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サイボウズはなぜ、“社員が会社を辞めやすい”人事制度を作ったのか?

2013-10-03

サイボウズはなぜ、“社員が会社を辞めやすい”人事制度を作ったのか?

離職率を劇的に低下させたサイボウズが新たに整えた制度は、なんと「社員が会社を辞めやすい」制度だった。「育自分休暇」という制度が生まれる背景とは一体何なのか?その活用のされ方やサイボウズが目指す組織の理想形に迫った。

▼サイボウズ社長・青野氏へのインタビュー第1弾
サイボウズ青野社長に聞く、離職率を28%から4%に下げる方法。

退職後、6年間復帰可能な制度

様々な人事制度を整えることで、社員個人個人の求めるワークスタイルを実現し、一時は28%まで高まった離職率を4%まで低下させたサイボウズ。

しかしサイボウズは昨年、一風変わった「育自分休暇」という制度を整えている。35歳以下のエンジニアやスタッフを対象とした、転職や留学など、環境を変えて自分を成長させるために利用できる制度で、利用者には「再入社パスポート」が交付され、退職後6年間は復帰が可能というものだ。

「人事制度は常に変わっていくもの」と語るのはサイボウズの人事制度改革を推進してきた青野慶久社長。

離職率の大幅な改善に成功したサイボウズはなぜ「育自分休暇」という一見、退職を促進する制度を作ったのだろうか?その背景と活用のされ方、そしてサイボウズが目指すという多様性を受け入れる組織づくりについて、青野氏に伺った。

「辞めやすい人事制度」があってもいい

― 昨年、「育自分休暇」という一風変わった制度を作られたそうですね。


ある新卒の若手社員とランチを食べながら話をしている際、彼はこう言ったんです。

「僕はサイボウズが大好きだし、この環境で成長できているけど、他の会社も見てみたいと思ってるんですよね…」と。

その気持ち、わからなくもないと思ったんです。私も転職を経験した身ですし、新卒で入った会社にずっと居続けるのが当たり前の時代ではないですよね。

彼のような気持ちを持った社員に、どんな制度を整えられるかを考えた結果、できたのが「育自分休暇」になります。

その名の通り、自分を育てるためにサイボウズを一度離れる制度。この制度を作った“副作用”なのか、一度サイボウズを退職したエンジニアやスタッフが6人も戻ってきてくれました(笑)



― 制度はどんなカタチで利用されているのでしょうか?


まだ1年程度の運用ですが様々な使い方をされています。この夏に育自分休暇を利用して退職した女性社員は青年海外協力隊に参加し、2年間ボツワナに単身赴任するそうです。

このような活動にチャレンジしやすくなるようにできたのも、育自分休暇制度を整えた一つの功績かもしれません。

ちょっと変な技術者やスタッフが集まる組織ほど面白い

― それはすごい!しかし、社員個人としてはいいコトずくめに感じますが、会社側の狙いはどこにあるのでしょうか?


例えば、彼女が戻ってきてくれる時には間違いなく既存の社員が持ち合わせていない経験と感覚を身につけているはず。そうした人材をチームの一員にできると必ず組織は強くなります。


― 「多様性のある組織」という話にもつながりそうですね。


以前CAREER HACKで多様性のある組織としてGoogleが取り上げられていましたが、サイボウズもまさに同じ考え。ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(受容性)を備えた組織を目指しています。


※編集部注
―“多様性”は組織に何をもたらすか?Googleが描く、ダイバーシティを実現する方法。


― では、サイボウズはなぜ、多様性のある組織を目指すのでしょうか?


私は以前、社員が2万人もいるメーカーに勤めていたのですが、当時は中途採用者がほとんどいない、新卒で入社した人が定年まで勤め上げるという、いわゆる“日本的な”企業でした。

そこで社員はどんな働き方をしているかというとほとんど皆、同じ人生を歩むんですね。入社と同時に社員寮に入り、20代後半から30代前半には結婚して社宅住まいに。40代で課長になると、子どもが大きくなりマイホームを購入する。というような。

そんな、皆が同じ価値観、労働観で埋め尽くされた環境でイノベーティブなモノづくりができる感覚が全く沸かなかったんです。

この見解は僕の価値観によるものですが、ちょっと変な技術者やスタッフが集まる組織ほど面白い、素晴らしいモノが生まれるんじゃないかと思うんです。


サイボウズには毎日着物で出社するエンジニアもいる(中央)


当然ですが、元々どんな人でも全く異なる人間。価値観も違うし、その時々によって最高のパフォーマンスを発揮する働き方も違ってくる。にも関わらず、すべての社員を会社の都合で同じルールに縛り付けておく事自体、おかしな話です。

サイボウズはチームワークをテーマにした会社。自社サービスを世界一のグループウェアにしていくためにも、自分たち自身が多様な人を受容し、最高のチームワークを発揮できるような環境をこれからも整えていきたいと思っています。


― 組織で働くエンジニアやスタッフの方にも非常に参考になるお話だったと思います。ありがとうございました!

(おわり)

[取材・文] 松尾彰大 [撮影] 梁取義宣



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