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ホントに「スマホ送金」は流行る? Kyash 矢部雄祐が語った普及に向けた秘策

2017-10-05

ホントに「スマホ送金」は流行る? Kyash 矢部雄祐が語った普及に向けた秘策

スマホで個人間送金ができるアプリ『Kyash』。中国などではかなり普及しているキャッシュレスでの送金体験だが、ホントに日本でも流行るのか? どうすれば流行る? Kyash サービスUIデザイナー 矢部雄祐さんが語った秘策とは。

もうすぐ『スマホ送金』はあたり前の世の中に?

友だちへの送金、お店での支払いなどスマホでお金がやり取りできる『Kyash』

アプリにクレジットカードを登録。LINEやFacebook Messengerで簡単に送金できるスグレモノだ。

お金を受け取った側も『Kyash』上のバーチャルVisaカードを介し、オンラインショッピング、モバイルSuicaにチャージして使うことが可能。モバイルSuicaという間接的なカタチだが、実店舗でも利用ができるという仕組みだ。

企業としての「Kyash」もシリーズAで10億円超を資金調達。元Googleの及川卓也さんが技術顧問に就任したことでも話題となった。

同時に素朴な疑問として…日本でも「スマホ送金」は本当に流行るのか? 普及させるための秘訣とは? サービスUIデザイナー 矢部雄祐さんによる登壇内容をお届けする。

※2017年9月に開催された「UI Crunch #11 金融業界に革命を起こす、FinTechスタートアップのUIデザイン」よりレポート記事をお届けします。

スマホ送金で3つの「負」を解消!

まずはじめに矢部さんが語ったのは、個人間でのスマホ送金が解決する3つの課題について。どれも日々の中にある「負」を解決できるという。


[1]個人間での集金をラクに。

『Kyash』はお金のやり取りのハードルをグッと下げられるアプリ。飲み会だったり、イベントでの集金だったり、驚くほどラクになります。1回使ってみると手放せないものになる。とくに他のアプリとの違いとしては本人認証がないこと。1回登録すれば、登録している友だち同士のお金のやり取りがビックリするほどカンタンになります。

[2]お店で、お会計の行列が消える日も?

もうひとつ、私たちが進めているのがお店との連携です。わかりやすく、お会計での行列がなくなるんですよね。お店側としては、わりと問題意識があるところ。スムーズにお客さんと決済のやり取りができるのは、かなり価値を感じていただけています。利用する側としてもお財布を持たなくても、ランチやショッピングができるのは便利ですよね。

[3]新しい「感謝」のカタチ!

こう見ていくと「手間が省ける」というところに目がいきがちです。ただ、それだけじゃない。じつは「個人」と「社会」をつなぐ手助けになると考えています。「感謝」や「共感」を示す新しい手段となり得る。たとえば、路上ライブの投げ銭にも使えますし、2020年には五輪が開催されますが、好きなスポーツ選手にスポンサー感覚でお金が送れるかもしれない。スマホで簡単にお金を送れる。これは新たな価値、硬貨の文化、流通の仕組みを生み出していくことなんです。


Kyash_矢部雄祐さん

スマホ送金の普及には「情緒」が欠かせない?

矢部さんは「効率性」だけを求めても、なかなか製品は広まっていかないと語る。一体どういうことなのか?


じつは「効率性」だけを求めても、革新的なものは生み出せないと考えています。

歴史を遡ってみると産業革命後に起こったのは、アーツ・アンド・クラフツ運動であったり、アール・ヌーヴォーだったり、芸術回帰運動ですよね。つまり「効率性」だけで今の世の中になったわけではないということ。

産業革命で製造工程は効率化され、大量生産品が多く出回るようになりました。ただ、使いづらいもの、粗悪品も増えていった。

手工業における芸術性、そして効率性を融合させたものが、ドイツのバウハウスという学校で生まれた「デザイン」の概念につながっている。それがアメリカにわたって航空業や出版業の礎になったと言われています。

つまり過去の歴史を遡っても「人に寄り添う感性・機能」が製品に備わることで、新しい産業や文化が生まれている。やっぱり効率性だけではないんですね。

いま、金融の世界でも同じことが起ころうとしています。誰かに気持ちを伝える、その情緒的なコミュニケーション、つまり「デザイン」こそが、新しい価値交換の文化、流通の仕組みに欠かせないものとなるはずです。

これから生まれる市場を狙う時、デザイナーには何ができるのか。

最後に語られたのは「デザイナー」の役割について。矢部さんが語ったのは、市場の成熟度によって、デザイナーに期待される役割は変わるというものだった。


世の中にサービスを提供しようと考えた時、「鎮痛剤」と「ビタミン剤」によって例えられますよね。

・鎮痛剤
must to have(なくてはならないもの)

・ビタミン剤
better to have(あったらいいもの)

よくサービスデザインやリーン界隈でいわれるのは「鎮痛剤」となりえる課題を解けということです。では、お金や人間関係に直結する「個人間送金」はどうか。じつはこれも「鎮痛剤」になりえると私たちは考えています。

同時にクリエーションモデル(*)のプロダクトでもある。つまり、市場にはまだ顕在化された課題がない、まったく新しい概念のソリューション。なので「使いやすさ」だけでなくて「価値をどう伝えるか」が欠かせないということです。

(*)対比されるのが「リプレイスモデル」と呼ばれるもの。すでに市場で課題感が顕在化されており、それに対するプロダクト。既存プロダクトよりもいいものを作っていく。


なので大切なのは、個人間のスマホ送金を、いかに噛み砕いて伝えていけるか。潜在的な課題感を想起できるような導線や伝え方、ストーリー、非機能、サブ機能みたいなものに、より力を入れていく予定です。潜在的な価値をユーザーのみなさんに認めてもらう。とても刺激的なことですし、個人間のスマホ送金は、みんながハッピーになる未来へとつながっていると考えています。


(おわり)


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