2013.10.07
エンジニアと、椅子。―GMOインターネットに見る、エンジニアが活躍する環境の作り方。

エンジニアと、椅子。―GMOインターネットに見る、エンジニアが活躍する環境の作り方。

ユニークなエンジニア支援制度を運用するGMOインターネット。全社の福利厚生を拡充させつつ、エンジニアとクリエイター専用の制度を設けている。「エンジニアが自社の宝である以上、彼らが優遇されるのは当然」と語る広報の細田さん。制度の使い勝手はどうなのか、エンジニアに聞いてみた。

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GMOインターネットが整備する、ユニークなエンジニア支援制度。

『GMOすごいエンジニア支援制度』と銘打って、エンジニア支援に尽力するGMOインターネット株式会社。エンジニアとクリエイターを第一に考え、多くの独自制度を設計・運用している。

研究・開発環境として自社サービスを無料で提供する『サバろうぜ!』。勉強会やセミナー参加などの学びたい気持ちを支援する『セミろうぜ!』。快適な椅子・デザイン性に優れた椅子の提供による開発環境支援『椅子ろうぜ!』。技術関連書籍やガジェットの購入、合宿費用を補助する『学ぼうぜ!』。

エンジニアの満足度と技術力向上を目的とした、非常に(ネーミングからして)ユニークな制度が名を連ねる。

支援制度の影響だけが理由ではないが、直近でエンジニアの入社1年以内の定着率は100%。

中でも目を惹いた『椅子ろうぜ!』の導入実績と効果・効能を皮切りに、エンジニアが活躍する制度と環境づくりの極意に迫る。



椅子を選べるという制度は、なぜ生まれたのか。

― 『椅子ろうぜ!』という制度がありますね。最初は何かの冗談かと思ったのですが、実はとても本気で。エンジニアからも好評と聞きましたが、制度をつくった背景から教えて下さい。


GMOインターネット株式会社 グループ広報・IR部 マネージャー 細田 暁貴さん


細田:
『椅子ろうぜ!』は、数あるエンジニア支援制度のひとつなんです。『GMOすごいエンジニア支援制度』という、エンジニアとクリエイター向けの制度を設計していまして、まずは制度全体の導入背景からお話します。

創業の精神として掲げる「スピリットベンチャー宣言」の中で『"一番"であり続ける為に、「エンジニア」と「クリエイター」が自然と集まり、互いに切磋琢磨できるような、仕組み・環境を整備しよう。』や『「エンジニア」「クリエイター」はグループの宝。新しい価値を創造し、育てることができる仲間たちを尊敬しよう。』と謳っていることに起因します。

当社の事業が成り立っているのは、当たり前ですが、エンジニア・クリエイターの皆さんがモノをつくってくれているからです。それがなければ、私たち広報は宣伝するモノがありませんし、営業にしても売るモノがありません。モノを生み出しているエンジニア・クリエイターさんこそが、当社の財産であり、宝なのです。


― エンジニアが一番大切な存在である、と。


細田:
はい。もちろん、非エンジニアのスタッフが大切ではない、というわけではありません。『GMOすごいエンジニア支援制度』を設計する前に、全スタッフを対象とする福利厚生の拡充を図りました。制度や施設を整えて、次はエンジニア・クリエイター向けの制度をきちんと整備しよう、と。


― なるほど。食事などが無料のコミュニケーションスペース(GMO Yours)や託児所(キッズルーム GMO Bears)もオープンなさいましたよね。全スタッフを対象とした環境を整えつつ、エンジニア特化の制度を。で、椅子の話になるわけですが。



細田:
『椅子ろうぜ!』は3番目のエンジニア支援制度です。各制度は、企画段階で現場の意見を拾い上げるようにしています。今回の制度も、エンジニアさんの要望のひとつとして、「身体の負担を軽減したい」とう声がきっかけです。

福利厚生の大幅拡充として、マッサージスペースの設置は導入済み。新たな、より日常的なフィジカル対策として、『椅子ろうぜ!』を企画したわけです。


― 椅子は選択式とのことですが、選択肢はどのように決めたのでしょうか。


細田:
まったくフリーで、好きなものを選んでくださいとなると、仕入れの問題が発生しますので、複数の候補を準備しました。

まずはエンジニアさんに興味がある・使いやすいという椅子の候補をヒアリング。そこに専門家からのアドバイスを加えて約15種類の椅子を検討しました。そのうち約10種類の椅子を実際に用意して、試座会を行い、評価の高かった椅子5種類を選定しました。

現在、その5種類の座り心地を確かめてもらって、自分が座る椅子を決めてもらっています。入社時に必ず新しい椅子に座れるのは、エンジニア・クリエイターさんにとって嬉しいことなのではないでしょうか。


― 選択できる5種類ですが、非常にバリエーションに富んでますね。5種類で、かつカラーバリエーションが63色も。


エンジニアに聞く、『椅子ろうぜ!』の効果。

システム本部 サービス開発部 システムインテグレーションチーム 郷古(ゴウコ)さん/左 ・ 宮元(ミヤモト)さん/右


― エンジニアのお二人に伺います。椅子が選べて良かったですか(笑)


宮元:
僕の場合は、健康という面で効果を実感しています。やはりサービスのリリースが近づくと、長時間労働になりまして…。とにかく、椅子に座っている時間が長いんです。

以前の椅子も悪いものではなかったのですが、長時間座っていると、硬い部分がおしりに当たったりして、頻繁に座り直すとか、体制を変えることがありました。

今の椅子になってからは、そういう行為がなくなった分、集中力が持続していると思います。


― 椅子のおかげで生産性が上がったと。


郷古:
席を立つ回数は圧倒的に減りましたね。座り直しが減った分、作業の流れを止めないで済むようになった。

あとは、コミュニケーションが取りやすくなったのも利点ですね。自分のチームは、ふたつの島に分かれていて、普段は背中合わせで仕事をしているんです。

以前だと、ちょっとした会話をするにも振り向いてというのが難しく、別の場所に移動することがしばしばありました。

今ではお互いが椅子に座ったまま、くるっと振り返るだけでチームミーティングができてしまう。


宮元:
ちょっとした会話が生まれるようになりましたよね。あとは、チーム内の詳しい先輩に気軽に質問できるようになった。椅子がすべてじゃないですけど、コミュニケーションが生まれやすい環境になったのは事実です。

心理的な効果も高いエンジニア支援制度。

― 『椅子ろうぜ!』によって、数値的じゃないにしろ、コミュニケーションの増加による生産性の向上はわかりました。あと、気持ち的な部分では何か変化がありましたか。



郷古:
個人的にも組織的にも、効果があると思います。まず、好きな色を選べるのがいいですよね。僕はOkumuraの緑のやつを選んだんですが、フロア全体でいろんなタイプやカラーがあるので、自由な社風や雰囲気を目で感じられる。


細田:
変わったタイプの椅子を選んだ人もいて、バランスチェアなんですけど、以前の椅子ではヘンな座り方してましたね。膝立ちになってみたり、その時点で椅子使ってないんですけど(笑)

新しい椅子にしてからは、こっちのほうがコードを書きやすいって言っています。

エンジニアの皆さんは、それぞれ自分の身体や仕事のスタイルに合った椅子を選んでいるんですね。



宮元:
僕はこのアーロンチェアを選んだんですが、メッシュになっているので、蒸れないところとか、長時間座り続けるにはありがたいです。

気分的にも、選ばせてもらえるというのは嬉しいですね。使い古しの椅子じゃなくて、自分用のモノが選べるところが。社外のエンジニアに話すと、やっぱり羨ましがられますね。


― 現在の椅子がなくなったら、仕事に影響はありそうですか。


宮元:
あると思います(笑)普通のオフィスチェアに変わったら、大切にされてないように感じるかも。今はエンジニアを一番に考えてくれているという実感があります。



細田:
企画当初は、エンジニアさんだけじゃなく全スタッフにという意見もあったんです。でも最終的に、エンジニアがいなければ何も生まれないんだから、エンジニアが優遇されて当たり前じゃないか、ということになりました。

中にいる人は気が付きにくいかもしれませんが、福利厚生や制度の充実具合に対して、社外の人からは驚かれることが多いですね。そういえば先日、たまたま見つけたんですけど、当社グループの福利厚生や制度がまとめサイトに掲載されていました(笑)

(つづく)▼GMOインターネットに見る、エンジニアが活躍する環境の作り方 第2弾
定着率100%を実現したエンジニア支援制度―いかにしてGMOインターネットは制度を浸透させたのか。

[取材]梁取 義宣  [文]城戸内 大介


編集 = CAREER HACK


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