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三迫太郎って何者?地位も名声も求めない、福岡で輝く売れっ子クリエイターの素顔

2016-05-09

三迫太郎って何者?地位も名声も求めない、福岡で輝く売れっ子クリエイターの素顔

福岡に居を構えながら、注目度は全国区。グラフィックにエディトリアル、WEBのデザインからディレクションまでたったひとりで手がけるクリエイター。それが三迫太郎さんだ。彼が今日のように活躍のステージを上げていったウラ側には、どのようなストーリーがあったのだろうか。

福岡から独学で全国区へ!今注目のクリエイター三迫太郎とは。

福岡県に、たったひとりでグラフィックデザインにエディトリアルデザイン、WEBデザイン、さらにはWEBディレクションまで手がけるクリエイターがいるという。

彼の名前は三迫太郎(みさこたろう)。九州有名企業のWEBサイトや福岡で開かれる美術展でのパンフレットやフライヤーのデザインなどを数多く手がけたり、福岡発のクリエイティブ系メディア『CENTRAL_』やZINEイベント『10zine』『HereNow FUKUOKA』の運営に関わったりと、その活動は多岐にわたる。最近では、BBDO J WESTの眞鍋海里さんと共に宣伝会議『ブレーン』3月号の「いま一緒に仕事をしたい U35 クリエイター」特集に選出されるなど、注目度は日増しに高まっている。

taro magazine

三迫さんのWEBサイト『taromagazine™』より

今日はフリーのクリエイターとして独自のポジションを築いた三迫さんだが、高専卒業後はプログラマとしてキャリアをスタート。その後は現場と独学でデザインを学んできた。よくある「大手広告代理店で下積み時代を過ごした」や「著名なデザイナーの事務所で経験を積んだ」といった経歴の持ち主ではないのだ。

果たして、彼はいかにしてキャリアを歩んできたのか。そして、職種にとらわれずに「できること」を増やすことで、どんな景色が見えたのか。


<Profile>
三迫太郎 Taro MISAKO

北九州高専を卒業後、福岡市でプログラマとして就職。プログラミングよりもデザインが向いていると感じ、1年で転職。印刷会社、編集プロダクション、デザイン事務所などで経験を積み、2008年10月に独立。

相手の苦手なところを自分の得意なところで補う戦い方。

― 『ブレーン』にも取り上げられ、活躍のステージがどんどん上がってきている印象を受けます。これほどまでに注目されるようになった理由ってなんだと思いますか?


スペシャリストタイプの人には任されないことができるという点は強みだと思いますね。手数の多さ、守備範囲の広さみたいな。オールラウンドに手がけられるから、企画段階から参加してネーミングやロゴ、パッケージにWebサイト…とまるっと任せてもらうこともできます。あと、相手の苦手なところに自分の得意なところをはめていくみたいなことは得意です。WEBが得意な人には「アートディレクターです」って言って、グラフィックデザインに強い人には「昔からWEBやっているんですよね」みたいな(笑)。その結果、ある程度は“この人に任せればなんとかしてくれる”と思ってもらえているんじゃないでしょうか。


― 信頼を勝ち得ているということですね。逆に、苦手なことってあるんですか?


そうですね…たとえば企画が2パターンあったとして、自分は「完全にA案だ」と思っていてもお客さんの要望がB案の場合ってあるじゃないですか。その場合、自分の意見は抑えて、お客さんの要望を汲んだ形でアウトプットすることは良くあります。他のフリーの方は我が強いというか、信念のある人が多いような気がするけど、僕は自分を押し出すのは苦手かもしれません。本当は「俺がいいと思ってるんだからこっちでしょ!」くらい強く出られるといいんですけどね(苦笑)。


― そういう部分もふまえて三迫さんの信頼につながっているのかもしれませんね。そもそもの話なんですけど、三迫さんの職種って何なんですか?


うーん…自分の職種について、ハッキリとは考えてないんです。「いや、自分はデザイナーなんで」みたいな主張をしたこともないですし…。周囲から「グラフィックデザイナーですよね」とか、「WEBデザイナーですよね」とか言われることはありますけどね。

仕事をしていれば楽しいし、ステキな人たちとの出会いもある。だから結局、職種の範疇を意識したり、“有名になりたい”みたいなことは考えたりしていなくて、自分が楽しいと思えることをやっちゃってる感じですね。

クリエイターには、ムーブメントを起こせる力がある。

― 三迫さんのご経歴についても教えてください。高専卒でプログラマだった三迫さんが、デザインに興味を持つキッカケって何だったんですか?


Macとの出会いです。高専を卒業して、業務用システムを開発する会社でプログラマとして働いていたんですけど、そのときにOSXがリリースされたんです。ずっとWindows愛好家だったんですけど、Windows Officeのアイコンを700個以上、全部Mac用に描き直したという話を聞いて、デザインもカッコ良かった。ずっとMacはヌルいとか言ってバカにしていたんですけど、OS XのUIでそのイメージを覆されて、「コレを使う仕事がしたいな」と。

それでデザイナーの求人を探すんですけど、当時はハローワークくらいしか選択肢がなくて、たまたま「DTPのオペレーターを探しています」という募集を見つけたんです。実技試験があったので、ヤフオクでiMacを3万円くらいで落として、入っていたソフトで操作を覚えて…みたいな感じで入社できました。当時は今よりいろいろ緩かったですね(笑)。


三迫太郎さん

― DTPオペレーターから、編集プロダクションでエディトリアルデザイナー、デザイン事務所でWEBデザイナーといったキャリアを経て独立されています。キャリア選択の軸にあるのはなんでしょう?


カルチャーの要素だと思います。カルチャーはわかりやすい言葉で言うと、自分にとって「テンションを上げてくれるもの」です。人生のバランサーというか。

就職して福岡市に出てきたとき、カフェカルチャーがすごく流行っていたんです。地元のカフェだけで映画を上映したり、演劇をやったり、自分より少しうえの世代のデザイナーたちがワークショップをやったり…。クリエイターたちの手で、新しいカルチャーのムーブメントが起こっていく様子を目の当たりにしていたのは大きかったですね。

当時、編集プロダクションでは健康食品のデザインに関わっていたんですけど、もっと自分に興味があること、カルチャーに関わる仕事がしたいと思って独立しました。

デザイナーの仕事に固執するつもりはない。

― 三迫さんが手がけているアートやカルチャーのお仕事って、地方のいわゆるデザイン事務所ではなかなか受けられない仕事のように感じます。東京や大阪に集約されてしまうというか。カルチャー系の仕事をしていくうえで、何か意識していることってありますか?


僕の場合はブログでの発信が大きかったみたいですね。仕事を依頼してくれた美術館の方に聞いたところ、「何処どこへ行った」とか「こういうのが好き」とか書かれた僕のブログを読んで声をかけてくれたということがわかりました。

自分が仕事を頼むときも同じなんですよね。たとえばカメラマンさんでも、「普段は広告の仕事がメインですけど、本当はライフスタイル系の写真を撮りたいんですよね」みたいな話をされると、そういう仕事のときはお願いしようと思うわけです。最近はFacebookとかInstagramとかかもしれないですが、やりたいこと・興味があることを発信する重要性は身を持って感じています。好き嫌いがハッキリしているぶん、広告代理店からの仕事が減ってしまったことが悩みです(笑)。


― 今後のビジョンについて教えてください。


ひとつは家族との関わり方ですね。仕事と家族、どううまくやっていくかは考えなきゃな、と。

福岡だとグラフィックデザイナーの前崎成一さんや中川たくまさん、遠方だと札幌の暮らし方冒険家のご夫妻など“家族との生活と仕事とが地続きになっていて、共感する人が周りに集まってきてそこで仕事が生まれる”という循環に憧れます。ただ、自分は何かを決断することがとても苦手なので、これといった生き方を選べず、周りに流されているなぁというのが現状ですね。

もうひとつは、単純ですがもっとデザインを上手になるということです。

ありがたいことに、自分がいるステージが今までよりも人目につくところに出てきて、“その他大勢”では済まされなくなってきた感覚があるんです。でも、他の有名デザイナーと比べると技術的に物足りない。福岡にも、小さなお店の印刷物でも「これ、どうやって採算を取ってるんだろう?」と心配になるぐらいクオリティーの高い仕事をするデザイナーがたくさんいます。だから、基本的なことかもしれないけど、レイアウトとか、色彩とか、写真の扱い方・撮り方などをもっともっと強化していかなければいけないと思っていて。でも、それとは別に、デザイナー以外の選択肢の可能性も充分にあり得ると考えています。


― その可能性は何が決めるんでしょう?


僕は自分で道を切り開くというよりも、周りの環境に適応することでキャリアを積み重ねてきたタイプだと思っています。これからテクノロジーの発展をはじめ、さまざまな時代の変化が予想されていますが、それらに対応して自分が楽しいと思えることをやり続けられたらいいな、と。

Adobe Premiere

最近は、映像編集も始めました。Adobe Premiereをインストールして、TSUTAYAで説明本を買ってきて…みたいなレベルですが。そんな感じでふわっと活動しているので、もし僕が「デザインとはこうあるべき!」みたいな、デザイナーっぽいことを語り始めたら指摘してくださいね(笑)。


― キャリアといっても自ら切り開いていくものが全てではないですよね。三迫さんのお話が、周囲に適応しながらキャリアを築いていく人のヒントになればいいなと思いました。今日はありがとうございました!



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