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フリーランサーたちの“ギルド”が、会社組織を代替する!?―ランサーズ 秋好陽介氏のビジョン

2013-04-30

フリーランサーたちの“ギルド”が、会社組織を代替する!?―ランサーズ 秋好陽介氏のビジョン

フリーランスとして自由を得ることと、社会との繋がりを持つことは、トレードオフの関係にある――ともすると私たちはそんなふうに考えがちだ。だが、現実はそうではない。クラウドソーシングサービス『Lancers』での実例を踏まえて、新しいワークスタイルの可能性を深堀りしていく。

▼インタビュー第1回
クラウドソーシングの第一人者、ランサーズ 秋好陽介氏に訊く―「人生の選択肢を増やす、新しい働き方」  から読む

▼インタビュー第2回
「会社の肩書に頼らずに生きていくためのメソッド」―ランサーズ 秋好陽介氏に学ぶ  から読む

オンライン上でのチームワークが増えていく。

― 新しいワークスタイルが定着していくと、ITやWEBといった業界そのものの在り方は、どのように変わっていくのでしょうか。


業界そのものにイノベーションが起こるとか、すごいビジネスが生まれるとか、そういう直接的な変化は無いと思いますが、働く側には大きな変化がありますよね。

まず、エンジニアやクリエイターとして、仕事に従事する人の数が増える。ICTによって場所と時間を選ばずに仕事ができるようになるわけですから、たとえば子育てのために一線を退いた主婦の方が現場に復帰する、なんていうことがどんどん増えていきます。

また、オンライン上で仕事のやり取りが完結できることによって、フリーランサー同士がオンライン上でチームを組む、といったことも増えるんじゃないかと思っています。

これは結構重要な変化なんじゃないかと思っていまして、たとえばプロジェクトには、一人のエンジニアなりクリエイターなりが自己完結できない種類のものも出てくるわけですよ。



それが、オンライン上でのチーム編成が気軽に行なわれるようになれば、プロジェクト発注の自由度も高くなりますし、プロジェクトに従事できる人の数も増えます。

ランサーズでも実際に、そういう仕事の受け方が徐々に生まれ始めているんです。デザイナーがまず一人で受注をして、カメラマンに声をかけて…といったような。


― そうなってくると、企業側としては、デザインは誰で、エンジニアは誰で…といったふうに個別にアサインしなくてもよくなりますから、楽ですよね。


それに、会社に所属している状態では組むことの無かった人同士がチームを組むということが起こりやすくなるわけで、そういう意味では、従来では生まれえなかった仕事が生み出される、ということはあるかもしれません。

価格破壊ではなく、市場創造が起こっている。

― 仕事を出す側についてはどうですか?なにか変化はあるでしょうか。


クラウドソーシングサービスが広がったことによって、中小企業とか、個人商店といった、これまでになかった依頼主が増えていますね。これも大きな変化だと思います。

たとえば、最近よく事例として挙げさせてもらっているのが、浅草にあるたい焼き屋さんです。このたい焼き屋さんは、お店のロゴ制作依頼から始まって、最終的にはたい焼きを焼く金型の立体デザインまでオーダーされたんです。


― 金型って、生地を流し込んで焼く、あれですよね?


そうです、あれです(笑)ランサーズには工業デザインを手がけるクリエイターもいるので、立体デザインのオーダーもいけます。



そのお店のオーナーは、浅草でしか食べられない個性的なたい焼き商品を作りたいと考えていて、それを具現化できるデザイナーを探していたんですね。

で、ネットでたまたまランサーズを見つけて、オーダーしたと。金額の手頃さもそうですし、コンペ形式によってさまざまな提案を受けられ、複数デザイン案の中から選べたことが、発注の決め手になったそうです。

結局、ロゴの出来が良かったので、次はキャラクターのデザインを、次は金型デザインをと、どんどん依頼の幅が広がっていったんですね。今そのお店は、忍者の格好をした“忍者たい焼き”や、ネクタイのカタチをした“ネクタイ焼き”などが売れ行き好調で、人気店となっています。


― 次々に発注があったということは、もともとデザインオーダーしたいというニーズがあったわけですね。


まさにそこなんです。規模の小さい企業の多くは、依頼したいがどこに依頼をすればいいのか分からない、とか、金額の折り合いがつかない、といったことで発注を断念しているケースが少なくないんです。制作会社に依頼をすれば、どうしても値段が高くついてしまいますしね。

クラウドソーシングサービスのせいで価格破壊が起こった、というようなことを言われることもありますが、今まで埋もれていた潜在的なニーズが掘り起こされている、というケースがかなり多くあるんです。


― クラウドソーシングという新しい働き方が、新たな市場を創出し、潜在的なニーズを掘り起こしていると。


はい。先ほどのたい焼き屋さんのように、大規模な資金を持たない小さなお店でも優れた商品を作れるようになり、ビジネス的な成功を収めるといったケースも、今後どんどん増えていくんじゃないでしょうか。

社会とのつながりを強くする。

それって、フリーランスで働く人にとっても新たなやりがいというか、社会に対しての価値提示になっていると感じるんですよね。

WEBによって新しい働き方が広がるということは、単に働く側の自己実現が叶う、というようなことだけではなくて、市場に、世の中に、価値を広げていくと。そういうことに繋がっていくのだと思います。



― 確かに、従来の“外注”の仕事というのは普通は下請けですし、会社に所属していてもクライアントとの直請け仕事ができる環境ばかりではないですからね。


非常に逆説的なんですが、組織に所属しない働き方を選んだことで、社会とのつながりを強く実感できるようになる。そんなケースも増えると思います。

我々プラットフォーム側も、フリーランスの方々が互いに寄り合えるような場所を提供したいと考えているんです。昔でいうところの“ギルド”、つまり職業組合みたいな感じでしょうか。より多くの方がフリーランスとして安心して働ける環境を用意したいですね。そのために、さまざまな角度から支援できるサービスを構想しています。

過去、派遣やアルバイトといった働き方が市民権を得たように、クラウドソーシングというサービスを通して新しい働き方が広がっていき、一つのジャンルとして語られるようになったらいいな、そうしたいなと思っています。

当面は、2016年までに1万人のフリーランサーが、我々ランサーズでの仕事だけで生活できるようになる、というのが目標です。


― 手に職を持った人が、本当の意味で“一人で食っていく”ことができる。そんな社会の実現は、我々にとっても非常に楽しみです。ランサーズさんの取り組みに、今後も注目ですね。本日は、ありがとうございました!



(おわり)



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