2024.04.25
その話、相手の心に届いてる? 最年少市長誕生を支えたスピーチライターが解説「伝わる話し方」基本のキ

その話、相手の心に届いてる? 最年少市長誕生を支えたスピーチライターが解説「伝わる話し方」基本のキ

「カンペ読み上げがち」「いつも同じ説明」「整理して話せない」こんな話し方で損しないために!『話し方の戦略*』著者、話し方トレーニングスタートアップ「カエカ」代表の千葉佳織さんを取材。26歳で兵庫県・芦屋市長となった高島崚輔さんのスピーチを支えたことでも知られる千葉さん。社会人1年目で知っておきたかった「伝わる話し方」の基本をお届け!

0 0 0 2

▼スピーチライター/カエカ 代表 千葉佳織さん初の自著
*『話し方の戦略 「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』(2024/4/26発売)

2024年度がスタートし、新人・既存社員問わず、人前で話す機会が増える時期。いかにビジネスシーンで「伝わる話し方」ができるか。スピーチライターであり、話し方トレーニングスタートアップ「カエカ」代表である千葉佳織さんに、やってしまいがちな「伝わりづらい話し方あるある」と対処法について解説いただいた。

「その場しのぎの話し方」をしていませんか?

まず伝わりづらい話し方の「あるある」ですが、その場しのぎ、時間を埋めようとしてしまうケースをご紹介します。会議、スピーチ、プレゼンなど、たとえば約3分間の枠があったとして「とりあえず喋っていればそれっぽくなる」と話をしてしまう方も多いと思います。ただ、それは「時間を埋めること」が目的になっていますよね。そうではなく、話を通して「どんなことを達成したいか」と目的を設定することが大切です。ちなみに実際、kaeka*をご利用いただいている方に同様の質問をすると「特に目的は考えていませんでした」という方がすごい多いんですよね。

kaeka*…千葉さんが代表を務める「カエカ」が提供する、経営者、政治家、社会人向けの話し方トレーニングサービス。AIによって話し方の強みや課題を数値化(kaeka score)し、個々に適したトレーニングプログラムを提供する。専属トレーナーが数ヶ月間にわたって伴走する「話し方・スピーチのジム」。

「話をする」ということは、相手の行動を誘発したり、価値観を提供したり、何かしら達成したいことがあるはずです。ぜひその設定を行いましょう。

もし「目的を置くのが難しい」と感じる方は、「目的」を難しく考えすぎているのかもしれません。たとえば「自分のことをちょっとだけ好きになってほしい」「話しかけたいなと思ってもらいたい」くらいでもいい。相手に「こうなってほしい」「こうしてほしい」を小さなステップとして置く。手前にある「初歩的な目的」であれば考えやすいはずです。

+++
スピーチライター/株式会社カエカ代表取締役 千葉佳織
15歳から弁論を始め、全国弁論大会3度優勝、内閣総理大臣賞受賞。慶應義塾大学卒業後DeNAに入社。人事部所属時に同社初のスピーチライター業務を立ち上げ、登壇社員の育成、社長のスピーチ執筆など部署横断的に課題解決に取り組む。2019年株式会社カエカを設立、話し方トレーニングサービス「kaeka」の運営を行い、経営者、政治家、社会人の話す力を数値化し、話し方を改善するサービスをこれまで5,000人以上に提供している。また、企業総会や国政選挙などでスピーチ原稿の執筆にも取り組む。2023年、東洋経済新報社「すごいベンチャー100」、Forbes JAPAN「次代を担う新星たち 2024年注目の日本発スタートアップ100選」に選出。著書に『話し方の戦略』。

いつも同じ話を使い回していませんか?

続いて紹介する「伝わりづらい話し方あるある」ですが、相手や場面が違うにもかかわらず、決まり切った話・説明を使いまわしているケースです。とくに営業やプレゼンの場面で多いのですが、用意した内容を話し切って「よし終わった」になっている。これは、話す相手のことを考えられていない時に起こりがちです。

シンプルにいえば「相手のことを考えよう」なのですが、出来ている方は意外と多くありません。たとえば、相手の方が既に持っている情報がわかれば、「今回は2枚目のスライドを端折ろう。3枚目の話に時間を使おう」など情報比率・時間配分を変えることができますよね。さらに相手の方はどういったタイプか。感情が表に出やすい方なら、はじめは雑談やアイスブレイクで場を温めてから本題に入ろうなど「相手に合わせた伝え方」が考えられるはずです。

どうしても失敗するのが怖かったり、緊張をしないようにしたり、用意したままを伝えたくなるもの。もしかしたら、それ以外のやり方を先輩や上司から教わっていないこともあるでしょう。ただそれでは「録画」と一緒になってしまいます。相手がどういう状況か、どこまで情報を持っており、何に反応する方なのか。察知しながら、自分が語りたいことより、相手が聞きたいことに合わせていく。余白を残しつつ、ここはフリーでやってみよう。ぜひそんな風に考えてみていただければと思います。

+++

「相手に話を記憶してもらえる」と思っていませんか?

最後の「あるある」ですが、「相手は話を聞いてくれる。記憶してくれる」と思いがち。そもそも発信しているのは「話し言葉」です。トレーニングでも「音声なので消えてなくなります。喋ったことは記憶されていると思わないでください」とよくお伝えしています。

ただ、これは「どう文章を区切るか」を意識するだけでも、かなり整理された話し方となり、記憶に残りやすくなります。少し極端な例ですが、文章でわかるようにお伝えすると、

スピーチトレーナーの千葉佳織と申しまして、今日は「話し方のトレーニング」について説明をしていくんですけれども、その中でも話し言葉の意識を持つところが重要なところで、なぜかと言うと、これって主に2つの理由があるんですけれども、1つ目からお伝えすると…

これは「。」がなく、点ばかりの文章で話した例です。何を言ってるかわかりづらいですよね。それを、

スピーチトレーナーの千葉佳織と申します。今日は「話し方のトレーニング」についてお話します。特にお伝えしたいのが、話し言葉という意識を持つ重要性についてです。主に2つの理由が挙げられます。まず1つ目は…

としてみるとどうでしょうか。この入り方だけで「記憶の残り方」が変わってくるもの。特に音声にした時、どこで区切れば、どう届きやすいのか。ぜひ音読をしながら試してみていただければと思います。

大切なのは「自分なりの正解」

最後に私からお伝えしたいのは「伝わる話し方」に絶対の正解はない、ということでもあります。だからこそ「自分なりの正解」をぜひ切り拓いていってほしいです。

もしかしたら「人前で話すことは恥ずかしい」「自己表現が苦手」という方もいるかもしれません。ただ、それはきっと「正解のない、自分らしい伝わる話し方」を追求することに慣れていないだけ。機会を増やし、トレーニングすれば必ず改善・上達していきます。あとは「気づき」に出会えるかどうかだけだと思っています。

みなさん、それぞれの人生の分だけ個性、話し方のクセ、やり方があります。たった1日で完璧に習得できるものではありません。何度も正しい反復をし、初めて良い学習方法にも出会えるものです。

私自身、話し方のトレーニングですごくおもしろいと思うのは、CONTENTS(言葉)とDELIVERY(音声・動作)はそれぞれ影響し合っているということです。自分の思い、情熱を込めて初めて抑揚がつき、伝わりやすい「話し方」ができるようになることもあれば、音声・動作の出し方から学び、はじめて思いや情熱を込めた「内容」で伝えられることもある。つまりどこに課題があるのか、自分ではなかなかわからないし、トレーニング方法も人それぞれであるということ。なので、少し宣伝のようですが(笑)どこに課題があるのか、もし悩まれたらぜひ「kaeka」にご相談ください。

とくに今は、SNS含め「個人での発信」が注目を集めています。それがポジティブに働く場合もあれば、炎上・失言で社会的信用を一瞬で失ってしまうこともある。誰にでも当たり前に起こり得る時代です。そもそも情報が溢れかえるなか、これまで通りの発信・表現では目立つことも難しい。会社でも年齢、国籍、性別の異なる多様な価値観・考え方のメンバーと働くなか、共通言語を持ち、意識を揃えていく難易度も高まっています。

こういったコミュニケーションの課題が溢れるなか、これまで使ってきた言葉や話し方のアップデートが求められていますし、そういった時代だからこそ、自分らしい「伝わる話し方」は強い味方になるはず。ぜひ、話し方のトレーニングや学習をすることで、苦手だった「人前で話す機会」も、ぜひ「よし来た。私がチャンスを掴む番だ」とポジティブに変えてほしい。私たち「カエカ」のミッションは「すべての人生にスポットライトを」なのですが、ぜひあなたらしい「伝わる話し方」を通じ、ご自身のスポットライトと出会っていただければと思います。

▼第二弾『スピーチライター千葉佳織が「話し方トレーニング」に込めた思い』はこちら
https://careerhack.en-japan.com/report/detail/1588


取材 / 文 = 白石勝也


特集記事

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから