2016.01.05
「ポジティブな連鎖の発信源に」サポートエンジニアのスキルとやりがい。GitHub マイケル・ハリス

「ポジティブな連鎖の発信源に」サポートエンジニアのスキルとやりがい。GitHub マイケル・ハリス

サポートエンジニアって?WEB業界に限って見ても数多くある○○エンジニアという職種。その中でも今回はサポートエンジニアにフォーカス。一見地味な存在にも思えるサポートエンジニアの役割や求められるスキル、やりがいなどをGitHubのマイケルさんに伺いました。

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サポートエンジニアに求められるスキルとは?

― サポートエンジニアの業務やミッションとはどんなものなんでしょう?


GitHubはGitHub.comという世界最大級のGitホスティングサービスと、主に企業向けのGitHub Enterpriseという自社環境にインストールするパッケージソフトの開発を手がけています。

サポートエンジニアは主にGitHub Enterpriseのお客様が抱える様々な問題を解決に導くことをミッションにしています。


― サポートエンジニアに求められるスキルとは?


まずエンジニアとしての側面ですが、私たちのミッションを成し遂げるためには、コードベースでのプロダクトの理解が必須です。つまり開発運用の実務やコンピュータサイエンスなど、一人のエンジニアとしてプロフェッショナルでなければなりません。お客様ごとに環境が違うので似たような問題が起こっても解決方法も異なります。様々な開発言語、環境をエンジニアとして熟知している必要がありますね。

そしてサポートする上でもっとも重要なのはコミュニケーション能力と想像力だと思います。問い合わせがあるのはお客様がとても困っている時です。お客様がどんな状況にあるのか、ゴールはどこか、どこまで担当者の気持ちを汲めるか。私たちはお客様の環境に入ることができません。つまりヒアリング、テキストを通じたコミュニケーションで具体的なイメージを共有、共感して解決に導けるスキルや経験が重要になると思います。

サポートエンジニアの市場評価とやりがい

ギットハブ サポートエンジニア

GitHub Inc. APAC Enterprise Support Manager
Michael C. Harris

― 思っていた以上に「エンジニア」としての側面が強い印象です。


そうですね。カスタマーサポートとの違いは、まさにエンジニアという役割も大きく担っている点です。GitHubの場合、どこか別の部署につなぐのではなく、サポートエンジニア自身がお客様にとっての窓口となり、自分自身で問題解決にあたります。

またサポートエンジニアはお客様に一番近いところにいて、どんな場面で困っているのかを最も把握している存在でもあります。だからこそ、サポートエンジニア自身がプロダクトの小さなバグを発見して自分で直したり、プロダクトの開発チームに意見・提案することもよくあるんです。


― プロダクトもコードベースで深く理解しているからこそその役割を担えると。


そうですね。toB向けプロダクトを持つ企業内ではかなり重要な存在です。サポートエンジニアは日陰の存在ではなく、グローバル市場ではエンジニアの中でもかなり高い評価を得られる仕事だと思います。


― サポートエンジニアとしては積極的な開発、運用業務は少ないのではないかと思います。サポートエンジニアという役割で感じられるやりがいとは一体どんなものなんでしょうか?


私自身は現在、オーストラリアを拠点にアジア太平洋地域のお客様をサポートしています。サポートチームのリーダーとして組織の拡充などをミッションとしているのですが、各メンバーが優秀で一緒に働けてとても幸運です。そしてメンバーであるサポートエンジニアがお客様の成功のために全力を尽くしている。

GitHub Enterpriseは主に企業向けのプロダクトで、直接助けているのは企業の担当者です。しかしその先にはお客様のチーム、プロダクトが。そのさらに先には、様々なプロダクトやサービスのユーザーがいて、彼らにも私たちの仕事の成果が届くとも考えられます。サポートエンジニアとしての仕事を通して、ポジティブな連鎖を生み出し、世界中の人の成功をサポートできることにとてもやりがいを感じます。

GitHubが人材採用に掛ける期間、半年なんて当り前?

ギットハブ サポートエンジニア

― ぜひマイケルさんご自身のキャリアについても伺わせてください。どのような経緯でサポートエンジニアとしてGitHubに?


もともと大学では心理学を学んでおり、コンピュータサイエンスなどは授業をいくつかとっただけだったんですが、卒業後はスキューバダイビングや映画関連のITとはまったく関係がない仕事をしていました。でもある時仕事でインターネットに携わり、興味が再燃したんです。

それから大学院に入り直してコンピュータサイエンスを修めました。その後は大学の教授として学生にコンピュータサイエンスやWEBテクノロジーを教えたりしていました。

GitHubを知ったのは2008年頃で、使い始めたのは2010年頃です。もともとオープンガバメントやOSSのプロジェクトにも参加していてGitHubの考えにすごく共感しました。2012年にサポートエンジニアを募集している事を知り、自分のキャリアを振り返ってみても、他の人が困っていることをサポートして成功に導くことにやりがいや達成感を感じていたので、サポートエンジニアはまさに自分にうってつけの仕事だと思ったんですね。それから複数のインタビューなど6ヶ月近くかけて入社しました。2013年のことです。

シスアドからサポートエンジニアへのキャリア

― サポートエンジニアのキャリアを歩む方は、マイケルさんのようにコンピュータサイエンスを中心とした博士号取得者が多いのでしょうか?なかなかハードルが高いですね…


もちろん博士号を持っている必要はありませんよ。GitHubのサポートエンジニアでも特段多いわけではありません。ただプロダクトを正確に深く理解するためにも、GitHubでいえばRubyといったようにプログラミング言語に関する知識と経験は必須だと思います。

サポートエンジニアのキャリアを歩む可能性が高い、向いているのはシステムアドミニストレータのような人材なのかなと思います。お客様自身の立場やキモチも理解しやすいでしょうし、他者を助けること、サポートすることに喜びを感じれる職種という点では一致していると思います。


― 個人的な性格面で言えば?


辛抱強さをもって真摯に人に接することができる人。問題が起こっている時に仕事するのでストレスに強く、粘り強い実行力が求められると思います。


― ありがとうございます。最後に日本のユーザーやエンジニアに一言メッセージがあればいただけますか?


今回Ruby Kaigiに合わせて来日したのですが、日本のオープンソースコミュニティの大きさや活気に驚きました。今後もぜひ一緒に盛り上げていけたらとおもいます。

また日本オフィスを開設に合わせよりサポートを充実していきますので、こちらもGitHubと一緒になってプロダクト開発を前進していけたらと思います。これからもよろしくお願いします。

ありがとうございました!


文 = 松尾彰大


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