2013.07.26
優秀なエンジニアほど表には出てこない―VASILY 今村雅幸氏が語るエンジニアの理想像。

優秀なエンジニアほど表には出てこない―VASILY 今村雅幸氏が語るエンジニアの理想像。

企業の技術部門の責任者でもあるCTOが考える「優秀なエンジニア」とはどういうものなのか?「優秀なエンジニアの95%は無名」と語るのは、iQONで注目を集めるVASILY今村雅幸氏。CTOが考える理想のエンジニア像に迫る。

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▼VASILY CTO・今村雅幸氏へのインタビュー第1弾
プロダクトの成長なくして、CTOの存在価値はない―VASILY今村雅幸氏のCTO論。

CTOの考える優秀なエンジニアとは?

ファッションアプリ「iQON」で急成長中のスタートアップVASILY。今回インタビューしたのはCTOを務める今村雅幸氏。CTOの役割について伺った前編に続き、話題は、「CTOの考える理想のエンジニアとは?」というテーマに移っていく。

エンジニアの採用にも大きく関わるCTOは、優秀なエンジニアをどのように定義しているのだろうか?

コードを書く“作業”をする人間を、エンジニアとは呼びたくない

― この半年間で、VASILYのエンジニアの数は倍になったそうですね。


そうですね、現在は8名体制で、これからも増員していく予定です。


― 今村さんはCTOとして、採用にも大きく関わっているかと思います。そもそも今村さんは、理想的なエンジニアの姿をどう定義していますか?


自分の書いたコードで世界を変える、社会をより良くしていく人でしょうか。どんなに綺麗なコードを素早くかけて、知識が豊富なエンジニアでも、世の中に何も還していないのだとしたら、その人には存在価値はないと思います。社会に役立ってこそプロであり、優秀なエンジニアと呼べるのではないかと。



エンジニアはアウトプットが全てです。コードを書き、プロダクトを作ることができるからこそ、何を考え、どんなものを作り、それがどう世の中に影響を及ぼしたのか。そこまでいかなくても、どんな人の生活を便利に、豊かにしたのか、というところが大事。何も考えないでコードを書くのはただの作業者です。

仕事でも、オーダーに対して80%で返す人もいれば100%の人もいます。中には、「こんな機能も必要だと思ってつけときました」と、120%で返す人もいる。こうした小さなアウトプットの積み重ねが、エンジニアとしての大きな差につながると思います。

大きな野心と、それに見合う技術力があるか?

― VASILYはかなり厳選した採用を行なっているそうですが、入社しているエンジニアに共通項はありますか?


野心的であること。みんな、世の中を変えたいと思っていますよね。その一つの手段がエンジニアリング、という考え方です。そんな人間でもないと、エンジニアが引く手数多な状況で、うちみたいな会社にわざわざ来ないですよ(笑)



僕が言うのも何ですが、どこに出しても恥ずかしくない、意識が高く、それに見合った技術を持ち合わせたエンジニアだと思います。


― いわゆる“意識高い系”とは違うわけですよね?その見分け方は?


その高い意識を、行動に移しているかどうかが大きな差です。実際に動いたということは、何かしらのハードルを幾つか越えて、自ら学んできたということ。そういう人は経験の多い少ないに関わらずエンジニアとしての素養があると思うし、適切なサポートがあればもっともっと伸びることのできる人だと思います。

優秀なエンジニアの95%は無名だ

それから最近感じているのは、優秀な人はなかなか表に出てこないということ。なぜなら、彼らはいま自分のやっている仕事が好きで、それに集中しているからです。そういう人こそが会社やプロダクトを支えているのだと思うし、そこは見間違えてはいけないな、と思います。

個人として名前は知られていないけど、企業の中でインフラを作っていた人やミドルウェアを作っていた人など、めちゃくちゃ優秀な人がいますからね。優秀といえるエンジニアの95%は、プロダクト作りに時間を割きたがる為、自らをアピールするような時間を使うことに興味がないような人たちなんじゃないでしょうか。



― ブログでの情報発信を推奨する風潮のようなものもありますよね。


ありますね。有名なブロガーであることが、優秀であることとイコールになるかというと、必ずしもそうではないんじゃないかなと思います。確かに、ブログを通じて有名になる可能性はありますけどね。でも僕は個人の知名度より、「じゃあ、何をやって世の中を変えたの?」という部分のほうがよっぽど気になります。

もちろんブログを書くこと自体が悪いわけではない。自分の価値を高めて外に示せるし、転職の際には有利に働くかもしれません。

でも、いまいる職場できちんと考え、本気で仕事をしていれば、その熱量やいい噂が必ず周りに伝わっていくと思います。伝わらないならばまだ力が足りてないか、自分自身がサボっているだけ。ブログのタイトルで悩むより、新たなコードを一行書いてプロダクトをつくるほうがエンジニアとしての成長につながると思いますよ。


― 貴重なお話、ありがとうございました!今後もいろんなCTOの方に話を伺っていきたいと思います。


(おわり)

[取材]上田恭平 [文]松尾彰大


編集 = 松尾彰大


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