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ヤフーの新スペース「LODGE」誕生秘話! エンジニアとデザイナーがタッグを組んだ理由

2016-11-01

ヤフーの新スペース「LODGE」誕生秘話! エンジニアとデザイナーがタッグを組んだ理由

ヤフージャパンが新オフィス移転に伴いコワーキングスペースを開設。このプロジェクトを手掛けたのは植田 裕司さん(エンジニア)と平野彩花さん(デザイナー)のタッグだった。クリエイター自身がコワーキングスペースを作る意義とは?

ヤフーが日本最大級コワーキング「LODGE」をオープン!

2016年11月1日、そうつまり本日オープンしたのが、ヤフーが手がける新たなオープンスペース「LODGE」だ。

日本最大級のコワーキングとして注目を集めており、誰もが自由に無料で使えるというのも驚き(有料化の時期は未定)。「これからの働き方を大きく変えていく」そのヤフーの本気度、決意が伝わってくる取り組みといえるだろう。

まずはヤフー全体でオフィス移転にあたり「目指すべき働き方」についてコンセプトキーワードを作ったのだという。

・ Good Condition(いい環境で働こう)
・ Open Collaboration(外の人と関わって仕事をしよう)
・ Hackable(どんどん改善していこう)

特に「LODGE」は”Open Collaboration”と”Hackable”を色濃く体現する。そしてプロジェクトを牽引した植田裕司さんは「LODGE」のビジョンをこう語る。

ヤフーにあるリソース、いろいろなバックグラウンドを持つ社員たちをタレントとして、どんどん外との接点をつくっていきたいんです。ヤフーにはプロフェッショナルなエンジニアもいれば、元弁護士、シェフ、格闘家、あとユンボを乗りまわしている執行役員もいて(笑)。

わからないことあったらそういった人に話がきける環境があります。これを社外の人に開放していきたい。「こんなことに悩んでいる」を拾ってすぐに助ける。そんな空間にしたいと思っています。

いわば、リアル「Yahoo!知恵袋」。ヤフーの社員と外部の人がフレンドリ―に会話し、新しいコラボレーションが生まれていく。未来の「プロジェクト型労働」を見据えているといえる。

そして「LODGE」立ち上げプロジェクトもまたユニークで、プロジェクト型で進んだ。ユニークなプロセスとして、普段はアプリの開発・マネジメントを担っているエンジニアの植田裕司さんと、アプリのデザインを担当するデザイナーの平野彩花さんのタッグが「LODGE」立ち上げメイン担当としてアサイン。本業と兼務する“社内のサイドプロジェクト”として取り組んだのだ。

植田さんと平野さん

左:植田 裕司さん 右:平野彩花さん

職域をこえて、社内の新プロジェクトに携わった理由とは?そして、その先に見えた新しい風景とは?お二人にお話を伺った。

社内サイドプロジェクト、成功の秘訣

― 今回お二人はコワーキングなどの立ち上げは初挑戦だと伺いました。まずはおふたりが今回のプロジェクトに参加された経緯から教えてください。


植田
副社長執行役員COOである川邊がオフィス移転プロジェクトのオーナーで、その下につく現場の代表としてアサインされたのがきっかけですね。

まずオフィス移転の話があったのですが、ただの引っ越しではなく「ヤフー全体の働き方における意識を変えよう」というコンセプトがありました。だから、実際に働いているエンジニア、そしてデザイナーがプロジェクトに加えよう、と。


― 総務ではなく、現役で働くエンジニアやデザイナーがアサインされるのがユニークですよね。そのなかでもなぜご自身たちだったと思いますか?


平野
私は社内ベンチャーを立ち上げる「スター育成プログラム」に参加したとき、しばらくシェアオフィスを借りて仕事をしていた経験があったからだと思います。このプログラムに参加しているあいだはヤフーの仕事はゼロでいいという制度で。

川邊は、今回のオフィス移転にあたって「千客万来のオフィスにしたい」「コワーキングスペースを作りたい」と言っていたし、私もまわりの人にシェアオフィスで働いた経験をヤフーでも活かしたいと言っていて、ここがうまく合致したんだと思います。

平野彩花さん

植田
私の場合は執務フロアに集中できるスペースを作ったり、働きにくいと思う空間に少し手を入れたり、自発的にやっていて(笑)適任だと思われたんじゃないかと。


― お二人の共通項でいうと?


植田
私も平野もどんな仕事にも全力で取り組む人間というのはあるかもしれません。

平野
やりはじめたら止まらないというか、辛くても歯を食いしばって最後までやりきる。たしかにそのようなメンバーが選ばれたような気がしますね。


― 同時に、おふたりともエンジニアやデザイナーとしての本業と兼務ですよね。どうバランスをとっていたのでしょうか。


植田
オフィス移転までの期間は2年間と比較的長かったんですけど、はじめのうちは、本業は80%、オフィス移転プロジェクトは70%で・・・。


― 計算が合いませんが…?


植田
そう、だから150%のパフォーマンスで働いていて(笑)さすがにこのまま全速力では走りきれないだろうと徐々にいらないこと、やらないことを削ぎ落とし、バランスを調整しながら取り組んでいました。

平野
植田はマネージャーですが、私はプレイヤーなので、比較的調整しやすく、バランスは取りやすかったのかもしれません。

ただ、はじめは20%くらいのリソースでいいと言われていたのが、やり始めたらどんどんのめり込んでしまって…。本業がおろそかになって注意をされたこともあり、自己管理の大切さを、身をもって学びましたね。

トップが「大きな旗」を振る

― 兼務でプロジェクトを進めていく。チームなど周りの理解は得るのは大変ではなかったですか?


植田
もともと会社全体として、「UPDATE 働き方」、つまり働き方をどんどん良くしていこうという意識があって。だから何かをアップデートしようと挑戦している人に水を差すような社風ではないですね。

平野
プロジェクトのオーナーが副社長執行役員COOの川邊だったのも大きいかもしれません。たとえば、フリーアドレスひとつにしても、ふつうは反対の嵐でなかなか進まない。それを川邊が「全部責任を取るから」と言って進めてくれて、そのおかげでスムーズに移行できました。

植田
川邊がプロジェクトの意義をきちんとメッセージにして全従業員に発信してくれたのがよかったんだと思います。

社内外のコラボレーションが実現する、そしてそこから新しい事業やサービスが生まれていく。私自身も、本業で関わるメンバーには新しい働き方を推進するプロジェクトの意義を繰り返し伝えるようにしていました。

たとえば、キッチンスペースにつかう、蛇口も自分で選定したのですが、なぜ、その蛇口ひとつが大事なのか。ぜんぶ「ヤフーでおもしろい事業を生み出すため」なんですよね。

いい蛇口を選ぶことで快適なキッチンができる、そのキッチンで料理をすることで、より素晴らしい空間になる。アプリも作るし、蛇口も選びに行く(笑)当初はあまり理解されなかった、こういった仕事も自分で腹落ちさせることができた。そこから周囲の人にもプロジェクトと、そこに関わる意義をしっかり伝えられるようになりました。

植田 裕司さん


― オフィス移転、そのプロジェクト意義を現場も理解することが大事ということでしょうか?


植田
そうですね。ヤフーもこれまでそうでしたが、オフィス移転ってトップダウンで、社員のほとんどが詳しいことは何も知らないまま、デザインや機能が決まります。そうするといざ引っ越したときに反発や批判が多く出てくるもの。

でも、僕たちがエンジニアやデザイナーたちに、意義を伝えたり、こまめに情報を共有したりしたことで、従業員全体の納得感が高まったんじゃないかと思います。

オンラインでの“ものづくり経験”を活かしたこだわり空間

― プロジェクトを進めるなか、具体的におふたりはどういった役割を担っていたんですか?


植田
私と平野は二人三脚という感じでしたね。平野はけっこうドリーマーなタイプ(笑)彼女が目指したいもの、やりたいことをどんどん提案していって、リアリストな私が実現可能な範囲で意思決定していくというカタチ。

平野はデザイナーなので色合いの指定や家具の選定などにもどんどん関わっていました。

平野
これまでずっと二次元のデザインをやってきて、いきなり空間のデザインということで戸惑いはあったんですが、空間設計のデザイナーの方にいろいろ提案させてもらって、すごくいい経験になりました。

たとえば、最初のデザインだと天井が真っ白で、あまりにも寂しい感じがしたので、色を塗ろうと。そのとき、どんな色をどんな割合で入れるかを決めさせてもらいました。

平野さん

植田
ただ、まだ完成形ではありません。いまも夜な夜な家具を動かしています(笑)アプリやプロダクトを作るときってトライアル&エラーの連続じゃないですか。空間のデザインや設計に関してもユーザーニーズを取り入れながらどんどん改善していきたい。コンセプトキーワードも「ハッカブル」ですし、なるべく自由に家具などが動かせるのはそのためですね。

平野
家具はなるべく動かせるように、というのも私たちからお願いしたんです。Web業界ってトライアル&エラーこそが真髄ですよね。Webだったらボタンひとつで直せるのに、リアルだと角度を少し変えるだけでもものすごいお金と時間がかかる。それがすごく嫌で。

床板がここまでむき出しになるのは想定外だったんですが、つねに未完成であるということを思い出せるのでいいんじゃないかなと。

どこでも働ける時代。だからこそ考える「会社に行く意義」

― ご自身の職種の枠を超えて、オフィス移転プロジェクトに参加されてどうでしたか?


植田
社外の人と関わりながら仕事ができる、ここが本当に楽しかったです。私はふだんアプリの開発やそのマネジメントをやっているのですが、会社の外に出る必要がないんですよね。

業界の枠を飛び越え、情報交換ができました。自分が持つアプリ開発の勝ちパターンに、他の分野における勝ちパターンをクロスさせる。そこに発見が多くありました。

あとは他の会社に見学に伺うたび「この壁はあの材質だ」とか「天井抜くのにいくらかかったんだろう……」とか考えるようになりました(笑)

平野
「いい椅子使ってるな」なんて思っちゃうようになりますよね(笑)私もデザイナーという職業柄、とても楽しい仕事でした。空間や家具のデザインにはもともと興味があったので。

あとはまったく新しいことに挑戦できたことがなによりうれしかったです。チャレンジングなプロジェクトに参加できる喜びがあるというか。企業のオフィスのなかに、社外の人が自由に入れるコワーキングスペースがあるなんて前代未聞ですよね。前例がないから参考にできるデータや運用方法もない。それこそ「Hackable」に改善しながらやっていく。新しいスタートですし、今もわくわくしています。


― 最後に、今回のプロジェクトを通じて、ご自身のなかで起こった変化などあれば教えてください。


植田
私はもともと人と話すことが苦手なエンジニアだったんです。でも、今回のプロジェクトを通して、あぁ人と話すのってこんなに楽しいんだなと。さっきの勝ちパターンをクロスさせる話もそうですが、人と関わることで新しいものを生み出せる、だったら積極的に関わっていこう。そう思えたのは大きな変化でした。

植田 裕司さん

平野
私は職種や会社にとらわれない働き方が増えていく、その感触を身近に感じられるようになりました。誰もがフリーランスのような感覚で働き、必要なときに必要な人がアサインされる。だからこそ、自分の特技や個性をきちんと把握して磨いていく時代になるんだろうな、と。

会社にしても、物理的に行かなくても働ける世の中になっていますよね。 イヤホンして作業するならスタバだっていい。だからこそ「会社に行く意義」をもっと考えていく必要があるし、その価値を高くしてきたい。その役割を「LODGE」が担っていけたらいいですね。より人と人が有機的に関わるミーティングやイベントをどんどん開いていきたいです。

植田
ひとりで集中したいから家で仕事をするっていうのは正しいと思うんです。それこそVRが発達して、遠隔でもリアルなコミュニケーションができるようになったら「会社に行かない働き方」をする人も出てくるでしょうし。

ヤフーは「どこでもオフィス」という制度があり、社外で働くこともできますが、会社に行って人と話すからこそ、新しいアイデアが生まれたりイノベーションが起こったりが絶対にあると思います。

平野
人と会う意義ってそのまま「会社に行く意義」にもつながりますよね。人と会って働くコワーキングスペースが「会社の意義」を明確化できる場所になるかもしれません。だからこそ、個人としても「人とあったときに自分に何ができるのか」ここが問われてくるのかもしれません。


― そういった機会になったり、キャリアの可能性が広がったり、LODGEが起点になっていくと思うとワクワクしますね。


植田
そうですね。なので、いらっしゃる方はぜひLODGEでどんなことを実現したいか、一緒に考えていってほしいです。やりたいことがあったらどんどん教えてほしい。「それはできない」って言いたくないので、できるかぎりなんとかします(笑)

平野
本当にそう!「”できない”がない」って言いたい。何かに挑戦したいと思っている人にはどんどん使ってほしいです!


― 人と会うことの意義、ひいては「会社に行く意義」を再発見できる場となり、どんなモノが生まれていくのか、すごく楽しみです!本日はありがとうございました!


(おわり)



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