2019.04.17
リリース1周年。心が折れかけた時、そこには仲間がいた。YOUTRUST 岩崎由夏

リリース1周年。心が折れかけた時、そこには仲間がいた。YOUTRUST 岩崎由夏

副業マッチング『YOUTRUST』がリリースから1周年。「仲間に助けられながら、なんとかやってくることができました」と語ってくれた代表の岩崎由夏さん。バグやクレームなど壁も乗り越えてきた。この1年間、そして「これから」について伺った。

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2018年4月にリリースされた副業・転職のリファラル採用プラットフォーム『YOUTRUST』。友人もしくは「友人の友人」からオファーが届き副業や転職ができるリファラル採用プラットフォーム。仕事を探すユーザーと人材を探すリクルーターアカウントが存在し、公開初日からユーザーアカウントは700人を突破。リリース1年が経過した現在は、ユーザーアカウントは5000人、リクルーターアカウントは130社が登録している。(2019年4月17日 時点)

「KPI…ってなんだっけ?」からのスタートだった

― 1周年、おめでとうございます。今日は「この1年を振り返ってみて」という話が聞けたら、と。

ありがとうございます。いやぁ…もう1年。あっという間というか、駆け抜けてきた、という感じですね。

リリースしたばかりの頃はバグだらけで。デザインも素人の私がつくっていたので、今考えると「よくあんなものを世に出せたな」という状態で……(笑)

私たちは「ソーシャルデバッグ」って呼ばせていただいていたんですけど(笑)、私がTwitterでいろんな人たちのバグ報告を拾って、それをエンジニアの山田が直すということをひたすら繰り返していました。

私はこれまで人事などバックオフィスをずっとやってきたので、プロダクト開発も起業の経験もありません。「KPI…ってなんだっけ?」という状態からのスタートでした。『YOUTRUST』はプロダクトづくりの素人2人で立ち上げたサービス。

いまでこそ株主でもある中川綾太郎さんに、「それが君たちの強みだよ。経験がないからこそ、クオリティを求めてリリースを後ろ倒しにするとかせず、とにかく最低限動くものを世に出したのが良かった」と言ってもらえていますが。

不完全でもまずはリリースして市場からフィードバックをもらう。それをプロダクトに反映して改善していく。プライドなく、サービスをリリースできたことは私たちの強みだったと思っています。

サービスの運営面でもいろいろありましたね……。

とあるリクルーターユーザーが、知らない人にも片っ端から友達申請を送って、失礼な連絡をしていたんです。それがクレームになってしまって。その方のリクルーターアカウントは剥奪させていただいたんですけど、私の人を見る目がなかったと反省しています。

「友だちの友だち」とはいえやっぱり他人ではあるので、知らない人から突然連絡がきたら不審に思う人もいますよね。だからこそ、ちゃんと相手の気持ちを考えてコミュニケーションができる方でないと権限は渡したくない。

狭いコミュニティだから、相手の気持ちを考えずにスカウトしているとリクルーター自身のリファレンスも落ちてしまいます。それはお互いにとって不幸なので、現在は完全審査制にして、そもそも素敵なリファレンスがあるか、私たちが実際にお会いして「この人は信頼できる」と思った方にしかリクルーター権限はお渡ししていません。

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『YOUTRUST』の特徴はユーザーが転職意欲を表明できること。既存のSNSで転職活動をしようとすると、会社の上司に見られる恐れがあるため転職意欲を公にできないケースが多い。しかし、『YOUTRUST』では信頼できる人とその友人までしかユーザーのプロフィールを見ることはできないため、転職意欲を信頼できる人だけに伝えることができる。

人事として、転職者としての「違和感」が起点

『YOUTRUST』を立ち上げたきっかけは、私自身が抱いていた転職に対する違和感でした。

人事担当として採用をしていた頃は、よく知らない人から知らない人を紹介されることや書類だけで人を判断するってどうなんだろうって。

私自身が転職活動をしているときに、「私を採用してくれる会社はありませんか」ってFacebookに書けたらラクだな…と思った。でも結局コソコソ転職活動するしかなかった。Facebookだと会社の上司も見ていたりするし、大好きな前職にも迷惑になるかな…とか考えてしまってできないじゃないですか。

そのときに「信頼している人だけに転職意欲を伝えられるサービスがあったらいいな」と思ったんです。

だから、最初から「副業」に目をつけていたわけじゃないんですよね。起業当初は転職プラットフォームをつくりたいと思っていました。

いろんな人にそのことを話していたところ、「副業でもいいからいい人いない?」「副業したいんだけどいい会社ない?」といろんな人から相談されるようになって。「副業のニーズはあるんだな」と実感していまのサービスにプチピボットしました。

副業は買い手市場。今なら企業は優秀な人を選べる状況にある

― 実際にサービスをリリースして、転職や副業の市場はどのように見えていますか?

予想してたよりも、副業を採用する会社が少ないということを感じましたね。

実は「優秀な人材を採用したい会社なんていくらでもあるだろう」と思って、採用する企業側を集めないでサービスをリリースしたんです。ところが働く先となる企業は少なく、逆に副業意欲のあるユーザーが予想以上にたくさん登録してくれた。「これはやばい」と思いました。

企業さんの話を聞いてみると、「正社員じゃなきゃダメ」とか「リモートする人をマネジメントする方法がわからない」と。やっぱり副業って新しい文化なので、採用もマネジメントも評価もやり方がわからない企業が多かったんです。

でも実は、副業ってすごく買い手市場。企業は優秀な人を選べる立場にあるんです。いま転職市場は売り手市場で、企業は人が採用できなくて困ってますよね。副業市場と正社員の転職市場では全く真逆のことが起きている。

そこに気づいている企業さんは、副業を1つの採用チャネルとしてして「お試し就職」「大人のインターン」のような形で活用されていて。そうすることで優秀な人たちが転職市場に出てくる前から、優秀な人たちと関係性を築き自社の魅力をアピールすることに成功しているんです。

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信じて任せる。以上。

― 副業という採用チャネルを活用するためのコツは?

YOUTRUSTでも副業スタッフが7名活躍してくれていますが、みんな期待以上にワークしてくれています。ポイントはマイクロマネジメントをしないこと。そもそも優秀な人しか採用していないので。そのほうがみんな自走して高いパフォーマンスを発揮してくれるんです。

副業メンバー同士が顔を合わせる機会をつくることも大切。YOUTRUSTでは月1回、必ず副業メンバー同士が会う機会を設けています。そうすると副業メンバー同士が勝手にコラボレーションして、プロダクトをどんどんプラッシュアップしてくれるんです。

副業のマネジメントがわからないという企業さんは多いですが、その原因は恐らく1日中同じオフィスで一緒に働く社員向けのマネジメントをしようとしているから。副業している人がどうというより、マネジメントに問題があるケースがほとんどなんですね。

リファレンス情報を可視化できるサービスへ

― 最後に今後の展望について教えてください。

これからは正社員、アルバイト、業務委託など、みんなが雇用形態にこだわらない時代になっていくと思います。

いまでもすでに、転職のカタチが変わっています。1回フリーランスになって3〜4社手伝って、最もマッチする会社に正社員で入社する。最近増えているのを肌で感じます。その方が企業も求職者も、お互い納得度の高い結果になる。すごく賢い転職方法だと思うんです。

「誰が」「どんな理由で」求職者を信頼しているかを可視化できるような機能があれば、『YOUTRUST』は唯一無二のプラットフォームになれるんじゃないかなと思います。

逆に私たちは数値で人柄を評価することはやりたくない。人の評価には好き嫌いが影響してしまうので、いわゆる絶対評価はないと思っています。でも、自分が信用している人が好きな人のことは、自分も好きになれる可能性が高い。そういった評価を可視化できるようなサービスにしたいですね。

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[プロフィール]
株式会社YOUTRUST代表取締役 岩崎 由夏
大阪大学理学部を卒業後、2012年に株式会社ディー・エヌ・エーに新卒入社。1年目より新卒採用、中途採用、経営管理を経験。その後、株式会社ペロリに出向し経営企画を担当。2017年12月に株式会社YOUTRUSTを設立。「信頼される人が報われる転職市場に」をミッションに掲げる。同社は2019年1月、総額数千万円の資金調達および株式会社HERPとの業務提携を発表。


文 = 田尻亨太
編集 = 大塚康平


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