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クリエイティブの世界で、どう生き抜くのか。| ロフトワーク 滝澤氏が語るクリエイター処世術。

2013-11-28

クリエイティブの世界で、どう生き抜くのか。| ロフトワーク 滝澤氏が語るクリエイター処世術。

日本最大級のクリエイターネットワーク『loftwork.com』を運営する株式会社ロフトワークでチーフディレクターを務める滝澤氏。数々のクリエイティブワークを手掛けてきた滝澤氏に、クリエイターが生き抜くための要件を聞いてみたところ、スキル以外の武器を持つことが大切だと言う。

▼株式会社ロフトワーク 滝澤耕平氏へのインタビュー第1弾
若手WEBクリエーター必見!"一緒に仕事をしたくなるクリエイター"とは?| ロフトワーク 滝澤氏に訊く。

ここ数年で、クリエイティブの領域は飛躍的に拡がっている。

数年前だったら考えられないほど、テクノロジーは日々進化し、世の中は便利になっている。WEB・IT業界でも、求められるクリエイティブ領域は格段に拡大し、求められるスキルも多様化・高度化している。

例えば、WEB制作会社であれば、ただ単純にWEBサイトを制作するだけでは、クライアントは満足しない。SEO対策であったり、UI/UXの追及であったり、アクセシビリティの向上であったり、サイト運用のしやすさであったり、WEB制作プラスアルファの付加価値を要求してくるケースも多いだろう。

変革期とも言える時代において、求められるクリエイターとは一体どのような人なのか?前回に引き続き、日本最大級のポートフォリオサイト『loftwork.com』を運営し、多くのクリエイターと一緒にプロジェクトを手掛けてきた株式会社ロフトワークの滝澤耕平さんに話を伺った。

クリエイターは、"翻訳家"であるべき。

― これからの時代、クリエイターに求められることって、何でしょうか?


クリエイティブ業界に携わる多くの方が言っていますが、クライアントが抱えている課題に対して、ただWEBサイトを制作することだけでは解決できないことが増えてきました。顧客課題に対する1つの解として、WEBサイトをつくるのであれば良いのですが、時にそれは課題解決のごく一部でしかなかったり、実は見当はずれだったということも多い。クリエイターの存在価値というのは、クライアントが抱えている課題の意図をしっかりと紐解いて、彼らが分かりやすいような言葉に”翻訳してあげること”にあると、私は思うのです。




例えるならば、仮にクライアントが「赤色のデザインが良い!」と言っていても、なぜ「赤色が良い!」と言っているのか、その理由を引き出して解釈し、「そのような理由でしたら、色を変えるのではなく、形を変えてみるのはどうですか?」と、提案することが大事なんです。


― 何が課題なのか、成し遂げたいことは何なのかを理解した上で、 解決策を提示するということでしょうか?


そうなんです。先日も、とあるBtoC向けサービスを展開するクライアントから、ホームページをリニューアルしたいというご要望をいただいたときに、「なぜ、リニューアルをしたいのか」をヒアリングしたんですね。そうしたら、お客様であるエンドユーザーからの問い合わせがない、という課題が見つかりました。で、その原因を分析してみたら、そもそもエンドユーザーが問い合わせをしたくなるような、コンテンツがホームページ上に一切無かったんですね。。。

だから、エンドユーザーが問い合わせをしたくなるコンテンツをサイト内に設けて、その導線を見直すほうが重要じゃないですか?と提案をしたんです。ちゃんとコンテンツが成果を出しているのかを解析し、ログをとって、さらに改善する。元々はホームページのリニューアルプロジェクトだったものをエンドユーザーからの問い合わせ件数を増やすためのコンテンツ作成と運用プロジェクトに替わっていました。このようなケースは本当によくある話なんです。

自身の専門領域だけに固執しない。

― よく議論される専門特化するか横断的に領域を広げるかという点についてはどのようにお考えでしょうか?


うーん、そうですね。。この場で、安易に「こっちです!」とは言いにくいのが本音ですが、自分の専門分野だけに特化している人と、幅広い領域を手掛けられる人の両方がいて良いんだと思います。ただ自分の専門分野はこれしかない、と固執するのではなく、いろいろな新しい仕事を経験する中で、自身の得意なことや興味があることを更に見つけて、日々、仕事の領域を拡げていくことも大事なんじゃないかと。

― 確かに仕事の領域を拡げていければいいのですが、クリエイターは自身の制作物にはこだわりを持っていますし、自身が納得できないものは、世の中に出したくないという方も多い。経験がない領域に、手を出せないんだと思うのですが。


たしかに今まで経験したことがない分野に、新たに挑戦するのは容易ではありません。実際にWEBデザイナーが、プロダクトデザインの仕事を依頼されることなんて、ほぼないですしね。だからこそ、弊社が運営するポートフォリオサイト『loftwork.com』では、オープンイノベーションの場として、さまざまな公募プロジェクトを開催しているのです。

WEBデザインに限らず、プロダクトデザインやグラフィックデザイン、事業アイデアの募集など。なかには、有名企業とコラボした公募なども開催されています。あと、『loftwork.com』の特徴でもあるのですが、実施している公募で、クリエイターが応募した作品を全部みることができます。


― それは凄いですね。一般的な公募だったら、入賞作品しか見ることができませんよね。


公募イベントも頻繁に開催されています。1つ例を挙げるなら、「Roooots 越後妻有の名産品リデザインプロジェクト」。 これは、越後妻有地域(新潟県の十日町市・津南町)の地域活性化につなげるために食品、お菓子、お酒、着物、グッズなどの名産品13品のリデザイン案を世界中のクリエイターから公募しました。

入賞作品は、商品化されて販売されます。過去の受賞者の中には、受賞作品を別のデザイン公募に出品し、そちらでも受賞したという人もいました。このような公募作品は、クリエイターの実績になりますし、キャリアを拡げていくことに役立っていると思います。

自身のキャラクターやタイプを知ることが武器になる。

― クリエイターは翻訳家であるべき、そして専門領域を拡げていく、どちらも大切な考え方ですね。最後に、スキル以外に求められることを伺えますか?


最近、ある本で読んだのですが、どんなプロジェクトであれ、参加するメンバーに”多様性"のあるほうが、イノベーションを起こしやすいそうなんです。実際、クリエイターのスキルというのは、これまでに手掛けてきた作品やクリエイティブスキルだけで判断できるものではありません。

アイデアを発想するのが得意な人。リサーチをするのが得意な人。マネジメントをするのが得意な人。1を10にするのが得意な人、など。各自の個性がバランス良く集まったチームの方が、プロジェクトでは効果を発揮しやすいみたいです。

海外の研究では、白人だけのチームといろんな人種のチームとでは、後者の方がプロジェクトの生産性は高かったというデータもあります。同じようなタイプのクリエイターだけでプロジェクトを組むのではなく、いろんな視点を持ったクリエイターが集まった方が、化学変化が起こることもある。思いもよらないようなアウトプットができることも、あるんじゃないでしょうか。クリエイターは自身のキャラクターやタイプを知って、アピールすることも必要なんだと思うんです。


― スキルだけではなく、自身の性格やタイプなどの個性も武器にすることも、これからの時代を生き抜くクリエイターの要件になるんですね。本日はありがとうございました。




(おわり)

[取材・構成] 梁取義宣 [文]白井秀幸




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