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すべてがテクノロジードリブンで動く組織を―オーマイグラス六人部生馬氏・白土慧氏インタビュー

2013-09-05

すべてがテクノロジードリブンで動く組織を―オーマイグラス六人部生馬氏・白土慧氏インタビュー

“イノベーション”とは、どのような組織にて生まれうるのか?この問いを、オーマイグラスの六人部氏と白土氏にぶつけてみた。「人々の習慣を変え、“当たり前”となるものがイノベーション」という彼らは、どのように、そしてどんな組織でイノベーションを起こそうとしているのか?

“メガネの購買体験を変えるサービス”で急成長中のオーマイグラス

従来のモノ・仕組みなどに対して、全く新しい技術や考え方を取り入れ新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こす。『イノベーション』という言葉の、一般的な定義がこれだ。

では、このイノベーションとは、どのような環境下で、どのようにして生まれるものなのだろうか?

その答えを探るべく話を伺ったのは、メガネに特化したコマースサイト「Oh My Glasses(以下、OMG)」を手掛けるオーマイグラス社 COOの六人部生馬さんとリードエンジニアの白土慧さん。


オーマイグラスィズ


メガネのECという非常に難易度の高い領域ながらも着実に成長を続ける彼らとともに、イノベーションを起こしうる組織のあり方を探った。

イノベーションとは、人々の習慣を変え“当たり前”となること

― OMGは“メガネの購買体験を変える”ことを目指し、実際にそうなってきていますよね。まさに”イノベーション”だなと感じているのですが、お二人はそもそもこの”イノベーション”という言葉をどのように捉えていますか?


六人部:
僕らは普段、あまり意識的にイノベーションという言葉を使ってはいないですね。手触り感のない言葉なので。ただ客観的に自分たちの事業を振り返ってみると、結果的に僕らはイノベーションを起こしていると言うこともできるんじゃないかな、という気がしています。

メガネって、一般的には“店舗で買うもの”だと思われていますよね。こうした皆の“当たり前”“習慣”を変えることが、結果としてイノベーションとなっているのではないかと思います。言わば、ググるとか、ツイートするとか、“新しい動詞”になり、人々の生活に定着しているようなサービスです。


六人部生馬氏

オーマイグラス COO 六人部生馬氏


白土:
エンジニア目線だと、いわゆるイノベーションといえば、例えばiPhoneのような革新的なプロダクトのことをどうしても思い浮かべます。

でも、一番大事なことは、技術を用いて何を作るかというよりもその先にある、世の中にどんな価値を提示するかという部分だと思うんです。

特にOMGの場合、お客様がネットでメガネを注文しさえすれば成り立つサービスではありません。ネット上だけで完結するのではなく、商品が適切に配送されて、きちんとしたアフターサービスがあって、はじめて成立するものです。


白土慧氏

リードエンジニア 白土慧氏


つまり僕らは、この一連の流れすべてを極めて高いレベルで体験してもらえるようにしなければならないわけで。やはりイノベーションとはモノをつくることではなく、人々の“新しい体験”を生み出すことなんだと思います。


六人部:
確かにそうですね。これはメガネというリアルな“モノ”を扱っている僕らだからこその考え方かもしれません。

「自分たちがやらなければいけない」という使命感がエンジンとなる

― そもそも、どうして“メガネ”に目をつけたんですか?


六人部:
最も社会的にインパクトを与えられる可能性を感じたからです。

元々、モノづくりに対しての思いが強くあって、起業にあたって、そこにECという軸を加えて何かできないかと考えていました。そこで出てきたのがメガネです。

2011年7月の時点で、ファッション系などの分野に関しては、すでに複数のECサービスが立ち上がっていて、僕らが新たにファッションECをやる必然性や意義は感じられませんでした。

ただその中で、メガネだけは違ったんですね。メガネ業界は、ある程度の市場規模のある、非効率性が残る業界の1つでした。たくさんある非効率性の一つがインターネットを活用できてない点でした。

そのメガネ業界へのエントリーポイントとして、ECを選んだんです。最初は「無理だ」「ネットでメガネは買わないでしょ」「けしからん」など、時には怒りに近い意見も業界内部の方からユーザーの方まで多くいただきました。しかし、そのような多くの人との会話を通して、大きなチャンスが眠っていると気づいたんです。そういう人々や業界の“常識”を変えようとすること自体がとてもチャレンジングで、ワクワクしました。

創業初期からこれまで、メガネというビジネスを理解すればするほど、これは自分たちがやらなきゃいけない、自分たちにしかできないんだと、強く感じるようになっています。メガネが好きとか通販がやりたいという思いだけではなく、我々がやることで最も大きなインパクトを与えられるのがOMGの事業なんだと、そういう意識ですね。

OMGはECというイメージが強いのですが、我々は店舗を出す可能性もあるし、自社ブランドのメガネも作っています。ECだけに限らない、メガネ業界を変革していく者として自らの事業ドメインを捉えています。


白土:
僕も六人部から「メガネのeコマースをやるから手伝って」と聞いたときは、それは難しいだろうと思いました(笑)

でも、未だに覚えているのですが、最初に言われたのが「いま無いものをやるんだよね」という言葉だったんです。自分以外の人間にもできることをやり続けるのか、それとも、当たり前じゃないものを当たり前にすることにコミットするのか。そう考えると、エンジニアとしてコンピューティングを用いてOMGに貢献したいという思いになり、参加する決断をしました。


OMGステッカー

オーマイグラスは1100以上のリアル店舗とも提携している。

イノベーションは、“テクノロジードリブン”な組織から生まれる

― イノベーションというものに対する、OMGのスタンスが分かってきた気がします。では、そのイノベーションを生み出せる組織とは?


六人部:
まず重要なのが、“テクノロジードリブン”であること。そして、様々な仕事領域、専門分野を持ったメンバーが集まり、企業として実現したい一つのビジョンに、目線を合わせることが必要だと思います。


― テクノロジードリブン。エンジニアが組織の中心となって、チームを引っ張っていくべきということでしょうか?


六人部:
たしかに今の時代、テクノロジーの専門家であり、実際にモノを作ることのできるエンジニアこそがイノベーションの肝になるのは間違いないと思います。

しかし、テクノロジーはエンジニアだけが意識すべきことではありません。

例えばOMGの場合も、物流やカスタマーサポートといった部分においても、クオリティや効率を上げていくためには、テクノロジーの力が不可欠です。

白土が言う通り、OMGはWEB上ですべてが完結するのではなく、メガネの購買にまつわる一連の”体験”を提供しているサービスです。そのため社内にはエンジニアやデザイナーだけでなく、鯖江まで行って泥臭くメガネを仕入れているバイヤーや物流担当、商品管理・配送スタッフなど、一般的なWEB系のスタートアップと比べ、幅広い専門分野を持ったメンバーが活躍しています。

お客様の体験や習慣を変えるためには、そのすべての分野において、高いサービスレベルを実現しないといけない。僕らは、一連の購買体験をひっくるめて“プロダクト”と捉えています。サイトもそうだし、メガネやサングラスなどの商品MDも、配送やカスタマーサポートもひっくるめて“プロダクト”です。例えば、いくらサイトが使いやすくても、配送が1日遅れてしまえば、素晴らしい購買体験は提供できません。


白土:
エンジニアとしても、物流やマーケティングなど実務レベルでの役割は違うとはいえ、全メンバーが一緒になって同じ目線で仕事をしている感覚が強いです。

僕は、OMGがテクノロジードリブンを志向する以上、この会社の強みはやはりエンジニアチームが担保しなければいけないと思っています。WEBサイトをより良くするのもエンジニアの仕事だし、物流のスピードを上げるのもエンジニアの仕事。カスタマーサポートの仕事を効率的にするのにも、エンジニアリングの力を使える。

その中での優先順位って、職種に関係なくみんなで一緒に考えるべきことですよね。会社の事業として今一番大切なのは何なのかを考え、皆の総意で最も力を入れてやるべきことを決める。テクノロジーが中心にあることで、メンバー全員の共通意識も形成されやすいんじゃないかと思います。


(つづく)▼《オーマイグラス》COOの六人部生馬さんとリードエンジニアの白土慧さんへのインタビュー第2弾
“コンプリートコントロール”な環境がイノベーションを生む―オーマイグラス六人部氏・白土氏に学ぶ組織論


[取材]上田恭平 [文]松尾彰大



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