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エンジニアの評価基準、そして危機感を簡単に得る方法。|クックパッド CTO 橋本健太に訊く![後編]

2014-01-15

エンジニアの評価基準、そして危機感を簡単に得る方法。|クックパッド CTO 橋本健太に訊く![後編]

クックパッドCTO 橋本健太さんへのインタビュー第2弾。『エンジニアはいかなる基準で評価されるべきか?』というテーマで、クックパッドが実践するエンジニアの評価項目を伺いながら、エンジニア個人個人のキャリアプラン、危機意識の持ち方に迫りました。

▼クックパッドCTO 橋本健太さんへのインタビュー第1弾
エンジニアを成長させる、たった6つの指針。|クックパッド CTO 橋本健太に訊く![前編]

エンジニアの評価軸を探る

エンジニアはいかなる基準で評価されるべきなのだろうか?

高い技術スキルか、関わったプロジェクトの利益か、経験年数か、それとも…。

今回お話を伺ったのは、クックパッドでCTOを務める橋本健太さん。同社は数年前から、「エンジニアのあるべき姿」という6つの指針を社内で明文化し、社内60名のエンジニアに共有しているという。

また、この指針を基にエンジニア向けの評価制度を、他の職種の社員とは別に用意しているというクックパッド。エンジニアの評価基準の一例を伺い、成長を促す仕組みに迫った。

クックパッドはエンジニアをどんな軸で評価するのか?

― クックパッドでは、「エンジニアのあるべき姿」で明文化した6つの指針を、評価にも落としこんでいるそうですね。


はい。ユーザー視点・技術の使い方・誰にも負けない分野の高い技術力・他のエンジニアへの貢献・自分の行動への正直さ・プロダクト中心のコミュニケーション。この6点を基に、エンジニア向けの評価制度を4項目設けています。





ひとつはユーザーの問題発見・解決を主体的にできているか、という点。ユーザー体験まで考えて、サービス開発する志向(姿勢)を評価する項目です。

例えばサイト構造や、コミュニティ設計ならば、属性の違うユーザーが同じプラットフォームに乗ることで起こることを考えたり。ページ単位でなく、ユーザーの行動・遷移からからサービス設計を主体的にできているか。逆説的に言えば、「自分はいいもの作ったのにユーザーが使ってくれないんです!」という考え方は間違っているということです。




文字通り、自分のスキル・経験をただ保有するだけでなく、仕事に活かせているかということです。




クックパッドでは、設計のシンプルさを重要視しています。往々にして物事は、シンプルなほうが最適である事が多いですよね。

実は複雑に作るほうがラクで、シンプルに作ることって、結構、手間なんですよね。こだわらなければいけないし、世の中でいまどんな設計されているかを把握しておく必要がある。

もしかすると、会社・自分が成し遂げたいことは、既にモジュールが世の中にあるかもしれない。それを取り入れたほうが、シンプルなのではないかというところまで考えられているか。

そして設計したものが、他のエンジニアから見てシンプルなものになっているか。指針の「正直なコード」という項目はここにも現れてくると思います。




社内に限らず、社外の開発者全体に貢献できているか?という項目も評価項目に入れています。

同僚エンジニアの生産性を上げるだけでなく、社外にも目を向けて、厳しい目にさらされても、それに耐えられるクオリティのものを作りましょうと。怖がらずに出して、ちゃんと叩かれて直すことが成長につながると思います。

クックパッドのエンジニア発信で、オープンソースなものを出していけるようになればと思っています。

明文化した際の落とし穴に気をつけろ

― エンジニアの評価に対して、曖昧な企業も多いと聞きますが、6つの指針に沿ってかなりしっかり設定されてるんですね。この指針と評価は、エンジニアに十分認知されているのでしょうか?


ここが難しいところで、推し進めすぎるとヒトは思考停止してしまうんです。なので、絶対ルールにはしていません。みんなの約束のようなもので。理想や仕事をうまく進めたり成長する事を考える際、こんなツールがあったほうが話は早いよねと。


― 指針と評価基準は、適宜変更を加えたりしているのでしょうか?


指針はあまり変えていませんが、評価の軸は年に1度の頻度で、変更・検討しています。そんなに大きくは変わりませんが、会社の段階に沿って変えています。

以前は、技術力の向上を特に重視していたんですが、最近では底上げもされてきており、全体のレベル上がってきたと判断したんです。そこで現在は、次の段階として、培った技術をいかにしてユーザーに届けるかという項目を重視しています。

クックパッドの考えるエンジニアの適材適所

― クックパッドでは、キャリアプランに関してどんな取り組みをしているのでしょうか?


従来からクックパッドでは、配属を決める際、各々の「やりたい」「とくい」「やるべき」という3つの領域が重なる部分に取り組んできました。

でも実はこれ、結構危険で、自分だけで考えると3領域が重なる部分が、かなり狭くなってしまうんです。自分では認識してない得意な分野があったり、会社としてやるべき優先順位を見誤ってしまったり。

そこで、「もっとこんな方向性もあるよ」「実は会社的には今やるべきことは…」と、個人個人の成長を見越してアドバイスをリーダーが積極的に行なうこともよくあります。コミュニケーションを取りながら、お互いの最適な環境を探っていく感じです。


― 面白いですね。ただ、自分の「やりたい」ことを明確に持つことは人によっては難しそうです…。


よく僕は、「1年前の自分と今の自分を比べて、変化していなければいけない」ということをエンジニア陣に伝えているのですが、やっぱり成長を促す一種のツールとして、“危機感”を煽ることは効果が高いと思います(笑)

人生の中でどれだけ成功/成長したいか思い浮かべると、「こんなサービスでこれくらい影響を与えたい」「これくらいお金を稼ぎたい」「社長になりたい」というような自分のゴールが曖昧でも見えてくる。

ただ、最高に成功した自分と、今の自分には必ずギャップがあるじゃないですか。そこから「じゃあどうやってこの差を埋める?」っていう話をして。その差を埋めなければいけないという危機感を、行動に変えるよう仕組み付ける感じで。「今できないから出来ません」ではなく、「できないけど出来る」と言い切って、そこに向かう姿勢を持てるように。

ただし、厳しい目標を立てるだけではなく、そこに向かって行くことを楽しむことも大切ですね。


― 様々な企業で働くエンジニアだけでなく、彼らを評価する会社にもかなり有意なお話だったと思います!ありがとうございました。


(おわり)


[取材] 梁取義宣 [文] 松尾彰大




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