2018.06.12
ZOZO 田端信太郎 7つの提言「批判に屈するな! 」

ZOZO 田端信太郎 7つの提言「批判に屈するな! 」

「全裸になるようなもんですよ」カッと目を見開き、熱く語ってくれた田端信太郎さん。深夜に一人語りのラジオを収録したり、ツイッターでアイドル愛を語ったり。「僕だって恥ずかしくなることはある」という。ただ、何事もやってみて持論を述べるのが田端流。炎上しようが、叩かれようが、恥を捨て、発信あるのみ!

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精神的な全裸になれ

スマホでラジオを収録するって すごく恥ずかしいんですよー田端さん

「自ら体験し、発信する側になってみるべき。恥をかきたくないとか、バカにされたくないとか言ってる場合じゃないんですよ。変なプライドはすぐ捨てたほうがいい」

こう語ってくれたのが田端信太郎さん。LINEの上級執行役員から株式会社スタートトゥデイのコミュニケーション室 室長へ。さらに7月には自身の著書『ブランド人になれ!』の発売を予定。独自のキャリアを切り開くスーパーサラリーマンといっていい。

SNSによって「個」の影響力が増していく時代。特にマーケティングや企画に携わったり、メディアやコンテンツに携わる人たちへのアドバイスとはー。

「受け身のスタンスで情報を後追いするだけの人は淘汰されると思います。特に年配の方に多いのですが、ポケモンGOが登場してすぐの頃、“どうマーケティングに使えますか?”とよく質問されて。そもそもやってます?と聞いたら、ほとんどやっていない。まずは自分でやってみろよ!って心のなかでツッコミましたね」

例えば、ネットでラジオ配信できる『Voicy』も田端さんにとっては実験だ。下ネタからアイドル論、経営論まで、炎上ギリギリのネタも多い。ノリノリでやっている…と思いきやそうでもないようだ。

「ラジオって収録する側はすごく恥ずかしいんですよ。おっさんが一人でスマホに向かって語る。下ネタも言う。完全に痛いでしょ。お酒でも飲みながらじゃないとやってられないですよ。さあ、全裸になれって言われているのに近い感覚。奥さんや子どもに聞かせるわけにもいかないですし。でも、やってみる価値はありますよね」

精神的な全裸になるーーそこから得られるものとは。

「やってみて感じたのは、深く狭く届くということ。音声だからピンポイントなシェアができないので、条件反射のリツイートもない。つまり炎上しづらいということ。わざわざじっくりと聞いて、ツッコミどころを探す人は…もうファンですよね(笑)大衆の心理を知る、ファンをつくる、情報を届ける、いい実験になっています」

「巨乳」か「爆乳」か

ユーザーの観察 炎上のメカニズムを探っていくー田端さん

歯に衣着せぬ発言をツイッターで連発する田端さん。炎上芸と揶揄されることもあるが、気にしている様子はまるでない。彼にとってのツイッターとは?

「ツイッターは野球選手でいうキャッチボールみたいな感じなんですよね。言葉のウォーミングアップ。どんな言葉を使うと、どんな反応があるのか、観察しています」

言い換えるなら、ユーザー調査のためのマーケティングツール。

「自分の発言が正しく理解されることもあれば、意図せずたくさんの人に広まることもある。この2つは常にトレードオフ。ツイートの広がり方を注意深く見ていくイメージです」

いかに情報やコンテンツを多くの人たちに届けていくか、そこには探究心や好奇心もあるようだ。

「例えば、胸が大きな女性について書く時、巨乳と書くか、爆乳と書くか。もし広告クリエイティブだったら、どちらが機能するか…たぶん爆乳なんですよね。と、それ以前に“女性に対して失礼じゃないですか?”といった意見がくるかもしれない。そういった反応を想定しながら、実際に投稿をしてみる。議論を巻き起こせるかどうか。ただ、とにかくバズればいいというのは危険な考え。リスクや炎上が起こるメカニズムを探っていく視点は欠かせないと思います」

評価が定まっていないものに張れ

今からFacebookやAmazon Googleに入るのはダサいー田端さん

怒りや反感を買う。それは田端さんが議論のきっかけとなるような発言をすることにも要因があるのかもしれない。

「逆張りをしたほうが、議論になりますよね」

キャリアの選択、その持論にも貫かれている。

「あえていいますが、僕からすると、今からFacebookやAmazon、Googleに入社するのはダサい。もう既に“すごい会社”って評価は決まっているじゃないですか。これからどうなっていくのか、まわりには予想がつかない方を選ぶ。その方が僕はカッコいいと思うんですよ」

こういった話をするとよく「どの会社に行くべきですか?」といった質問も寄せられるそうだ。ただ、そこにも落とし穴が。

「突き放した回答ですが、人に聞いている時点でダメですよね。転職して成功するか。副業すべきか。起業すべきか。人に聞くとか終わってます。やる人は、もうやってるよって。記事とか本と読んでウジウジと考えていないで、土日とか、夜とか使って、さっさとやればいいだけですよね」

ドヤ顔できるポジションを狙え

みんなが知らないことを知っている それでドヤ顔がしたいー田端さん

今は少数派であっても、未来の多数派を狙っていく。それも誰にも相談せず、自分なりの軸で決めて行動する。これが田端さんの行動原理といってもいいだろう。

その考え方の根底にあるものとは。

「みんなが知らないことを知っている。やらないことをやってドヤ顔をしたい。子どもみたいなところがあるんでしょうね」

ちなみに小学生の頃、よく先生からの「この問題わかる人?」に手をあげていたという田端さん。その頃から自身の“見せ方”に戦略的だったようだ。

「簡単な問題にすぐ手をあげちゃう同級生がいて。それだとダメなんですよ」

田端さん

クラスの誰も手をあげない難しい問題を狙う。これが田端少年の作戦だ。








田端さん挙手

教室が静まり返ったタイミングで....











「はい!」と、手をあげる。

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「華麗に正解して、よくドヤっていましたね(笑)」


気になった本は買いまくれ

気になった本は買いまくれー田端さん

同時に、ドヤ顔しつづけるのもラクではない。人よりもインプットと思考を繰り返し、そのポジションを確固たるものにする必要はある。田端さんなりのインプット術についても伺えた。

「アイデアを披露したり、プレゼンしたりするのが僕の仕事です。なので、インプットは、寿司屋が魚を仕入れたり、DJが新しい曲をチェックするようなもの。ほとんど意識せずに日々仕入れているかもしれません」

例えば、本の買い方にしても、“吟味する”ということはほとんどない。

「少しでも興味があれば、とりあえずノールックで買っておく。積んでおく。ケチってもしょうがないですよね。本を買い過ぎて破産した人って今まで会ったことないですし。とにかく買いまくって、読みまくれとしか言えないですね」

買ったら読まなければいけない…それも先入観だと指摘する。

「必要に迫られて読むでもいいし、目次だけ流すでもいい。サッと読んで頭の中にインデックスを作りあげておけば、いつか読むべき本は読むと思うんですよね」

古典を読め

人間の本質はだいたい古典に書かれているー田端さん

本の読み方、そのついでに聞けたのが、田端さんが「古典」と呼ばれるような物語、歴史モノ好きであるということ。なぜ、あえて「古いもの」をインプットするのだろう。

「原理原則を知る上で、古典であったり、名著であったり、本質についてはだいたいそこに書かれているんですよね。ヘンに脚色されていない古いもののほうが、汎用性が高い。現代を生きる人たち、自分の仕事への活かし方にも気づくことが多い気がします」

食欲、性欲、承認欲求、自己顕示欲…人間の「欲」について、過去とそれほどの差はないと語ってくれた田端さん。重版され、読みつがれている古典ほど、純度が高く、インプットに向いているのかもしれない。

無意味な飲み会には行くな

結局、世の中に生きた証、爪痕を残したいー田端さん

もうひとつ、スマホでの常時接続が前提になり、コンテンツとの接触時間が爆発的に増えていく時代。「いくら時間があっても足りない」と感じることも少なくない。どんどん貴重になっていく「時間」をどう使っていくべきか。何に投資すべきか。

「会社員の方々向けにお伝えすると、まず行きたくない職場の飲み会はすぐに断るべきですよね。話がしたいならランチだって、立ち話だってなんだっていいんだから。特に上司が部下を無理やり飲み会に誘うのは最悪ですよ。だって断りづらいじゃないですか。上下関係の力学が必ず働いてしまう。酒の席で説教されたくないし」

休日の過ごし方、ここにも田端さんなりのルールがある。

「休日にゴルフは絶対行かない。誘われることもあるのですが、それをやっていたら家庭が崩壊します」

ただ、接点をつくったり、自身を売り込んだり、いわゆる広義での“営業活動”は重要なものだ。田端さんにとって、ツイッターこそが営業活動の代わりだという。

「営業活動はツイッターでやっているイメージですよね。自分の名前が売れるし、考えを知ってもらえる。公私混同でやっているので、当然、会社に迷惑かける時もあります。ただ、まわりまわって会社にプラスになる時もありますから」

持論を展開し、自分を貫くことで、炎上をしたり、叩かれたり。短期的に見ればダメージかもしれないが、長期的にはプラスになっていく。彼の仕事哲学、その源流を垣間見た気がする。

「仕事は、自分がいなかったら起こらなかったであろう、違いを生み出すためにやるものですよね。自分以外の誰かがやっていることは、やらなくていいわけで。結局、世の中に生きた証、爪痕を残したいんだと思います」

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photo by Kohei Otsuka


文 = 白石勝也
編集 = まっさん


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