います。


― ただ、やはりどの会社でもスムーズに男性が育休をとるのはハードルが高いですよね。制度があっても取りづらい。なぜでしょうか?


佐々木:
どうしても「男性が働いて、女性が家庭に入って」という古い家庭イメージがあるからですかね。それこそサイボウズさんみたいに、社長が最初に取得していたりすると「じゃあぼくも」とやりやすいのかなという印象があります。

「子どもがいる人生」の中で、自分がやりたいこと

サイボウズ/柴田一帆さん


― ここまで子どもが生まれる前、そしてどう会社で理解を得ていくか?と伺ってきました。最後に子どもができたことでわかったこと、発見などあれば教えてください。


佐々木:
子どもを連れていたら、街の人が話しかけてくれるようになりましたね。特におばあちゃんなんですけど、夫婦で子どもをベビーカーに乗せていたら、話しかけてきてくれて、そのまま話し込んでいたりするんです。これまで、地域やコミュニティを意識することはなくて。子どもをハブに、人と人が話すキッカケになるんだなぁと感じました。

柴田:
地域をすごく身近に感じるのはそうですね。スーパーへ行くと、おばあちゃんとかに「かわいいね」「お母さん、大変でしょう」と言ってもらえたり。


― ネットの殺伐とした世界とは違う(笑)


佐々木:
そうですね(笑)あぁリアルにはあったかい世界があったんだと。今まで気づいていなかっただけなんですよね。


― 結婚、育児といったライフイベントを通じて、生き方や人生は変わっていくものだと思っています。今、お2人が感じている「これからの人生でやりたいこと」について伺いたいです。


佐々木:
1つは、子どもに自信を持って説明できる仕事がしたい。もう1つは、子どもに関連する仕事をしたいということですね。

子どもができる前までは、自分にとっての「教育」って大学で終わっているので「あまり関係ない世界かな」と思っていたんです。今では「これから子どもが小学校、中学校…とお世話になっていく世界なんだ」と考えを改めていて。いまちょうど、教育系の仕事に関わっていて、あらためて子どもの今後にも大事なところだし、すこしは子どもが大きくなったときに胸を張って説明できるかなというところかもしれませんね。

柴田:
仕事は、人生の大半を占めるものですよね。少し仰々しい言い方ですが「何をして生きて、何をして過ごしているのか」を子どもに説明できるのはいいなと、ぼくも思っています。

サイボウズでの仕事は、直接的には「子ども」や「教育」には関係ないですが、世界中のチームワークを良くすることを目指している点では、胸を張って説明できるミッションですね。ぼくの場合、子どもはまだ生まれたばかりです。これから成長して、いろいろ教えたり、一緒に遊んだりして、子どもとの時間を過ごせたらいいなというイメージを持っています。


― お話を伺いながら、子育てと仕事でバランスをつけていく、その働き方を自身で選べるようになっていくことも大切なのだと思いました。同世代はもちろん、これから結婚や子育てを考える世代にも参考になるお話だったと思います。本日はありがとうございました!


文 = 白石勝也
編集 = 福岡夏樹


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