2022.06.27
先端技術を、社会実装せよ。落合陽一氏率いるピクシーダストテクノロジーズ社、BizDevの存在意義

先端技術を、社会実装せよ。落合陽一氏率いるピクシーダストテクノロジーズ社、BizDevの存在意義

落合陽一氏率いるピクシーダストテクノロジーズ社(PxDT)。同社では研究開発、知財メンバーに加え、BizDevメンバーも活躍する。そのミッションは先端技術を事業化し、ビジネスで社会課題を解決すること。第一線で活躍する辻 未津高さん(29)を取材した――。

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キヤノンに新卒入社し、VR/ARなど仮想現実関連の新商品企画・新規事業の渉外業務などを担当。ビジネスパーソンとして総合的な経験を積みたい、地球環境の課題解決に直結する仕事がしたいと新興電力企業であるLooop社に転職。再生可能エネルギー関連事業の地方支店における新規開拓営業、モバイルバッテリーシェアリングサービス事業の責任者を経て、2021年3月にピクシーダストテクノロジーズへと入社。2022年1月よりチームリーダーへと抜擢され、2つのプロジェクト責任者を任されている。

技術を生み出し、育て、連続的に社会実装

まずはピクシーダストテクノロジーズ社(PxDT)がどういった事業を行なっているのか。概要から伺ってもよろしいでしょうか?

PxDTは、自分たちで技術を生み出し、育て、連続的に社会実装する仕組みづくりに挑んでいる会社です。たとえば、筑波大学との特別共同研究事業に取り組んでいて、そこで生み出された「知的財産」を、新株予約権を梃子に予約承継させ、契約交渉のコストを抑えていく。そういったスキームがあるので、これまでにないスピード感で大学発技術の社会実装が可能となっています。ちなみに、2020年1月には東北大学とも共同研究契約を締結しました。

とはいえ、アカデミア発技術を社会実装までもっていくのは一定時間が要するもの。自社でのR&Dも行うなど、あくまでも課題・ニーズドリブンでの事業開発を社会実装に向けて進めています。2022年5月以降、5つのプロダクトローンチを予定しています。大手企業、自治体からの引き合いも増える中、事業をドライブさせています。

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わずか1年で新製品リリースへ

辻さんご自身は、BizDevとしてPxDTに入社し、どういったプロジェクトを担われてきたのでしょうか?

わかりやすいところでいうと、2022年4月に、ガラスに貼れる透明の吸音パネル「iwasemi™ HX-α」をイトーキ社と共同開発したのですが、その商品化を担いました。

とくにオフィスでの利用シーンを想定した商品で、発売前ですが、「見たことがない」「これで吸音材?」と高く評価をいただいています。コロナ禍を経て、Web会議、ハイブリッドワークも増えていますよね。ただ、ガラスに囲まれたオフィス空間だと「反響音」が課題に。さらに柔らかい素材の吸音材はよく知られていましたが、硬質で、意匠性に優れたものがあまり無かった。そこでPxDTにおける「音響メタマテリアル技術」とイトーキ社の「デザイン・設計技術」を融合し、商品化に至りました。

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ガラスに貼れる透明の吸音パネル「iwasemi™ HX-α」(イトーキ社と共同開発)

もともとあったiwasemi™は、必ずしもオフィスでの利用シーンに絞ったものではなかったんですね。そこを絞って商品化した背景はあったのでしょうか?

まず私自身、iwasemi™に対して、すごく高いポテンシャルを感じたんですよね。透明にできる技術もあり、形状の自由度が高い。いわゆるR&Dフェーズで、ほとんど素材に近い黒の塊のようなものではあったのですが、まるでわが子を見るみたいな感じで「この子の才能が最大限活かせる“場”はどこだろう」と(笑)

そこからいろいろな産業の方々に仮説を持った上でヒアリングし、見えてきたのが、「Web会議が多くなったオフィスにおける反響音や音漏れに悩む声」でした。同時に、「オフィスにおける吸音材の意匠性」にも課題を感じていることがわかり、商品化することにしました。

2021年の夏ごろにスタートしたプロジェクトですよね。企画から商品化まで1年も経ってない計算になります。すごいスピードですね。

社内外で素晴らしいチームと連携でき、そして素晴らしい技術・素材があった。ここに尽きますし、運も良かったのだと思います。

同時に私たちのようなベンチャーにとって最も価値が高いものは「時間」です。検討し尽くしてからスタートしていたら遅い。現時点で「いける」と思えば、踏み込む。もし途中でダメなら、戻る、やめる、修正する、いずれかを素早く選択するだけ。途中で止めざる得ない状況になったとしても、進めたこと、トライにこそ価値がある。「iwasemi™ HX-α」の拡販はこれからですし、「iwasemi™」に関しても、まだまだポテンシャルがある。新しい商品開発にもどんどんトライしていければと思っています。

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「PxDTは今まさにR&Dからビジネスへの接続がスタートしたタイミング。人員配置やマーケティング、広告・宣伝予算などまさに構築中。「知財ベンチャー」でもあるので、ビジネスディールの交渉をどう行うか。組織構造的にも知財担当者が同じチームにいてタッグを組んで戦略を練り上げていける。PxDTのBizDevは小さい会社のCOOのよう。社内で誰もやったことがないことをやる。人を巻き込み、最短・最速でバリューを出す。すごく難しいですが、ビジネスの醍醐味が感じられますね」と辻さん。

技術、ビジネス、社会課題解決…3つをかけ合わせでインパクトを

今後、BizDevとしてどういったことを実現したいと考えていますか?

お客様にアジャストした上で、想像を超えるものを生み出し続けたいですね。思ってもみなかったこと、諦めていたことも、企画し、実装していく。そのために自分の能力を最大限発揮したいです。

研究から生まれた先端技術、ビジネス、社会課題解決…欲張りかもしれませんが、これらをかけ合わせることで、世の中へのインパクトも大きくなるはず。当然、一人ではできないので、チームで勝っていきたいと思っています。

個人的に言えば、シンプルに新しいことが好き。お客様の喜んだ顔、ビックリした顔が見たいんですよね。驚かせたい、喜ばせたい。気持ちの奥に「自分がこうしたいから作る」が強くあって。言ってしまえば、私の「エゴ」なのかもしれません。ただ、そういったタイプだからこそ、お客様のため、ステークホルダーのためにも仕事ができる。その「自分」をこれからも大切にしていければと思います。


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編集 = 白石勝也


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